23 / 34
第8話 ▷逃げる だが逃げられない!②
しおりを挟む
アリシアが絶句している。
まあ、それも仕方ないか。
だって、今の僕らのレベルだと、なかなか手に入れられないものだし……。
「でも、これを売ればお金になるかな?」
「売れると思うけど、冒険者ギルドに証拠品として提出させられるんじゃ……?」
アリシアの言葉にエリザベートが言う。
「うーん……、そうだね、報告する時に回収されちゃうかも。まあいいか!今はそれよりも、戻ることを優先しよう!
証拠はこれでじゅうぶんだよ。」
「そうね、最下層に降りるのは危険だわ。
私もそれがいいいと思う。」
ゾフィーがうなずいた。
全員一致でダンジョンを出て、戻って冒険者ギルドに報告することにした。
戻る最中も再び魔物がわいていた。大した数じゃないけど、わくまでの時間が短くなっている気がする。僕がしんがりをつとめながら、時々現れる魔物を倒していく。
「きゃあっ!?」
先頭を歩いていたアリシアが、突如大声をあげて立ち止まった。
「うわぁ!……ビックリした。」
「ちょっと!いきなり叫ばないでよ!」
「ごめんなさい!……って、これは……」
僕たち4人は、目の前に現れたものを見て唖然としていた。何故なら、巨大なスライムに、地上につながる道を塞がれていたから。
「スライムだよね……?」
「えっと……はい。そう見えますね。」
「……ただのスライムじゃないわよ。こいつ……、きっと上位種よ。」
そうなのだ。僕らの前に現れたスライムには、通常の個体にはない特徴があった。
まず、大きさが違う。通常、スライムは両手の指先を合わせて丸を作ったくらいの大きさなのだ。しかし、今僕らの前にいるスライムは、ゆうに天井近い大きさだった。
「色が違いますね?」
「そういえば、灰色っぽい色をしているわ。──まるで、金属みたいな。」
普通のスライムの色は緑色なんだけど、目の前にいるスライムは灰色をしている。スライムが集まってキングスライムになった場合も、緑色にならなきゃおかしいのに。
「それに、何か妙な魔力を感じる気がするんだけど……」
「私も同じことを思ったわ。」
「……」
「……」
「とりあえず倒してみようか。」
「そうですね!」
「わかったわ。」
僕たちは出口につながる道を塞いでいる、スライムの上位種の討伐を行うことにした。
「よし!じゃあ、いくぞ!」
「はい!」
「ええ!」
「──横一線!」
僕はいつも通り、横一線を放つ。だけど、
「え?効いてない?」
確かに命中したはずなのに、いっさいのダメージを与えられていないようだ。
「なにやってるの?いきましょ!」
「──風の刃!!
──炎の礫!!」
「──聖なる斬撃!!」
ゾフィーとエリザベートの攻撃が、確かにキングスライムに命中したのに、やはり大したダメージを受けているように見えない。
「おかしいわ!
今までこんな事なかったのに!」
「固すぎるわ!普通じゃない!」
「とにかく、もう一度やってみましょう!
──混ざり合う破壊者!!」
「ああ!」
「アリシアでも駄目なの……?」
はじかれるでもなく、ぬるっと剣がスライムの体の上をすべった。
──突然、灰色のキングスライムが動き出した。そしてこちらに向かって、その巨体に似合わぬ動きで、ポンポンと飛び跳ねながら襲いかかってくる。
「危ない!避けろ!」
「きゃあっ!」
「くっ!」
「ぐぅっ……」
僕はかじろうて避けることはできたけど、ぶつかられた衝撃で、アリシア、ゾフィー、エリザベートは吹き飛ばされてしまう。
「大丈夫ですか!?」
「なんとかね……」
「でも、あのキングスライム、どうしたら倒せるの?攻撃が通らないし、隙を見て逃げようにも、動きが早すぎるわ!」
「いったいどうしたら……。」
「なんであんな魔物がいるのよ!?」
「わからないけど……、何か変だよ。」
「ピィイイイヤアアアァ!」
今度は、先程よりも速く襲ってきた。
「速いっ!?」
「マクシミリアンさん!
一旦攻撃は諦めましょう!
下になら降りれます!」
「そうだね!」
急いでその場を離れて、ダンジョン階下に通じる階段に向かう。すると、さっきまで僕らが立っていた場所に、
「ピギャァアーッ!!」
ドーン!!凄まじい勢いでぶつかった。
ダンジョンの壁面が、スライムがぶつかった衝撃で凹み、パラパラと石が崩れ落ちる。
「うそぉ……?」
「なんて攻撃力なの……。」
「信じられないわね……。」
コイツを倒さないと、ひょっとして地上に上がれない!?けど、無理だよ!
