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8,ゲーム

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 妖魔はその場から微動だにせず、肉の触手だけがうねうねと伸びてくる。糸のように細いのもあれば、丸太のように太いのもある。火凛にとって痛みに耐えることは難しくない。退魔師の装束には特殊な霊術で強化が施されているし、得意の体術でダメージを和らげることも可能だ。
 そばまで来た触手が大蛇のように頭をもたげた。
(殴りたければ殴ればいい)
 火凛が身構えたとき、触手が服の上から体にそっと触れた。
(えっ?)
 触手たちは火凛を痛めつけるのではなく、優しく全身を撫でる。太もも、おなか、脇の下、首。触手はそれぞれ違った動きをする。強く揉みしだくように動くのもあれば、触れるか触れないかのところをゆっくりと動くのもいる。
 だんだん火凛はくすぐったくなってきた。
(なんなの、こいつ!?)
 動揺を隠せなかった。
 いくつかの触手は服の上から胸や股の間をまさぐり始めた。まだ股の間には男のものが生えたままだ。
(くっ……! 敏感なところばかり……! この妖魔、普通じゃない)
 火凛は触手に胸や股の間をまさぐられても何も感じなかった。ただただ不快であり、このくだらない茶番が早く終わればいいと思っていた。妖魔が隙を見せたらいつでも抹殺してやるつもりだ。
 十分ほどそんな状態が続いたが、やがて細い触手は裾や袖から中に入ってきて、直接肌を撫でるようになった。袴もまくりあげられて下着があらわになった。不快感だけでなく羞恥心も加わった。真琴にも見られている。
 触手は火凛の股の間をさする。
(触手なんかで感じるわけないじゃない。ホント、気持ち悪い)
 男のものが下着越しに触手になでられているが、気持ち良さよりも気持ち悪さのほうが上回り、性的な興奮はほとんどなかった。
 細い触手は肌の上を器用に動き回った。やがて『服はもう邪魔だ』とでも言うように、白衣も破かれて、ブラもずり上げられた。むきだしになってしまった控えめな二つの丘。火凛は頬を赤らめる。その頂に、細い触手が巻き付いてきた。
(んっ……)
 火凛は思わず体をよじった。装束を脱がされたことで霊術の防護効果が薄れたのだ。今までより快楽がストレートに伝わってきてしまう。
「テイコウ、スルナ」
(別に抵抗したわけじゃない)
 本当はこの気持ち悪い触手を今すぐ振りほどきたい。だがそれは許されない。代わりに妖魔をにらみつけるしかなかった。
(こいつ、後で絶対殺す!)
 さすがの火凛も、こんな格好にされて、乳首まで好き勝手にされると、強烈な殺意を抱いた。真琴を助けた後でこの妖魔を二度と生き返れないように焼き尽くしてやる。灰になっても霊力の続く限り焼き続けてやる、と決めた。
(早く隙を見せろ、このクズ!)
 こうしてさらに十分が過ぎた。
 触手の行為はエスカレートする。火凛のショーツは脱がされ、両足を大きく開脚させられた。本来はないはずの男のものがそり立っているだけでなく、生まれて初めてこんな体勢にさせられた火凛は、顔を炎よりも真っ赤にした。だが声は出さず、冷静さも失わなかった。
 触手は男のものに巻き付いて締め上げたり緩めたりして刺激を送ってくる。さらに女の穴にも入ってくるかと予想したのだが、予想は外れた。触手は火凛の密壺には手を付けず、その入り口付近をこね回すだけだった。
 火凛の男のものは執拗にしごかれて次第に大きくなっていた。確実に刺激は伝わってくる。しかし意識を他のところに向けることで、刺激をやり過ごしていた。このまま何十分しごかれても、絶頂に至ることもなければ快楽に負けて声を上げることもないだろう。そんな自信があった。くすぐられることにも慣れてきてほとんど何も感じなくなったし、胸を揉まれ乳首を弾かれても身じろぎ一つしないでいられた。
 火凛は顔を上げて真琴のほうを見た。心配そうにこちらを見ていた。
 友だちにこんな姿を見られるのは死ぬほど恥ずかしい。だが真琴のためだったら耐えられると思った。
(こんなの余裕じゃん)
 火凛は余裕を見せつけて真琴を安心させるために、不敵に笑ってみせた。挑発だ。妖魔が怒ったり焦ったりすれば隙を見せやすくなる。
「オマエ、ナク、スグニ」
(こんな気持ち悪い触手に触られたくらいで、泣くわけないじゃない)
 先端がつぼみ状に膨らんだ触手が火凛の目と鼻の先でパカッと開いた。先っぽに口のような割れ目がある。そこから黄色いガスのようなものが噴霧された。辺りに甘い香りが立ち込める。火凛はガスをもろに吸い込んでむせた。
(今度はなんなの!?)
 咳は止まったが、直後、心臓がひときわ大きく脈打った。それは痛みや苦しみではなく、激しい熱だった。体中の血管を内側から焼きただれさせるような強烈な熱。
(う、うそ……。これって……)
 火凛はその熱の正体を理解した。股の間から、一筋の愛液がツーッと垂れていく。脚に力が入らなくて、ガクガクと震えた。乳首が充血して腫れて、痺れるような感覚が絶えず脳に流れ込んでくる。男のものも、いっそう太くなって、ビクビクと震えている。
(体が、おかしいっ。勝手に……びくびくして……とまらない)
「ヒヒヒ、ヒヒッ」
 火凛の変化を見て、満足そうに妖魔が口を歪めた。豚がいやらしく笑う。
「アト、サンジップン」
 触手が肌に触れた。
(んんっ……!?♡)
 小さな電撃が体の中を走り抜けるような感覚に襲われ、火凛は危うく声を出してしまいそうになった。
 そこからは一方的に妖魔が火凛を支配した。火凛は体中が敏感になり、どこに触られても感じてしまう。股の間からは愛液がひっきりなしに垂れる。男のものの先端は先走り汁が玉になっていた。意思に反して体が反応してしまう。
(熱くて……あそこが、じんじんして……。あたしの体、こんなに、敏感に……)
 触手の先端が四つに割れて火凛の乳房に食いつき、舌のようなものが乳首をなめまわした。もう片方の乳首は細い触手にコリコリとつままれ、引っ張られた。男根にはヌルヌルした粘膜状の触手が巻き付いて、ヌッチャヌッチャと粘る音を立てながら上下にゆっくりと動いている。両手両足は別の触手が縛り上げており、磔の状態だ。無意識のうちに体がビクン、ビクンと動いて、陰部や胸への快楽を逃がそうとするけれど、到底無理なことだった。
(だめ!! このままじゃ、気持ち良すぎて、おかしくなる……!)
 火凛は歯を食いしばって、絶え間ない快楽の電流に耐えた。自分の体が全くコントロールできない戸惑いと悔しさと、脳まで痺れるような快楽。血走った目をいっぱいに見開き、目じりに涙を浮かべ、それでも声を出すまいとしている。真琴を助けるまで屈するわけにはいかない。
「ツライカ?」
 妖魔が尋ねたが、その声は火凛の耳に入っても意識には届かない。
 火凛はぽたぽたと愛液を滴らせてはいるが、一度も絶頂には至っていなかった。男根も今か今かと精を解き放つ瞬間を待ち望んでいるようだが、ギリギリのところで耐えていた。いや、実際、触手が一斉に火凛の弱い部分を連続して攻め立てれば、簡単に絶頂させることができただろうが、絶妙に攻めに緩急をつけて、イケそうでイケない状態を保っていた。
 冷静な状態であれば火凛はそのことに気づけたかもしれない。だが今や本気で快楽に気をやらないように必死で、ただ自分が何とか耐えていると思い込んでいた。真琴の様子をうかがう余裕もなくなっていた。
 妖魔は火凛の反応を楽しんでいる。
 攻めが一旦止まった。
「モット、イイモノ、アル」
 一本の触手の先端から細くて長い針が飛び出した。ピュッと液体が試し打ちのように飛び出した。
「コレ、ツカウ。ニンゲン、モドレナイ」
(このままじゃ、まずい……。これ以上、敏感になったら、本当にもう……)
 火凛は頭を横に振って、拒絶の意思を示した。
 しかしそれで妖魔がやめてくれるはずもない。針の触手は火凛の拘束された腕に先端を近づけていく。火凛は怯えたような目をして、涙をいっぱい流しながら、何度も首を振って妖魔に許しを請う。妖魔は火凛の姿を見て、さぞ気分が良さそうに満面の笑みを浮かべる。そして、針が腕から数センチのところで、ギリギリまで肌に近づけてみたり、離してみたり、また近づけてみたり、たっぷりと焦らして、そのたびに火凛の表情が絶望と安堵を行ったり来たりするのを見て、愉悦に浸る。そうやって楽しんだ後、針は少女の柔らかな白い肌をついに破った。
 火凛は戦意喪失したかのようにうなだれている。一方妖魔は笑いが止まらない様子だ。針は腕に刺さったまま。
「ヒヒッ、ヒヒヒャッ、オワリダ!」
「終わったのはあんただよ」
 戦意喪失したかに見えた火凛は唇の端をニヤリと釣り上げた。
 妖魔はわずかに動揺して辺りを見回した。しかし何も異変を察知できなかったらしく、火凛の態度をハッタリとみなし、逆に下卑た笑いを浮かべた。
「アタマ、オカシクナッタカ?」
「まだ気づかない?」
 突然妖魔は悲鳴を上げた。無数の触手がでたらめな動きで激しく暴れているのは、苦痛にもがいているからだ。
 真琴を拘束していた触手ももはや制御を失っていた。非力な真琴でも簡単に逃れることができた。触手がバタバタと地面に倒れる。
「ナンダ!? ナゼ!? グオオオッ!!!? アツイ!! ガアアアアアァァァ!!?」
 豚の頭は言葉にならぬ悲鳴を上げたかと思うと、目と口と鼻から炎を噴き出した。
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