11 / 34
第3話 (コメント採用回)チートな美少女は幸運10倍④
しおりを挟む
「私がマジェスティアラン学園に入学手続きに来た時に、願書を出してた方たちの、どなたかですね。」
──ようするに、願書を出せば殆ど入れるとはいえ、願書を提出しに来ただけの貴族と違って、入学確定の彼女は別の手続きをさせられたわけだ。
それを見ていた貴族には、あれが今年入る平民だとすぐに分かったことだろう。
それでちょっと嫌がらせをされた、というわけだ。
くだらないことをする奴がいるもんだ。
ダンジョンで何かあった場合、それは罪にならないとはいえ、これで本当に彼女が死んでたらどうするつもりだったのか。
僕は貴族が好きではないけど、いいやつもいることを知っている。けど、大半は貴族以外は人間だと思ってないようなのも、まだまだ多いのだ。
けど、そうした悪意にさらされたことを、気付いていない彼女に、わざわざ伝える気にもなれなかった。
「ここは確かに初心者向けのダンジョンだけど、下の階層に行くほど、かなり強い魔物が出るから、1人で行くのはあんまりオススメしないかな。」
「そうなんですね!気を付けます。
教えてくれてありがとうごさいます。」
「今日はもう、狩りはやめた方がいいんじゃない?
その……装備も……。」
そこで初めて、洋服がところどころ溶かされていることに気付いたらしい。
アリシアは真っ赤になって、そ、そうですね……、と言った。
「でも、聞いて下さい!凄い定着スクロールが出たんですよ!
幸運10倍って凄くないですか!?
それだけでも来た価値ありました!」
「そ、そうなんだ……。」
そんな超絶レア定着スクロールをドロップするだなんて。
さすが勇者候補というべきか。
1つのダンジョンの中での、1日の定着スクロールのドロップ率は決まっていると言われている。
そんな激レアがドロップしたのであれば、今日はもうレアドロップは望めないだろう。
家に帰ってから眺めようと思っていたスクロールにも、期待出来そうにもなかった。
「僕も今日はもう帰るよ。
予定外にサイクロプスと戦って、疲れちゃったしね。」
「あ……、ごめんなさい。
私のせいで……。」
「いずれ戦うつもりだったし、自分の実力が試せて良かったし、問題ないよ。」
申し訳なさそうにいうアリシアに、僕は手を振って笑ってみせた。
狭い通路を2人して登って外に出た瞬間、
──雨予報(15秒前)
スキルが反応した。
「あっ、雨!」
「えっ?」
僕は彼女を思わず抱きかかえて、洞窟の入り口に戻った。
15秒後、しっかりとザアザア降りの雨が急に降り出した。
「通り雨だと思うから、少し雨宿りしてから行こうか。」
「そ……そうですね……。」
2人がすれ違うのがギリギリのダンジョンの入り口で、僕は無意識に思い切り、半裸のアリシアを抱きしめていた。
「ご、ごごごごご、ごめん!
──イテッ!」
お互い真っ赤になって、僕はアリシアから離れようとしたけれど、通路が狭くて思い切り頭と腕を壁にぶつけてしまった。
そして僕から離れて壁にぶつかったアリシアの、溶けかけていた服が、その拍子に床にパサリ……と落ちた。
「──キャーッ!!」
アリシアが身をかがめて体を隠す。
「見、見てない!見てないから!」
僕はアイテムバッグから、中で寝泊まりする可能性も考えて持って来ていた、薄いブランケットを、彼女に背を向けたまま差し出した。
「も、もう、こっちを向いても大丈夫ですよ?」
振り向くと、アリシアはブランケットを体に巻き付けていた。
「装備、作り直さないと駄目だろ?
それ、多分サイズあってないと思うから、今度はちゃんと測って貰った方がいいと思うよ?」
雨が止むまでの間が気まずくて、他に話すことが思い浮かばなかった僕は、さっき気になった点をアリシアに伝えた。
「サイズ……、ちゃんと測って作って貰ったんです。
でも、その、何でか急に、……大きくなっちゃって。」
どことは聞くまい。
雨がやんだあと、僕はこんな格好のアリシアを1人で帰らせるのが心配で、彼女が学園の寮に入るまで、学園の負担で寝泊まりしているという宿まで送って行くことにした。
宿について、部屋の前まで送って別れようとした時、アリシアが僕の服の裾を掴んだ。
「──良かったら、その……。今度一緒に、防具作りに行ってくれませんか?