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 16
HP 167
MP 133
攻撃力 83
防御力 69
俊敏性 62
知力 91
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く モテる(猫限定) 目薬を外さない 美味しいお茶を淹れる 体臭が消せる 裸に見える 雨予報(15秒前) カツラを見抜ける 塩が見つかる 上手に嘘がつける 快便になる 他人の才能の芽が見える 相手がほんの少し素直になる 植物が育ちやすくなる おいしい水が手に入る 悪口が聞こえる
────────────────────
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
まあ、それも仕方ないか。
だって、今の僕らのレベルだと、なかなか手に入れられないものだし……。
「でも、これを売ればお金になるかな?」
「売れると思うけど、冒険者ギルドに証拠品として提出させられるんじゃ……?」
アリシアの言葉にエリザベートが言う。
「うーん……、そうだね、報告する時に回収されちゃうかも。まあいいか!今はそれよりも、戻ることを優先しよう!
証拠はこれでじゅうぶんだよ。」
「そうね、最下層に降りるのは危険だわ。
私もそれがいいいと思う。」
ゾフィーがうなずいた。
全員一致でダンジョンを出て、戻って冒険者ギルドに報告することにした。
戻る最中も再び魔物がわいていた。大した数じゃないけど、わくまでの時間が短くなっている気がする。僕がしんがりをつとめながら、時々現れる魔物を倒していく。
「きゃあっ!?」
先頭を歩いていたアリシアが、突如大声をあげて立ち止まった。
「うわぁ!……ビックリした。」
「ちょっと!いきなり叫ばないでよ!」
「ごめんなさい!……って、これは……」
僕たち4人は、目の前に現れたものを見て唖然としていた。何故なら、巨大なスライムに、地上につながる道を塞がれていたから。
「スライムだよね……?」
「えっと……はい。そう見えますね。」
「……ただのスライムじゃないわよ。こいつ……、きっと上位種よ。」
そうなのだ。僕らの前に現れたスライムには、通常の個体にはない特徴があった。
まず、大きさが違う。通常、スライムは両手の指先を合わせて丸を作ったくらいの大きさなのだ。しかし、今僕らの前にいるスライムは、ゆうに天井近い大きさだった。
「色が違いますね?」
「そういえば、灰色っぽい色をしているわ。──まるで、金属みたいな。」
普通のスライムの色は緑色なんだけど、目の前にいるスライムは灰色をしている。スライムが集まってキングスライムになった場合も、緑色にならなきゃおかしいのに。
「それに、何か妙な魔力を感じる気がするんだけど……」
「私も同じことを思ったわ。」
「……」
「……」
「とりあえず倒してみようか。」
「そうですね!」
「わかったわ。」
僕たちは出口につながる道を塞いでいる、スライムの上位種の討伐を行うことにした。
「よし!じゃあ、いくぞ!」
「はい!」
「ええ!」
「──横一線!」
僕はいつも通り、横一線を放つ。だけど、
「え?効いてない?」
確かに命中したはずなのに、いっさいのダメージを与えられていないようだ。
「なにやってるの?いきましょ!」
「──風の刃!!
──炎の礫!!」
「──聖なる斬撃!!」
ゾフィーとエリザベートの攻撃が、確かにキングスライムに命中したのに、やはり大したダメージを受けているように見えない。
「おかしいわ!
今までこんな事なかったのに!」
「固すぎるわ!普通じゃない!」
「とにかく、もう一度やってみましょう!
──混ざり合う破壊者!!」
「ああ!」
「アリシアでも駄目なの……?」
はじかれるでもなく、ぬるっと剣がスライムの体の上をすべった。
──突然、灰色のキングスライムが動き出した。そしてこちらに向かって、その巨体に似合わぬ動きで、ポンポンと飛び跳ねながら襲いかかってくる。
「危ない!避けろ!」
「きゃあっ!」
「くっ!」
「ぐぅっ……」
僕はかじろうて避けることはできたけど、ぶつかられた衝撃で、アリシア、ゾフィー、エリザベートは吹き飛ばされてしまう。
「大丈夫ですか!?」
「なんとかね……」
「でも、あのキングスライム、どうしたら倒せるの?攻撃が通らないし、隙を見て逃げようにも、動きが早すぎるわ!」
「いったいどうしたら……。」
「なんであんな魔物がいるのよ!?」
「わからないけど……、何か変だよ。」
「ピィイイイヤアアアァ!」
今度は、先程よりも速く襲ってきた。
「速いっ!?」
「マクシミリアンさん!
一旦攻撃は諦めましょう!
下になら降りれます!」
「そうだね!」
急いでその場を離れて、ダンジョン階下に通じる階段に向かう。すると、さっきまで僕らが立っていた場所に、
「ピギャァアーッ!!」
ドーン!!凄まじい勢いでぶつかった。
ダンジョンの壁面が、スライムがぶつかった衝撃で凹み、パラパラと石が崩れ落ちる。
「うそぉ……?」
「なんて攻撃力なの……。」
「信じられないわね……。」
コイツを倒さないと、ひょっとして地上に上がれない!?けど、無理だよ!
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 16
HP 167
MP 133
攻撃力 83
防御力 69
俊敏性 62
知力 91
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く モテる(猫限定) 目薬を外さない 美味しいお茶を淹れる 体臭が消せる 裸に見える 雨予報(15秒前) カツラを見抜ける 塩が見つかる 上手に嘘がつける 快便になる 他人の才能の芽が見える 相手がほんの少し素直になる 植物が育ちやすくなる おいしい水が手に入る 悪口が聞こえる
────────────────────
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる