養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
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第45話 これは多分デート……です②
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農夫さんからお借りしておいたハサミで、根本の少し上を切り取った。
可愛い可愛い私のイチゴ。
あなたなら絶対負けないわ!
「どうだ?いいのが見つかったか?」
畝の向こうからレオンハルトさまの声がする。顔を上げると、葉っぱの隙間から顔を出してこちらを覗いているのが見えた。
「ふふふ。いいのが見つかりました。
絶対負けませんよ!」
「ほう、ならこっちも頑張らないとな。」
そう言ってまた消えていった。
畝の1番最後まで気を抜かずに、1番大きいイチゴを探したけれど、やっぱりさっきのものが1番大きなイチゴのようだった。
「さて、ここが最後だな。
さっそく大きさを、比べてみようか。」
「ええ!これです!」
私が出したイチゴと、レオンハルトさまが出したイチゴを、お互いの手のひらの上に乗せて比べてみる。
「大きさはそんなに変わらないような気もするが、若干嬢ちゃんのほうがデカいな。」
「そうでしょう!頑張りましたもの!」
「だが肝心なのは味だな。さっきみたく食べてみたら酸っぱいってこともあるからな。」
「じゃあ、さっそく食べてみましょう!
んっ、あまい……。美味しいです……。」
「こっちも甘い。美味いぞ。
こりゃ、勝負は嬢ちゃんの勝ちだな。」
「ふふ、頑張りましたから。」
ニコニコしている私の唇から、イチゴの汁をスッと指先で拭って微笑むと、
「確かに、すごく甘そうだ。」
私の唇を見つめてそう言った。
イチゴ、じゃなくて、私の唇が甘そうと言われている気分になって、思わずドキッとしてしまう。ほんとに悩ましい人ね。
「……こ、こんな風に、イチゴを直接取って食べられる場所があるといいですね。平民も貴族も、娯楽は少ないものですから、きっと人気が出ると思います。」
「客が入って土が荒らされるのはなあ……。
人がたくさん入ると土が固くなるんだ。」
「作付面積を増やすなら、納品する物を作る場所とお客さんを入れる場所をわけてはどうですか?観光客用を専用に作るんですよ。」
「……確かに、それならいいかも知れん。
観光客が来るなら、土産物だったり、新しい商売も始められるようになるだろう。
さっそくヨハンと相談だな。」
「ええ、きっと人気が出ると思いますわ。
家族で来たり、友人と来たり、こんな風にデート……したり……。」
デート、と言ってしまってから、ハッとする。私、レオンハルトさまと、デートしている気分だったのかしら?
「そうだな、いいんじゃないか?恋人とイチゴを食べにくるデートってのも。」
レオンハルトさまがニヤリとする。
「い、今のは聞かなかったことにしてください……。ごめんなさい恥ずかしいことを。」
「そうか?まあ構わんが。」
気にしないそぶりでそう言うと、レオンハルトさまは、他を案内しよう、と小屋の外に出るよう私をうながした。
農夫さんに2人でお礼を言って、透明な小屋をあとにする。次に案内してくれたのは小さな泉だった。素敵……!たくさん花が咲いていて、木漏れ日が泉に差し込んでいるわ。
とても幻想的な雰囲気ね。この村にこんな場所があったなんて。次に絵の具が手に入ったら、ここでも絵を描いてみたいわね。
「ここなんて、絵を描くのにいいんじゃないか?嬢ちゃんが好きそうだと思ってな。メルティドラゴンの花畑も気に入ってただろ?」
「ええ、こういう場所、とても好きなんです。
よく人を見てらっしゃるんですね。」
「別に誰でも見てるわけじゃないがな。」
「え……?」
思わせぶりなことを言いながら、地面にしゃがみ込んで、足元に落ちていた小石を拾って泉に放り投げ、水面に波紋を広げるレオンハルトさま。風が拭いて、反対側から風が作った波紋と重なり、美しい重なりを見せた。
「きれい……。」
「こういう遊びは初めてか?
子どもの頃は、よくやったもんだが。」
「ええ、試したことがないです。波紋って重なると、こんな風になるものなんですね。」
「これが不思議で面白くてな。
よくやったもんだ。」
再びしゃがみ込んで地面から石を拾うと、
「やってみるか?水面が少し落ち着いたらやろう。俺もやるから3つ重ねてみよう。」
と言った。
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可愛い可愛い私のイチゴ。
あなたなら絶対負けないわ!
