養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中
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第27話 独りぼっちのドラゴンの子ども②
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先程まで寝ていたメルティドラゴンの子どもが、突然体を半分起こしたかと思うと、
「アギャア。」
と鳴いてレオンハルト様を見た。私はそれを見て思わずビクッとしてしまう。
「お前の分もちゃんとあるぞ。そんなところで寝てないで、こっちに来い。」
レオンハルト様がそう言うと、メルティドラゴンの子どもは、のそりと起き上がって、ゆっくりとこちらに近付いて来た。
「──直接やってみるか?」
そう言って、レオンハルト様が私に、メルティドラゴンの子ども用のクッキーを渡す。
ちなみにお砂糖がちょっぴりだけの、ジンジャークッキーだそうだ。普通に作る時は、かなりタップリとお砂糖を入れるものね。
自然界にはそこまで強い甘みの食べ物はないから、さすがに普通のお砂糖入りは、甘過ぎるということなのかも知れないわ。
「ほら、こっちにおいで?」
膝をついて腰を浮かせた体勢のまま、怖くないよ~、とクッキーを持った手を差し出すけれど、やっぱりまだ信用してくれていないようだ。じっと様子を伺ったまま、途中で立ち止まり、こちらに近付いても来ない。
ううん、どうしたら仲良くなれるかしら?
「一緒にやってみるか。」
そう言うと、レオンハルト様が後ろから覆いかぶさるようにして、私の手にご自分の手を重ねて添えながら、私と一緒にメルティドラゴンの子どもにジンジャークッキーを差し出した。ちょっと……、無頓着が過ぎるわ!
レオンハルト様との距離が近過ぎて……。
私は高鳴る鼓動がレオンハルト様に聞こえてないか、私の背中にレオンハルト様の胸が少しでもついたら、直接伝わってしまうんじゃないかと、そちらにばかり気を取られてしまっている間に、メルティドラゴンの子どもは、のそりとこちらに近付いて来て、私の手から直接クッキーをパクリと食べると、私の手についた粉をペロペロと舐め始める。
パクリと指ごとクッキーを食べられた時は驚いたけれど、歯がないのか、不思議な感触が心地よい。メルティドラゴンの子どもは、私を見上げて、アギャア、とお代わりを要求した。黒目いっぱいのお目々が愛らしい。
こうして見ると、ドラゴンというのは、とっても可愛らしい生き物だった。
撫でてみたいかも……。でも、だいじょうぶかしら?触られるのは嫌かも知れないし。
「レオンハルト様、ちょっとこの子に触っても大丈夫ですか?撫でてみたくて。」
そう言うと、レオンハルト様はちょっと私を見て目を丸くした。
「俺以外でドラゴンを撫でようって奴がいるとはな。ああ、優しく撫でてやるといい。」
私は恐る恐るメルティドラゴンの子どもに近づいた。そして、ゆっくりと手を近づけていくと、メルティドラゴンの子どもが、イタズラするかのように鼻先でツンっと突いた。
「きゃっ!」
びっくりして思わず尻もちをついてよけると、メルティドラゴンの子どもが、急に後ろに下がってお尻をフリフリしながら助走をつけて、私を追いかけるように走り出した。
「きゃあっ!ちょっ、ちょっと待って!」
「おい、落ち着け。」
「きゃあっ!?」
レオンハルト様が私の腕を引っ張ってくれたおかげで、私はメルティドラゴンの子どもの突進をさけられたけど、そのままドサリとレオンハルト様の上に倒れ込んでしまう。
「あ、ありがとうございます……。」
レオンハルト様を押し倒すような形になってしまい、慌てて起き上がって体の上からどいた。私は真っ赤になる顔をレオンハルト様に見せたくなくてうつむいたけど、視界の端に、髪をかきあげながら私を見上げている、視覚の暴力のような、艶っぽいレオンハルト様の姿が目に入ってドキドキする。
「まったく、お前さんは本当にそそっかしいな。これじゃ目が離せんよ。」
レオンハルト様に呆れたようにそう言われてしまって、申し訳ありませんと言うしかなかった。普段はこんなに落ち着きがないほうじゃないのに……。
もう……。レオンハルト様には、変なところばかり見られている気がするわ。
「もう、そんな風に追いかけて来なくても、あなたももう少し、ゆっくり近付いてくれたら、私は逃げたりしないのに……。
急に人に向かって突進しては駄目よ?」
私がメルティドラゴンの子どもに、めっ!と言うと、メルティドラゴンの子どもは、不思議そうに首をかしげて私を見つめていた。
可愛いけれど、ちょっと乱暴なのかしら?
「遊んでいるつもりなんだろう。
お前さん気に入られたみたいだな。」
体を起こしつつ、レオンハルト様が笑う。
そうなのかしら?だとしたら嬉しいけど。
メルティドラゴンの子どもがのそりと近付いて来て、私の膝に前足を乗せてくる。
「撫でてもだいじょうぶだろ。」
と言われて撫でてみると、メルティドラゴンの子どもは私に撫でられるに任せていた。
「可愛らしいだろ?」
レオンハルト様がそう言ってくる。
「はい。本当に可愛らしいですね。」
私はメルティドラゴンの子どもに視線を移して、優しく撫でた。メルティドラゴンの子どもも気持ち良さそうに目を細めていた。
ドラゴンは群れをなさないというから、この子はここで独りぼっちなのだわ。寂しくはないのかしら。独りぼっちでご飯を食べて。話し相手もいなくて。……まるで自分のようだと、ドラゴンの子を撫でながら思った。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
「アギャア。」
と鳴いてレオンハルト様を見た。私はそれを見て思わずビクッとしてしまう。
「お前の分もちゃんとあるぞ。そんなところで寝てないで、こっちに来い。」
レオンハルト様がそう言うと、メルティドラゴンの子どもは、のそりと起き上がって、ゆっくりとこちらに近付いて来た。
「──直接やってみるか?」
そう言って、レオンハルト様が私に、メルティドラゴンの子ども用のクッキーを渡す。
ちなみにお砂糖がちょっぴりだけの、ジンジャークッキーだそうだ。普通に作る時は、かなりタップリとお砂糖を入れるものね。
自然界にはそこまで強い甘みの食べ物はないから、さすがに普通のお砂糖入りは、甘過ぎるということなのかも知れないわ。
「ほら、こっちにおいで?」
膝をついて腰を浮かせた体勢のまま、怖くないよ~、とクッキーを持った手を差し出すけれど、やっぱりまだ信用してくれていないようだ。じっと様子を伺ったまま、途中で立ち止まり、こちらに近付いても来ない。
ううん、どうしたら仲良くなれるかしら?
「一緒にやってみるか。」
そう言うと、レオンハルト様が後ろから覆いかぶさるようにして、私の手にご自分の手を重ねて添えながら、私と一緒にメルティドラゴンの子どもにジンジャークッキーを差し出した。ちょっと……、無頓着が過ぎるわ!
レオンハルト様との距離が近過ぎて……。
私は高鳴る鼓動がレオンハルト様に聞こえてないか、私の背中にレオンハルト様の胸が少しでもついたら、直接伝わってしまうんじゃないかと、そちらにばかり気を取られてしまっている間に、メルティドラゴンの子どもは、のそりとこちらに近付いて来て、私の手から直接クッキーをパクリと食べると、私の手についた粉をペロペロと舐め始める。
パクリと指ごとクッキーを食べられた時は驚いたけれど、歯がないのか、不思議な感触が心地よい。メルティドラゴンの子どもは、私を見上げて、アギャア、とお代わりを要求した。黒目いっぱいのお目々が愛らしい。
こうして見ると、ドラゴンというのは、とっても可愛らしい生き物だった。
撫でてみたいかも……。でも、だいじょうぶかしら?触られるのは嫌かも知れないし。
「レオンハルト様、ちょっとこの子に触っても大丈夫ですか?撫でてみたくて。」
そう言うと、レオンハルト様はちょっと私を見て目を丸くした。
「俺以外でドラゴンを撫でようって奴がいるとはな。ああ、優しく撫でてやるといい。」
私は恐る恐るメルティドラゴンの子どもに近づいた。そして、ゆっくりと手を近づけていくと、メルティドラゴンの子どもが、イタズラするかのように鼻先でツンっと突いた。
「きゃっ!」
びっくりして思わず尻もちをついてよけると、メルティドラゴンの子どもが、急に後ろに下がってお尻をフリフリしながら助走をつけて、私を追いかけるように走り出した。
「きゃあっ!ちょっ、ちょっと待って!」
「おい、落ち着け。」
「きゃあっ!?」
レオンハルト様が私の腕を引っ張ってくれたおかげで、私はメルティドラゴンの子どもの突進をさけられたけど、そのままドサリとレオンハルト様の上に倒れ込んでしまう。
「あ、ありがとうございます……。」
レオンハルト様を押し倒すような形になってしまい、慌てて起き上がって体の上からどいた。私は真っ赤になる顔をレオンハルト様に見せたくなくてうつむいたけど、視界の端に、髪をかきあげながら私を見上げている、視覚の暴力のような、艶っぽいレオンハルト様の姿が目に入ってドキドキする。
「まったく、お前さんは本当にそそっかしいな。これじゃ目が離せんよ。」
レオンハルト様に呆れたようにそう言われてしまって、申し訳ありませんと言うしかなかった。普段はこんなに落ち着きがないほうじゃないのに……。
もう……。レオンハルト様には、変なところばかり見られている気がするわ。
「もう、そんな風に追いかけて来なくても、あなたももう少し、ゆっくり近付いてくれたら、私は逃げたりしないのに……。
急に人に向かって突進しては駄目よ?」
私がメルティドラゴンの子どもに、めっ!と言うと、メルティドラゴンの子どもは、不思議そうに首をかしげて私を見つめていた。
可愛いけれど、ちょっと乱暴なのかしら?
「遊んでいるつもりなんだろう。
お前さん気に入られたみたいだな。」
体を起こしつつ、レオンハルト様が笑う。
そうなのかしら?だとしたら嬉しいけど。
メルティドラゴンの子どもがのそりと近付いて来て、私の膝に前足を乗せてくる。
「撫でてもだいじょうぶだろ。」
と言われて撫でてみると、メルティドラゴンの子どもは私に撫でられるに任せていた。
「可愛らしいだろ?」
レオンハルト様がそう言ってくる。
「はい。本当に可愛らしいですね。」
私はメルティドラゴンの子どもに視線を移して、優しく撫でた。メルティドラゴンの子どもも気持ち良さそうに目を細めていた。
ドラゴンは群れをなさないというから、この子はここで独りぼっちなのだわ。寂しくはないのかしら。独りぼっちでご飯を食べて。話し相手もいなくて。……まるで自分のようだと、ドラゴンの子を撫でながら思った。
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