【悲報】無双する美少女JK底辺Vtuberですがドロップはアンケート頼りなんです!〜(続く)〜

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第2話 初めてのドロップ品

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 美織は初めて見る画面に困惑していた。だがそこには、あれほど欲したドロップ品の名前が。しかも片方はレアドロップだ。
 こんなのレアを選ぶしかない。だが。

『あれ⋯⋯?』

 アンケートを押そうとしても、画面はまったく反応しなかった。これが恐らく自分のスキル、アンケートの能力の筈なのに。

「あれ?あれ?」

 スマホの感知が悪いのかと、何度も押してみるも結果は変わらない。再起動しようものなら配信が切れてしまう。どうしたものか。

「あの⋯⋯、どうかなさったんですか?」
 先程助けた美少女が恐る恐る聞いてくる。
「配信画面が反応しなくて⋯⋯。」
 美織は泣きそうになりながら言った。

「ちょっと見せていただいてもいいですか?
 なにかわかるかも知れないので。」
「はい。」

 そう言ってくれた美少女に画面を見せる。
 すると、
「これ別に普通に配信されてますよ?何が問題なんですか?」

 と言われてしまった。
「アンケートを選びたいのに、選べないんです。ここの、ほら、これ⋯⋯。」
 と美織は指さした。

「ああ、これ、配信者画面ですから、それはそうですよ。選べるのはリスナー。視聴者側だけです。」
「視聴者!?」

「視聴者にアンケート回答してもらう為の機能ですから⋯⋯。リスナーさんに押していただいては?」

 それを聞いて美織はますます泣きそうになる。
「私、同接0なんです⋯⋯。」

「え!?あんなに凄いのに!?」
 美少女は驚いた表情でそう言った。

「誰か!来て下さい!アンケートに回答してぇ!ラミアの毒剣がぁ!」
 美織は叫ぶも、同接は当然増えない。

「あの⋯⋯せめてものお礼に、うちの視聴者誘導しましょうか?」
「え!?いいんですか?」

「アンケートに回答してもらえばいいんですよね?うちの視聴者さんたちは優しいので、多分そのくらいならやってくれると思います。チャンネル名はなんて言うんですか?」

「単独討伐・剣呑寺いおりチャンネルです⋯⋯。」
「わかりました、今から皆さんにお伝えしますね。配信にのせてもいいですか?」

「あっ!ごめんなさい!カメラはちょっと!私Vtuberなので⋯⋯。」
「あ、ごめんなさい、失礼しました。」
 美少女が慌てて謝る。

「あれ?あれ?」
「どうしました?」
「なんでか、アンケートがカウントダウンをはじめて………。」

「ああそれ、配信者が締め切らなくても、自動で公開されるシステムなんですよ。」
「いやあああ!ドロップが!レアドロップが消えちゃう!!」

 美織は焦って叫んだ。
「誘導すればいいんですよね!?急ぎますから!みんな!今私を助けてくれた人の放送にいって、アンケートを押してくれないかな?剣呑寺いおりチャンネル!ええと……。」

「ラミアの毒剣!ラミアの毒剣を選択してください!」
「聞こえたかな?ラミアの毒剣を選んでね!みんな時間ないよ、急いで!」

:ラミアの毒剣?
:売れば200万になるレアドロップだ
:見てきたけど、なんでそれとハイポーション2択なんだよ笑
:入れた

 美少女の配信画面にコメントが流れる。通常時の同接は7万人。人気のダンチューバーだ。今は人が死にかけているのを見に来た人間たちのせいで同接30万人になっていた。

「みんな、ありがと!」

:いえいえどういたしまして
:てかさっき、一瞬スゲー美少女映らんかった?
:まさか同年代の女の子が助けてくれたのか?
:Vtuberじゃん、顔出ししてないのか
:声かわいいな

「そうだよ、同い年くらいの女の子!」
 美少女はようやく落ち着いたのか、落ちていたカメラを拾って配信を続けている。

 その間に美織の配信のアンケート結果が出た。

【確定ドロップアンケート。
 1.ラミアの毒剣(56.3%)
 2.ハイポーション(43.7%)
 ラミアの毒剣が選択されました。】

「誰!?ハイポーションに入れたの!!私のアンケートで遊ばないでぇ!」

 美織は思わず叫んだが、なんとかギリギリでラミアの毒剣を選ぶことが出来た。

 目の前が光り、空中にラミアの毒剣が現れたかと思うと、ポトリと地面に落ちた。

「やっ……たあああ!初めてのドロップ!」
 喜ぶ美織に、
「え?ドロップ?今?」
 と美少女が驚く。

「はい、ラミアの毒剣を無事手に入れました。ありがとうございます!」

 その声を聞いた美少女の配信画面で視聴者たちがわく。

:マジか!?200万のレアドロップだぞ?
:証拠を見せろ!
:見たい!

「あの、うちの視聴者さんたちが、ラミアの毒剣が見たいらしいんですが、見せていただくことは出来ますか?」

「ああ、うん、はい。これです!」

 美織は自分の配信画面でラミアの毒剣を映して見せた。
 2窓していた視聴者たちは大興奮だ。

:マジのラミアの毒剣だ!
:マ?
:しかもイレギュラーのレアドロップ!
:イレギュラーのレアドロップって、普通のドロップ品より性能がいいんだよな?
:てことは200万以上……?

「皆さんのおかげです!選んで貰えなかったら手に入りませんでした!」

:どゆこと?
:ドロップに選ぶもク/ソもねーだろ
:もとからあったんじゃねえの?

「これが私のスキルなんです!多分ドロップ確定だけど、アンケートで選ばれたものしか手に入れられないみたいで……。」

:マジかよ
:リスナーの責任重大
:ハイポーション選んだ奴ら土下座しろ

「これからも良かったら、ほんとなのかどうか確認がてら、見に来てくださいね!
 おつおりでした~!」
 美織は手を振って配信を終える。

 美少女の配信から流れて来てくれた視聴者もいて、残った同接が初の53人。
 美織は大満足だった。

「あ、ごめんなさい、放っておいて。あの、私、高坂美織《こうさかみおり》って言います。配信だと剣呑寺《けんのんじ》いおりでやってます!」

「私は狸穴琉夏《まみあなるか》です!配信だとルカルカでやってます!さっきは本当にありがとうごさいました!」

「いえいえ、お怪我がなくて何よりです。誘導もありがとうございました!おかげで初のドロップ品を手に入れられました!」

「え?初?始められたばかりなんですか?」
「いえ、かなり長いことやってるんですけど、私のスキルのせいか、一度もドロップがなくて……。でもこれからは平気そうです!」

 喜ぶ美織だったが、この時はまだ知らなかった。人気配信者のルカルカを助けたことで配信に人が集まることも、そのリスナーのアンケートに振り回されるということも……。

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