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第一部 桃井さんとイチャイチャしたい編
7, おやつ
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「分担は、佐藤が今いるB棟と隣のA棟。東山(とおやま)がC棟と食堂。俺が一番遠いD棟と体育館。校庭や中庭は広いから、終わった人からどんどん回ってくれ。いいな?」
伊集院慧(いじゅういん けい)がテキパキと分担を決めた。
「他の人に手伝ってもらわないのか? 小森さんとか一緒にいた影の薄いヤツとか、まだその辺にいそうだけど」
俺はどうせなら人数は多いほうがいいのではないか、と思った。なんせ校舎だけでも四つの棟があるから、恐らく100近い部屋がある。
「あまり大人数で行動するのは得策とは言えないが、まあ、同性なら手伝ってもらっても構わない」
「じゃあ俺は、あいつに声をかけてみる」
「私も誰か見つけたら手伝ってもらおっと」
「東山はくれぐれもパンチラするなよ? 日ごろから無防備な行動が多いからな」
「はあ? 伊集院って、日ごろから私のパンツ見たくて私を観察でもしてるの!?」
「誰が好き好んでお前の下着なんて見るかっ」
「さっきはパンチラが偉大だとか語ってたくせに!」
「パンチラにはパンチラカーストっていうものがあるんだ! お前のパンチラは一番下だ。全部を一緒にするな!」
「なにそれ意味不明だけどひどいってことは分かるからムカつく!」
「まあまあ……今はみんなで生き残るために協力し合おう」
俺が止めなければこの二人はずっと言い争いをしていたに違いない。先が思いやられる。
「じゃ、私、行くから」
「俺も行く」
二人が廊下を東のほうへ歩き始める。他のどの校舎に行くにしても、そっちに進むのが最短なので、当然同じほうに行くことになるのだが。
「付いてくるな! お前といると死ぬ確率が上がるだろっ!」
「来ないでよ! あんたと二人きりになったら何されるか分かんないから怖いんですけど!」
「俺はお前のような女に手を出すつもりはない!」
「私だってあんたと一緒に死ぬなんて最悪!」
また始まった。俺はため息を吐いて、
「じゃあ、東山さんが先に行けばいいと思うよ。俺と伊集院慧は男同士だからラッキースケベは起きないだろうし」
「そうさせてもらうね!」
「異論はない」
二人とも納得してくれたので、俺はほっとした。東山さんがキッと伊集院慧をひとにらみしてから、先に廊下を進んでいく。
東山さんが見えなくなると、伊集院慧が黙って同じ方向へと続いた。
そして俺だけが残された。
「さて、恥ずかしいけど、やるか」
独り言をつぶやき、大きく息を吸った。
「みんな聞いてくれ! 生き残るにはズボンを履くんだ! 生き残りたければズボンを履くんだ!」
俺は廊下を歩き始めた。
*****
桐生修斗(きりゅう しゅうと)――サッカー部の爽やかイケメンは倉庫のドアを開けた。
「おっ、マジで何かあるぞ!」
一面の古いスチール棚に、明らかに新しいダンボール箱がいくつも置かれている。箱の側面には「食料(おやつ)」という文字。
「なんかいっぱいあるー! わはー、やったー!」
修斗に続いて入ってきたのは、高町夏美(たかまち なつみ)――バスケ部の爽やかスポーティー美少女。
爽やかな二人は一番近くの棚に駆け寄り、爽やかに箱を開けた。
「なんだこれ。チョコバナナばっかりだ」
大量のチョコバナナが、箱の中でお祭りの屋台で見るように並んでいた。
「こっちは……練乳!? なんで練乳?」
夏美は修斗とは別の箱をのぞき込んでいた。赤いパッケージに牛のイラストが描かれた、練乳のチューブが大量に詰め込まれている。
「おいおい。チョコバナナに練乳をかけて食えってか? ポテチとか、しょっぱいものはないのかよ」
二人はすべてのダンボール箱を開けてみたが、ひたすらにチョコバナナと練乳しかなかった。
「ねえ修斗、もう仕方ないからバナナ食べようか。お腹すいちゃったし」
「そうだな。タダなら食わないのは損だ」
「みんなにも箱ごと持っていってあげようか? こんなにあっても二人じゃ食べきれないし」
「夏美は優しいな。よし、俺に任せろ」
「私もやるよー」
二人は協力していくつかのダンボール箱を廊下に移動させた。
「ふう、とりあえずこれだけあれば全員食えるだろ」
修斗はひと息吐くと、箱からチョコバナナを取り出してひと口かじった。
「うん、うまい。ほら」
「ありがと修斗。練乳もかけてみよっと」
夏美は修斗からチョコバナナを受け取ると、赤いチューブから白いドロッとした練乳をバナナにかけ、頬張る。
「んっ……このバナナ、おっきくて、食べにくいんだけど……」
夏美の頬に、白いドロッとした練乳がついた。
