勇者の孫は逆チート〜ハズレスキルしか手に入れられない不遇な男の、やがて英雄?になる物語〜

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第7話 ダンジョンの変調②

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 一応マジェスティアラン学園に通う生徒たちは、冒険者の真似事みたいなことをして経験値を稼ぐ人もいるんだけど。

 貴族令嬢はあくまで花嫁修業優先だから、レベル上げを頑張らないし、マジックバッグのことまで知ってる人は少ないかもね。

 剣や魔法の練習はするけど、実際使う場面に遭遇する仕事につかないもの。

「ちなみに、今僕が持っているものは、1番収納容量が大きくて、でもバッグ自体が小さくて、見た目よりたくさん物が入れられるマジックバッグなんだよ。」

「ええ!?そんなの、値段がつけられないんじゃない?本当に売ってるの!?」

「そ、それってもしかして、伝説の魔物からドロップしたマジックアイテムとか!?」

「そこまでじゃないよ、普通に売ってるものだしね。魔道具師さんが作ってるんだよ。
 まあ、たしかに、僕と同じくらい入るマジックバッグを持っている人は、この国に殆どいないとは思うけど。」

「すごすぎるわ……」

「こんなものがあるなんて、本当に信じられない……。」

 僕に、しまって見せてと言って、僕が出したものを、また中にしまうさまを見て、ゾフィーとエリザベートは呆然としている。

 ベルチェノワクロイス王国の王族である、王子殿下ですら持っていないものだから、2人が驚くのも無理はないと思う。

 こんなものを誕生日プレゼントに簡単にくれるんだから、我が家は本当にずれていると思う。

 ちなみに使用者登録が出来るので、マジックバッグを奪われたとしても、僕以外が勝手に使用することは出来ないから、泥棒や強盗なんかに盗まれることもない。

 使用者登録は作った工房に行かないと出来ないし、僕の意思だけで変えられるものでもないしね。

「よし!休憩終わり!行こうか!」

「そうですね!」

「行きましょう!
 ちょっと眠たくなってきちゃったから、体を動かして目をさまさないとね!」
 エリザベートの言葉にみんなが笑う。

 それからも順調に進み、地下15階まで到達した。

「ここからは出てくる魔物が、より強くなるから、気をつけてね。」

「ええ!」

「わかりました!」

「もちろんよ。」

「あと、なるべく1人で戦わないように。
 危なくなったらすぐ助けに入るから。」

「了解です!」

「頑張りましょうね!」

「たくさん経験値を稼ぐわ!」

 3人はやる気じゅうぶんのようだ。

「じゃあ、行くよ!」

「「ええ!」」

「はい!」

 そんな風に言ったものの、そこからは、僕の出番はほとんどなく戦闘が終了した。

 女性陣、強すぎるよ……。

 僕と言えば、ドロップアイテムを拾ってマジックバッグにしまう担当だった。

 5階下がるごとに出てくる階層ボスは、オーク、オーガ、ロックゴーレムなどだったけど、3人の連携の前にまったく歯が立たず、あっという間に倒されていく。

 既に地下25階を突破してしまった。順調過ぎて不安になるくらいだ。

 最下層のサイクロプスまで行こうかどうしようか、悩むところだなあ。

「ねえ、まだ行けるようだけど、どうする?
 ここで引き返すこともできるけど?」

 最下層ともなると、今までとはちょっとレベルが違うからね。

「うーん……、でもせっかくここまで来たんですもの!最後まで行ってみない?」

「そうねぇ……。ここまで来て帰るのももったいない気がしますし。」

 バイエルン姉妹がそう言う。確かに、このメンバーならいけそうな気もする。

 それに最初に会った時に、倒せなかったとはいえ、アリシアはたった1人で最下層のサイクロプスに挑んでいるのだ。そして、その後僕が単体だけなら倒している。

 イグナイトスティールもいるし、アリシアのストームホルトだっているのだ。危険は少ないと言えた。

「わかった!じゃあこのまま進もう!
 ただ、無理だと思ったりしたらすぐに言ってね?僕達はまだ新人なんだから。
 油断しないことだよ。」

「ありがとうございます!」

「助かるわ」

「頼りにしてるわよ?」

 正直さっきから全然役に立ってない気もするけど、言葉だけでもそう言ってくれるのは嬉しいな。

 その後も順調に進んでいき、とうとう地下30階にたどり着いた。今までとは入り口の雰囲気からして違う。最初の扉と同じように、重たい扉が目の前にあった。

 僕のお目当ての痺れ粘液を出すスライムは下層には現れないから、上で狩ってたい気もするけど、せっかくのパーティーだしな!

 それにアリシアはともかく、バイエルン姉妹と仲良くなれる機会は、早々ないだろうからね。
 もう少しいいところを見せておきたい。

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