養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中
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第44話 レオンハルトさまとの再会②
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「へえ。それで、家を出たってのは?」
食べながらレオンハルトさまが尋ねる。
「あれから無事に、私の描く絵が魔法絵と認められたので、家を出ることにしたんです。」
「そいつはおめでとう。ようやく離婚への第一歩ってところだな。」
レオンハルトさまがフッと微笑んでくる。
「はい、まだ離婚を宣言しただけで、具体的なことはこれからになりますが、収入のあてもできましたし、見通しは明るいです。」
私はにっこりと微笑み返した。
「……ですがそれを夫に告げたら、夜に追い出されてしまって。泊まるところがなくて、昨日は工房長の家にお世話になったんです。」
「ずいぶんと乱暴なんだな、あんたの旦那さんは。ちらっと聞いていた以上だな。」
驚いたように私を見るレオンハルトさま。
「……私も馬鹿だったんです。イザークの性格を考えれば、追い出される可能性もじゅうぶんあったのに。喧嘩腰になってしまって。
工房長からお借りした絵の具を、夫が売ってしまったんです。それでカッとなって。」
「売り言葉に買い言葉ってやつか。」
「そうかも知れませんね。今までずっと我慢していたので、噴出してしまって……。工房長がいなかったら野宿するところでした。」
「今までよく我慢していたよ。……そんなに自分を責めるな。それまでよくやったと、自分で自分を褒めてやるんだな。」
優しくそう言ってくれる。涙が出そうだ。
「そうですね……。そうします。」
「そういや、この村で、昨日の夜中に捕物があったらしいな。さっき、木に縛られていた男が、役人に連れて行かれたよ。」
「それ、工房長と、その息子さんとお孫さんが捕まえてくれたんです。私をこの村まで送ってきてくれた御者だったんですけど、……お金をたくさん寄越せって脅されて。」
「ひょっとして、辻馬車を捕まえたのか?」
「はい。」
「辻馬車は許可を取らずにやっている、タチの悪いのも多い。気をつけたほうがいい。」
「そうですね、あんな荒くれ者みたいな人がやっているものだとは知りませんでした。」
「これからは、馬蹄のマークをランタンの下の位置にぶら下げてるのを選ぶといい。」
「なにか違うんですか?」
「商会が運営している辻馬車なんだ。野良辻と違って、そこは安心なのさ。夜に乗るなら間違いなく平民はそこの馬車を選ぶ。」
「そうだったんですね……。
私、何も知らなくて……。」
「ついこの間まで貴族の奥様だったなら、普通はそうさ。これから覚えていけばいい。」
「そうですね、色々教えていただけますか?
平民のことは、何もわからなくて……。」
「ああ、ご近所さんのよしみだ、色々アドバイスさせてもらうよ。」
「ありがとうございます。」
「最初のアドバイスだ。そのイチゴを食べてみな。とても甘くて美味しいぜ?」
レオンハルトさまが優しく微笑む。
「本当ですか?最後に食べようと思っていたんですけど、さっそく食べてみますね。
……んっ。すっぱ!?」
このイチゴ、見た目赤いのに酸っぱいわ!
「え!本当ですか!申し訳ありません!」
店員さんが慌てたような声で言う。
「おやおや、ハズレだったんだな。
こっちを食べてみろよ。甘いぞ?」
そう言って、レオンハルトさまが自分のプレートの上のイチゴを指さした。
「いただいてしまっていいんですか?」
「どうぞ?──ほら。」
そう言って、イチゴをつまんで差し出してくれるレオンハルトさま。
「……あの、自分で食べられますよ?」
お店の人の前でこれはだいぶ恥ずかしい。
────────────────────
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食べながらレオンハルトさまが尋ねる。
「あれから無事に、私の描く絵が魔法絵と認められたので、家を出ることにしたんです。」
「そいつはおめでとう。ようやく離婚への第一歩ってところだな。」
レオンハルトさまがフッと微笑んでくる。
「はい、まだ離婚を宣言しただけで、具体的なことはこれからになりますが、収入のあてもできましたし、見通しは明るいです。」
私はにっこりと微笑み返した。
「……ですがそれを夫に告げたら、夜に追い出されてしまって。泊まるところがなくて、昨日は工房長の家にお世話になったんです。」
「ずいぶんと乱暴なんだな、あんたの旦那さんは。ちらっと聞いていた以上だな。」
驚いたように私を見るレオンハルトさま。
「……私も馬鹿だったんです。イザークの性格を考えれば、追い出される可能性もじゅうぶんあったのに。喧嘩腰になってしまって。
工房長からお借りした絵の具を、夫が売ってしまったんです。それでカッとなって。」
「売り言葉に買い言葉ってやつか。」
「そうかも知れませんね。今までずっと我慢していたので、噴出してしまって……。工房長がいなかったら野宿するところでした。」
「今までよく我慢していたよ。……そんなに自分を責めるな。それまでよくやったと、自分で自分を褒めてやるんだな。」
優しくそう言ってくれる。涙が出そうだ。
「そうですね……。そうします。」
「そういや、この村で、昨日の夜中に捕物があったらしいな。さっき、木に縛られていた男が、役人に連れて行かれたよ。」
「それ、工房長と、その息子さんとお孫さんが捕まえてくれたんです。私をこの村まで送ってきてくれた御者だったんですけど、……お金をたくさん寄越せって脅されて。」
「ひょっとして、辻馬車を捕まえたのか?」
「はい。」
「辻馬車は許可を取らずにやっている、タチの悪いのも多い。気をつけたほうがいい。」
「そうですね、あんな荒くれ者みたいな人がやっているものだとは知りませんでした。」
「これからは、馬蹄のマークをランタンの下の位置にぶら下げてるのを選ぶといい。」
「なにか違うんですか?」
「商会が運営している辻馬車なんだ。野良辻と違って、そこは安心なのさ。夜に乗るなら間違いなく平民はそこの馬車を選ぶ。」
「そうだったんですね……。
私、何も知らなくて……。」
「ついこの間まで貴族の奥様だったなら、普通はそうさ。これから覚えていけばいい。」
「そうですね、色々教えていただけますか?
平民のことは、何もわからなくて……。」
「ああ、ご近所さんのよしみだ、色々アドバイスさせてもらうよ。」
「ありがとうございます。」
「最初のアドバイスだ。そのイチゴを食べてみな。とても甘くて美味しいぜ?」
レオンハルトさまが優しく微笑む。
「本当ですか?最後に食べようと思っていたんですけど、さっそく食べてみますね。
……んっ。すっぱ!?」
このイチゴ、見た目赤いのに酸っぱいわ!
「え!本当ですか!申し訳ありません!」
店員さんが慌てたような声で言う。
「おやおや、ハズレだったんだな。
こっちを食べてみろよ。甘いぞ?」
そう言って、レオンハルトさまが自分のプレートの上のイチゴを指さした。
「いただいてしまっていいんですか?」
「どうぞ?──ほら。」
そう言って、イチゴをつまんで差し出してくれるレオンハルトさま。
「……あの、自分で食べられますよ?」
お店の人の前でこれはだいぶ恥ずかしい。
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