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第8話 知らない間にバズってました
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【配信アンケート。
1.ロリガワを使用しての食べ食べ配信。(0%)
2.リアル妹を召喚しての食べ食べ配信。(100%)
リアル妹を召喚しての食べ食べ配信が選択されました。】
アンケートの結果が容赦なく配信画面に表示される。
「ふえええぇっ!?」
美織は思わず変な声を発した。
「家族とはもともとわけて食べるつもりでいましたけど⋯⋯、まさか配信に呼んで食べるだなんて⋯⋯。考えてもなかったよ~。」
アンケートの内容及び結果に、すっかり大パニックだった。しかしアンケート結果は絶対だ。美織が出したものでないとはいえ、リスナーに回答してもらったのだから。
「わ⋯⋯わかりました。妹とご飯を食べる配信をします。妹の顔出しは出来ないので、妹もVtuberとして出てもらいますね。はあ⋯⋯なんでこんなことになったかな。」
美織はがっくりと肩を落とした。
「妹はまだ小さいので、早く寝かせないといけないですから、明日の配信は夜の6時からおこないますね。妹の夕ご飯の時間です。」
:おk
:把握
:妹ちゃん楽しみ
:リアルょうじょprpr
:夕飯6時って早くね?
:風呂入って寝ること考えたら、小学生なんてそんなもんだろ
配信は、美織のリアル妹が出るという話で盛り上がっている。それにしてもこのアンケートというスキル、一体どういう決まりで動いているのだろうかと美織は考える。
確定ドロップのアンケートはわかる。必ずレアが出る代わりに、アンケートに答えてもらわなくてはならないという制約がある。
いわばそのデメリットがあることで、チートではありつつも、万能ではないスキル、ということになる。
だが、配信内容の指定というのは、正直どう考えても解せない。スキルに配信が操られているようなものだし、そんなスキルは見たことも聞いたこともない。
聖魔法系だと、配信の際に画面がチカチカして、体調の悪くなる人も稀に出るから、強いけど配信を邪魔するスキルだとも言われているけれど、知っているのはその程度だ。
それにまた、変なアンケートを出されて配信が振り回されたらと思うと、正直次の配信が怖くもなってくる、と思っていた。
『とりあえず、今は考えても仕方がないな。ガワはいおりロリバージョンを使うとして、配信で変なことを言わないように、あの子をちゃんと説得しておかなくちゃね。』
美織はそう考えながら、配信画面の向こうへ向けて、次の配信お楽しみに~と、一見楽しげに手を振ってみせたのだった。
そんな美織の気持ちとは裏腹に、イレギュラー一撃が本物の実力だったとわかったことにより、にわかに配信が拡散されだした。
ルカルカを助けた際は、あまりに一瞬の出来事過ぎて、ルカルカの目の前の魔物と美織が戦っている状態を、きちんと認識出来ていたリスナーがいなかったのだ。
一瞬過ぎた美織の攻撃を、ルカルカのカメラマンが投げ捨て、地面に転がっていたカメラがとらえ、配信に流れていた。
それを切り抜いて超スロー再生で拡散した切り抜き師もいたのだが、スローにより画像が粗くなったことと、不可能だという思い込みから、一撃斬を信じる者が少なかった。
だがその実力を、下層のギガントミノタウロス相手に、リアルタイムで嫌でも確認させられたのだ。実力さえ認められていれば、あの日は確実にSNSが祭りだっただろう。
あのイレギュラーの日。美織の実力さえ正しく把握出来ていれば、それは祭りになる筈の火種だった。ギガントミノタウロス一撃の切り抜きと、あの日のイレギュラーの切り抜きが、合わさって拡散されていく。
それは最初は静かな燻りから始まり、徐々に大きくなっていった燃えそこねた火種たちは、あの一撃が本物だったこと、剣呑寺いおりが現役女子高生なことに燃え盛った。
美織が一晩寝て起きるまたたく間の間に、剣呑寺いおりはネット界隈の一躍時の人となっていたのである。
──それを面白くなく思っていた人物が1人。
「フーン?現役女子高生ダンVtuber、剣呑寺いおり、ねえ⋯⋯。
あんなイレギュラーなんて、あたしがあの場にいたら、あたしのほうが倒してたし?あんま調子にのんなって感じな。」
獄寺ちょこ。いわゆる迷惑系に近い配信をやっている、過激系ダンVtuberだ。
美織が清楚系とするなら、中の人はいわゆるギャルの見た目をしていてガワもそれだ。
大手ギルドや大物単独配信者相手に、獲物やドロップ品の横取りをする配信がウケている。厄介なのは、ちょこが上位ランカーにも匹敵するスキルを持ち合わせている点だ。
スキル盗賊、隠密、移動速度強化。まさに邪魔をする為に付与されたかのようなスキルの数々を駆使して、トドメの一撃を食らわせたり、ドロップ品を奪ったりする。
何度かチャンネルBANも繰り返していたが、その都度新しいチャンネルを作っては、また10万人規模まですぐに返り咲く。
そんなちょこが、今最もSNSで注目を浴びている剣呑寺いおりを、見逃す筈がなかったのだった。
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この作品は読者参加型です。
アンケートが出たらコメントお願いします!