「夏美、ほっぺたに付いてるって。なんかエロくね? わざとやってる?」
「えー!? どこ付いてるのー? わざとやるわけないじゃんー!」
頬を赤らめて、修斗をたたく夏美。
1日目 10:45
生存者 25人
伊集院慧(いじゅういん けい)がテキパキと分担を決めた。
「他の人に手伝ってもらわないのか? 小森さんとか一緒にいた影の薄いヤツとか、まだその辺にいそうだけど」
俺はどうせなら人数は多いほうがいいのではないか、と思った。なんせ校舎だけでも四つの棟があるから、恐らく100近い部屋がある。
「あまり大人数で行動するのは得策とは言えないが、まあ、同性なら手伝ってもらっても構わない」
「じゃあ俺は、あいつに声をかけてみる」
「私も誰か見つけたら手伝ってもらおっと」
「東山はくれぐれもパンチラするなよ? 日ごろから無防備な行動が多いからな」
「はあ? 伊集院って、日ごろから私のパンツ見たくて私を観察でもしてるの!?」
「誰が好き好んでお前の下着なんて見るかっ」
「さっきはパンチラが偉大だとか語ってたくせに!」
「パンチラにはパンチラカーストっていうものがあるんだ! お前のパンチラは一番下だ。全部を一緒にするな!」
「なにそれ意味不明だけどひどいってことは分かるからムカつく!」
「まあまあ……今はみんなで生き残るために協力し合おう」
俺が止めなければこの二人はずっと言い争いをしていたに違いない。先が思いやられる。
「じゃ、私、行くから」
「俺も行く」
二人が廊下を東のほうへ歩き始める。他のどの校舎に行くにしても、そっちに進むのが最短なので、当然同じほうに行くことになるのだが。
「付いてくるな! お前といると死ぬ確率が上がるだろっ!」
「来ないでよ! あんたと二人きりになったら何されるか分かんないから怖いんですけど!」
「俺はお前のような女に手を出すつもりはない!」
「私だってあんたと一緒に死ぬなんて最悪!」
また始まった。俺はため息を吐いて、
「じゃあ、東山さんが先に行けばいいと思うよ。俺と伊集院慧は男同士だからラッキースケベは起きないだろうし」
「そうさせてもらうね!」
「異論はない」
二人とも納得してくれたので、俺はほっとした。東山さんがキッと伊集院慧をひとにらみしてから、先に廊下を進んでいく。
東山さんが見えなくなると、伊集院慧が黙って同じ方向へと続いた。
そして俺だけが残された。
「さて、恥ずかしいけど、やるか」
独り言をつぶやき、大きく息を吸った。
「みんな聞いてくれ! 生き残るにはズボンを履くんだ! 生き残りたければズボンを履くんだ!」
俺は廊下を歩き始めた。
*****
桐生修斗(きりゅう しゅうと)――サッカー部の爽やかイケメンは倉庫のドアを開けた。
「おっ、マジで何かあるぞ!」
一面の古いスチール棚に、明らかに新しいダンボール箱がいくつも置かれている。箱の側面には「食料(おやつ)」という文字。
「なんかいっぱいあるー! わはー、やったー!」
修斗に続いて入ってきたのは、高町夏美(たかまち なつみ)――バスケ部の爽やかスポーティー美少女。
爽やかな二人は一番近くの棚に駆け寄り、爽やかに箱を開けた。
「なんだこれ。チョコバナナばっかりだ」
大量のチョコバナナが、箱の中でお祭りの屋台で見るように並んでいた。
「こっちは……練乳!? なんで練乳?」
夏美は修斗とは別の箱をのぞき込んでいた。赤いパッケージに牛のイラストが描かれた、練乳のチューブが大量に詰め込まれている。
「おいおい。チョコバナナに練乳をかけて食えってか? ポテチとか、しょっぱいものはないのかよ」
二人はすべてのダンボール箱を開けてみたが、ひたすらにチョコバナナと練乳しかなかった。
「ねえ修斗、もう仕方ないからバナナ食べようか。お腹すいちゃったし」
「そうだな。タダなら食わないのは損だ」
「みんなにも箱ごと持っていってあげようか? こんなにあっても二人じゃ食べきれないし」
「夏美は優しいな。よし、俺に任せろ」
「私もやるよー」
二人は協力していくつかのダンボール箱を廊下に移動させた。
「ふう、とりあえずこれだけあれば全員食えるだろ」
修斗はひと息吐くと、箱からチョコバナナを取り出してひと口かじった。
「うん、うまい。ほら」
「ありがと修斗。練乳もかけてみよっと」
夏美は修斗からチョコバナナを受け取ると、赤いチューブから白いドロッとした練乳をバナナにかけ、頬張る。
「んっ……このバナナ、おっきくて、食べにくいんだけど……」
夏美の頬に、白いドロッとした練乳がついた。
「夏美、ほっぺたに付いてるって。なんかエロくね? わざとやってる?」
「えー!? どこ付いてるのー? わざとやるわけないじゃんー!」
頬を赤らめて、修斗をたたく夏美。
1日目 10:45
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