「どうだ?いいのが見つかったか?」
畝の向こうからレオンハルトさまの声がする。顔を上げると、葉っぱの隙間から顔を出してこちらを覗いているのが見えた。
「ふふふ。いいのが見つかりました。
絶対負けませんよ!」
「ほう、ならこっちも頑張らないとな。」
そう言ってまた消えていった。
畝の1番最後まで気を抜かずに、1番大きいイチゴを探したけれど、やっぱりさっきのものが1番大きなイチゴのようだった。
「さて、ここが最後だな。
さっそく大きさを、比べてみようか。」
「ええ!これです!」
私が出したイチゴと、レオンハルトさまが出したイチゴを、お互いの手のひらの上に乗せて比べてみる。
「大きさはそんなに変わらないような気もするが、若干嬢ちゃんのほうがデカいな。」
「そうでしょう!頑張りましたもの!」
「だが肝心なのは味だな。さっきみたく食べてみたら酸っぱいってこともあるからな。」
「じゃあ、さっそく食べてみましょう!
んっ、あまい……。美味しいです……。」
「こっちも甘い。美味いぞ。
こりゃ、勝負は嬢ちゃんの勝ちだな。」
「ふふ、頑張りましたから。」
ニコニコしている私の唇から、イチゴの汁をスッと指先で拭って微笑むと、
「確かに、すごく甘そうだ。」
私の唇を見つめてそう言った。
イチゴ、じゃなくて、私の唇が甘そうと言われている気分になって、思わずドキッとしてしまう。ほんとに悩ましい人ね。
「……こ、こんな風に、イチゴを直接取って食べられる場所があるといいですね。平民も貴族も、娯楽は少ないものですから、きっと人気が出ると思います。」
「客が入って土が荒らされるのはなあ……。
人がたくさん入ると土が固くなるんだ。」
「作付面積を増やすなら、納品する物を作る場所とお客さんを入れる場所をわけてはどうですか?観光客用を専用に作るんですよ。」
「……確かに、それならいいかも知れん。
観光客が来るなら、土産物だったり、新しい商売も始められるようになるだろう。
さっそくヨハンと相談だな。」
「ええ、きっと人気が出ると思いますわ。
家族で来たり、友人と来たり、こんな風にデート……したり……。」
デート、と言ってしまってから、ハッとする。私、レオンハルトさまと、デートしている気分だったのかしら?
「そうだな、いいんじゃないか?恋人とイチゴを食べにくるデートってのも。」
レオンハルトさまがニヤリとする。
「い、今のは聞かなかったことにしてください……。ごめんなさい恥ずかしいことを。」
「そうか?まあ構わんが。」
気にしないそぶりでそう言うと、レオンハルトさまは、他を案内しよう、と小屋の外に出るよう私をうながした。
農夫さんに2人でお礼を言って、透明な小屋をあとにする。次に案内してくれたのは小さな泉だった。素敵……!たくさん花が咲いていて、木漏れ日が泉に差し込んでいるわ。
とても幻想的な雰囲気ね。この村にこんな場所があったなんて。次に絵の具が手に入ったら、ここでも絵を描いてみたいわね。
「ここなんて、絵を描くのにいいんじゃないか?嬢ちゃんが好きそうだと思ってな。メルティドラゴンの花畑も気に入ってただろ?」
「ええ、こういう場所、とても好きなんです。
よく人を見てらっしゃるんですね。」
「別に誰でも見てるわけじゃないがな。」
「え……?」
思わせぶりなことを言いながら、地面にしゃがみ込んで、足元に落ちていた小石を拾って泉に放り投げ、水面に波紋を広げるレオンハルトさま。風が拭いて、反対側から風が作った波紋と重なり、美しい重なりを見せた。
「きれい……。」
「こういう遊びは初めてか?
子どもの頃は、よくやったもんだが。」
「ええ、試したことがないです。波紋って重なると、こんな風になるものなんですね。」
「これが不思議で面白くてな。
よくやったもんだ。」
再びしゃがみ込んで地面から石を拾うと、
「やってみるか?水面が少し落ち着いたらやろう。俺もやるから3つ重ねてみよう。」
と言った。
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