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2.リアル妹を召喚しての食べ食べ配信。(100%)
リアル妹を召喚しての食べ食べ配信が選択されました。】
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「ふえええぇっ!?」
美織は思わず変な声を発した。
「家族とはもともとわけて食べるつもりでいましたけど⋯⋯、まさか配信に呼んで食べるだなんて⋯⋯。考えてもなかったよ~。」
アンケートの内容及び結果に、すっかり大パニックだった。しかしアンケート結果は絶対だ。美織が出したものでないとはいえ、リスナーに回答してもらったのだから。
「わ⋯⋯わかりました。妹とご飯を食べる配信をします。妹の顔出しは出来ないので、妹もVtuberとして出てもらいますね。はあ⋯⋯なんでこんなことになったかな。」
美織はがっくりと肩を落とした。
「妹はまだ小さいので、早く寝かせないといけないですから、明日の配信は夜の6時からおこないますね。妹の夕ご飯の時間です。」
:おk
:把握
:妹ちゃん楽しみ
:リアルょうじょprpr
:夕飯6時って早くね?
:風呂入って寝ること考えたら、小学生なんてそんなもんだろ
配信は、美織のリアル妹が出るという話で盛り上がっている。それにしてもこのアンケートというスキル、一体どういう決まりで動いているのだろうかと美織は考える。
確定ドロップのアンケートはわかる。必ずレアが出る代わりに、アンケートに答えてもらわなくてはならないという制約がある。
いわばそのデメリットがあることで、チートではありつつも、万能ではないスキル、ということになる。
だが、配信内容の指定というのは、正直どう考えても解せない。スキルに配信が操られているようなものだし、そんなスキルは見たことも聞いたこともない。
聖魔法系だと、配信の際に画面がチカチカして、体調の悪くなる人も稀に出るから、強いけど配信を邪魔するスキルだとも言われているけれど、知っているのはその程度だ。
それにまた、変なアンケートを出されて配信が振り回されたらと思うと、正直次の配信が怖くもなってくる、と思っていた。
『とりあえず、今は考えても仕方がないな。ガワはいおりロリバージョンを使うとして、配信で変なことを言わないように、あの子をちゃんと説得しておかなくちゃね。』
美織はそう考えながら、配信画面の向こうへ向けて、次の配信お楽しみに~と、一見楽しげに手を振ってみせたのだった。
そんな美織の気持ちとは裏腹に、イレギュラー一撃が本物の実力だったとわかったことにより、にわかに配信が拡散されだした。
ルカルカを助けた際は、あまりに一瞬の出来事過ぎて、ルカルカの目の前の魔物と美織が戦っている状態を、きちんと認識出来ていたリスナーがいなかったのだ。
一瞬過ぎた美織の攻撃を、ルカルカのカメラマンが投げ捨て、地面に転がっていたカメラがとらえ、配信に流れていた。
それを切り抜いて超スロー再生で拡散した切り抜き師もいたのだが、スローにより画像が粗くなったことと、不可能だという思い込みから、一撃斬を信じる者が少なかった。
だがその実力を、下層のギガントミノタウロス相手に、リアルタイムで嫌でも確認させられたのだ。実力さえ認められていれば、あの日は確実にSNSが祭りだっただろう。
あのイレギュラーの日。美織の実力さえ正しく把握出来ていれば、それは祭りになる筈の火種だった。ギガントミノタウロス一撃の切り抜きと、あの日のイレギュラーの切り抜きが、合わさって拡散されていく。
それは最初は静かな燻りから始まり、徐々に大きくなっていった燃えそこねた火種たちは、あの一撃が本物だったこと、剣呑寺いおりが現役女子高生なことに燃え盛った。
美織が一晩寝て起きるまたたく間の間に、剣呑寺いおりはネット界隈の一躍時の人となっていたのである。
──それを面白くなく思っていた人物が1人。
「フーン?現役女子高生ダンVtuber、剣呑寺いおり、ねえ⋯⋯。
あんなイレギュラーなんて、あたしがあの場にいたら、あたしのほうが倒してたし?あんま調子にのんなって感じな。」
獄寺ちょこ。いわゆる迷惑系に近い配信をやっている、過激系ダンVtuberだ。
美織が清楚系とするなら、中の人はいわゆるギャルの見た目をしていてガワもそれだ。
大手ギルドや大物単独配信者相手に、獲物やドロップ品の横取りをする配信がウケている。厄介なのは、ちょこが上位ランカーにも匹敵するスキルを持ち合わせている点だ。
スキル盗賊、隠密、移動速度強化。まさに邪魔をする為に付与されたかのようなスキルの数々を駆使して、トドメの一撃を食らわせたり、ドロップ品を奪ったりする。
何度かチャンネルBANも繰り返していたが、その都度新しいチャンネルを作っては、また10万人規模まですぐに返り咲く。
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