色々詳しそうだし、教えて欲しいなって思って……。」
アリシアが僕をじっと見つめている。
「う、うん、いいよ、僕でよければ……。」
僕はアリシアと出かける約束をした。
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 12
HP 157
MP 123
攻撃力 75
防御力 61
俊敏性 54
知力 84
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く モテる(猫限定) 目薬を外さない 美味しいお茶を淹れる 体臭が消せる 裸に見える 雨予報(15秒前) カツラを見抜ける 塩が見つかる 上手に嘘がつける ────────────────────
──こんなスキル、使えない……こともないのかも知れなかった。
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
──ようするに、願書を出せば殆ど入れるとはいえ、願書を提出しに来ただけの貴族と違って、入学確定の彼女は別の手続きをさせられたわけだ。
それを見ていた貴族には、あれが今年入る平民だとすぐに分かったことだろう。
それでちょっと嫌がらせをされた、というわけだ。
くだらないことをする奴がいるもんだ。
ダンジョンで何かあった場合、それは罪にならないとはいえ、これで本当に彼女が死んでたらどうするつもりだったのか。
僕は貴族が好きではないけど、いいやつもいることを知っている。けど、大半は貴族以外は人間だと思ってないようなのも、まだまだ多いのだ。
けど、そうした悪意にさらされたことを、気付いていない彼女に、わざわざ伝える気にもなれなかった。
「ここは確かに初心者向けのダンジョンだけど、下の階層に行くほど、かなり強い魔物が出るから、1人で行くのはあんまりオススメしないかな。」
「そうなんですね!気を付けます。
教えてくれてありがとうごさいます。」
「今日はもう、狩りはやめた方がいいんじゃない?
その……装備も……。」
そこで初めて、洋服がところどころ溶かされていることに気付いたらしい。
アリシアは真っ赤になって、そ、そうですね……、と言った。
「でも、聞いて下さい!凄い定着スクロールが出たんですよ!
幸運10倍って凄くないですか!?
それだけでも来た価値ありました!」
「そ、そうなんだ……。」
そんな超絶レア定着スクロールをドロップするだなんて。
さすが勇者候補というべきか。
1つのダンジョンの中での、1日の定着スクロールのドロップ率は決まっていると言われている。
そんな激レアがドロップしたのであれば、今日はもうレアドロップは望めないだろう。
家に帰ってから眺めようと思っていたスクロールにも、期待出来そうにもなかった。
「僕も今日はもう帰るよ。
予定外にサイクロプスと戦って、疲れちゃったしね。」
「あ……、ごめんなさい。
私のせいで……。」
「いずれ戦うつもりだったし、自分の実力が試せて良かったし、問題ないよ。」
申し訳なさそうにいうアリシアに、僕は手を振って笑ってみせた。
狭い通路を2人して登って外に出た瞬間、
──雨予報(15秒前)
スキルが反応した。
「あっ、雨!」
「えっ?」
僕は彼女を思わず抱きかかえて、洞窟の入り口に戻った。
15秒後、しっかりとザアザア降りの雨が急に降り出した。
「通り雨だと思うから、少し雨宿りしてから行こうか。」
「そ……そうですね……。」
2人がすれ違うのがギリギリのダンジョンの入り口で、僕は無意識に思い切り、半裸のアリシアを抱きしめていた。
「ご、ごごごごご、ごめん!
──イテッ!」
お互い真っ赤になって、僕はアリシアから離れようとしたけれど、通路が狭くて思い切り頭と腕を壁にぶつけてしまった。
そして僕から離れて壁にぶつかったアリシアの、溶けかけていた服が、その拍子に床にパサリ……と落ちた。
「──キャーッ!!」
アリシアが身をかがめて体を隠す。
「見、見てない!見てないから!」
僕はアイテムバッグから、中で寝泊まりする可能性も考えて持って来ていた、薄いブランケットを、彼女に背を向けたまま差し出した。
「も、もう、こっちを向いても大丈夫ですよ?」
振り向くと、アリシアはブランケットを体に巻き付けていた。
「装備、作り直さないと駄目だろ?
それ、多分サイズあってないと思うから、今度はちゃんと測って貰った方がいいと思うよ?」
雨が止むまでの間が気まずくて、他に話すことが思い浮かばなかった僕は、さっき気になった点をアリシアに伝えた。
「サイズ……、ちゃんと測って作って貰ったんです。
でも、その、何でか急に、……大きくなっちゃって。」
どことは聞くまい。
雨がやんだあと、僕はこんな格好のアリシアを1人で帰らせるのが心配で、彼女が学園の寮に入るまで、学園の負担で寝泊まりしているという宿まで送って行くことにした。
宿について、部屋の前まで送って別れようとした時、アリシアが僕の服の裾を掴んだ。
「──良かったら、その……。今度一緒に、防具作りに行ってくれませんか?
色々詳しそうだし、教えて欲しいなって思って……。」
アリシアが僕をじっと見つめている。
「う、うん、いいよ、僕でよければ……。」
僕はアリシアと出かける約束をした。
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 12
HP 157
MP 123
攻撃力 75
防御力 61
俊敏性 54
知力 84
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く モテる(猫限定) 目薬を外さない 美味しいお茶を淹れる 体臭が消せる 裸に見える 雨予報(15秒前) カツラを見抜ける 塩が見つかる 上手に嘘がつける ────────────────────
──こんなスキル、使えない……こともないのかも知れなかった。
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる