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第67話 工房長一家との再会④

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 夕食の席では、私の料理の感想を口々に言ってくれたり、みんなの最近の暮らしぶりを聞いたりして楽しい時間を過ごした。

 食事を済ませて食後のお茶を飲んでいる時に、ふと思い出したことを質問してみた。
「そういえば、ここの村の方々は、1度に集まる機会などはないのでしょうか?」

「祭りの時くらいだな……。それがどうかしたかね?」
 工房長がフォークとナイフを手にしたまま、きょとんと首をかしげる。

「私、まだこの村にいらっしゃる全員にご挨拶が出来ていないので……。どこかでお目にかかれる機会があればなと思いまして。」

「ああ、そういえばそうだったね。確かレオンハルトさんに村を案内してもらっただけだったか。ふむ……。」
 工房長が顎をさすりながら思案する。

「はい、そうですね。皆さん農作業に忙しそうで、お声がけするのも憚られて……。ですが新しくこの村に住むことになったのに、いつまでもご挨拶しないのもおかしいですし。」

「……まあ、小さな村だからね、全員が顔見知りではある。少しでも早く挨拶したほうがいいだろうな。あなたの存在は気になっているだろうが、皆自分から声をかけてこないだろう?あれは紹介されるのを待ってるんだ。」
 工房長が人差し指を立てながら説明する。

「そうなのですか?」
「滅多にあることじゃないが、この村に移り住んでくる人間がいることもある。そんな時は村長から紹介されることになっている。」
 アルベルトのお父さまがそう言った。

「では、まずはその村長さんにご挨拶をしたほうがよろしいですね。村長さんは、どちらにお住まいでしょうか?」

「それが最近屋根から落ちて大怪我をして以来、体調を崩していてね……。滅多に村に顔を出さない。だからあなたのことは報告していたが、あなたを紹介する役目を果たすことが出来ないでいたんだよ。」
 眉を下げながら工房長がため息をついた。

「屋根から……!?それは大変でしたね。治りが悪いということでしょうか?」
「医者の見立てじゃ、内臓を損傷した可能性があるらしい。それは薬では治らないと。」
 アルベルトのお父さまが目線を落とした。
「そんな……。」

「回復魔法使いか、聖魔法使いに頼むことが出来れば治るそうなんだが、それにはとてもお金がかかるんだ。ヨハンのおかげでだいぶ楽になってきてはいるが、それでもこんな小さな村だ。そこまでのお金は誰にもない。」
 工房長はそう言って頭を振った。

「──魔法で治るんですか?」
「ああ。それか、おそらくエクストラポーションがあれば治るそうだよ。だがどちらにしてもかなりのお金がかかる。村長を治すのは難しいだろう……。」
 そう言って工房長も目線を落とす。

「……それ、私にどうにか出来るかも知れません。どうか1度私に任せていただけませんか?村長のお体が治れば、村の方たちに私を紹介してくださるでしょうし。」

「紹介するというだけであれば、村長の代理をたててもらって、頼むことも出来るが?」
 アルベルトのお父さまがそう提案する。

「いえ、私でお役に立てそうなことなんですもの。せっかくなら、村長の怪我を直して、その上で村長から紹介いただきたいです。」

「ふむ……。」
「明日、図書館に行ってまいります。大変申し訳ないのですが、明日のお約束はなかったことにさせていただけませんでしょうか?」

「──図書館?なぜ、図書館に?」
 工房長が首をかしげる。
「図書館には、数多くの魔法を集めた書籍があります。そこで回復魔法か、聖魔法の魔法陣を調べて来ようと思います。」

「……だが、調べただけでは、どうにもならないんじゃないのかね?魔法は素養がなければ使えないと聞く。それともあなたは、回復魔法か聖魔法の使い手なのかね?」
 少し詰問するように、アルベルトのお父さまが私に質問をしてくる。

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