勇者の孫は逆チート〜ハズレスキルしか手に入れられない不遇な男の、やがて英雄?になる物語〜

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第3話 (コメント採用回)チートな美少女は幸運10倍④

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「私がマジェスティアラン学園に入学手続きに来た時に、願書を出してた方たちの、どなたかですね。」

 ──ようするに、願書を出せば殆ど入れるとはいえ、願書を提出しに来ただけの貴族と違って、入学確定の彼女は別の手続きをさせられたわけだ。

 それを見ていた貴族には、あれが今年入る平民だとすぐに分かったことだろう。
 それでちょっと嫌がらせをされた、というわけだ。

 くだらないことをする奴がいるもんだ。
 ダンジョンで何かあった場合、それは罪にならないとはいえ、これで本当に彼女が死んでたらどうするつもりだったのか。

 僕は貴族が好きではないけど、いいやつもいることを知っている。けど、大半は貴族以外は人間だと思ってないようなのも、まだまだ多いのだ。

 けど、そうした悪意にさらされたことを、気付いていない彼女に、わざわざ伝える気にもなれなかった。

「ここは確かに初心者向けのダンジョンだけど、下の階層に行くほど、かなり強い魔物が出るから、1人で行くのはあんまりオススメしないかな。」

「そうなんですね!気を付けます。
 教えてくれてありがとうごさいます。」

「今日はもう、狩りはやめた方がいいんじゃない?
 その……装備も……。」

 そこで初めて、洋服がところどころ溶かされていることに気付いたらしい。
 アリシアは真っ赤になって、そ、そうですね……、と言った。

「でも、聞いて下さい!凄い定着スクロールが出たんですよ!
 幸運10倍って凄くないですか!?
 それだけでも来た価値ありました!」

「そ、そうなんだ……。」

 そんな超絶レア定着スクロールをドロップするだなんて。
 さすが勇者候補というべきか。

 1つのダンジョンの中での、1日の定着スクロールのドロップ率は決まっていると言われている。

 そんな激レアがドロップしたのであれば、今日はもうレアドロップは望めないだろう。
 家に帰ってから眺めようと思っていたスクロールにも、期待出来そうにもなかった。

「僕も今日はもう帰るよ。
 予定外にサイクロプスと戦って、疲れちゃったしね。」

「あ……、ごめんなさい。
 私のせいで……。」

「いずれ戦うつもりだったし、自分の実力が試せて良かったし、問題ないよ。」

 申し訳なさそうにいうアリシアに、僕は手を振って笑ってみせた。

 狭い通路を2人して登って外に出た瞬間、
 ──雨予報(15秒前)
 スキルが反応した。

「あっ、雨!」

「えっ?」

 僕は彼女を思わず抱きかかえて、洞窟の入り口に戻った。

 15秒後、しっかりとザアザア降りの雨が急に降り出した。

「通り雨だと思うから、少し雨宿りしてから行こうか。」

「そ……そうですね……。」

 2人がすれ違うのがギリギリのダンジョンの入り口で、僕は無意識に思い切り、半裸のアリシアを抱きしめていた。

「ご、ごごごごご、ごめん!
 ──イテッ!」

 お互い真っ赤になって、僕はアリシアから離れようとしたけれど、通路が狭くて思い切り頭と腕を壁にぶつけてしまった。

 そして僕から離れて壁にぶつかったアリシアの、溶けかけていた服が、その拍子に床にパサリ……と落ちた。

「──キャーッ!!」

 アリシアが身をかがめて体を隠す。

「見、見てない!見てないから!」

 僕はアイテムバッグから、中で寝泊まりする可能性も考えて持って来ていた、薄いブランケットを、彼女に背を向けたまま差し出した。

「も、もう、こっちを向いても大丈夫ですよ?」

 振り向くと、アリシアはブランケットを体に巻き付けていた。

「装備、作り直さないと駄目だろ?
 それ、多分サイズあってないと思うから、今度はちゃんと測って貰った方がいいと思うよ?」

 雨が止むまでの間が気まずくて、他に話すことが思い浮かばなかった僕は、さっき気になった点をアリシアに伝えた。

「サイズ……、ちゃんと測って作って貰ったんです。
 でも、その、何でか急に、……大きくなっちゃって。」

 どことは聞くまい。

 雨がやんだあと、僕はこんな格好のアリシアを1人で帰らせるのが心配で、彼女が学園の寮に入るまで、学園の負担で寝泊まりしているという宿まで送って行くことにした。

 宿について、部屋の前まで送って別れようとした時、アリシアが僕の服の裾を掴んだ。

「──良かったら、その……。今度一緒に、防具作りに行ってくれませんか?
 色々詳しそうだし、教えて欲しいなって思って……。」

 アリシアが僕をじっと見つめている。

「う、うん、いいよ、僕でよければ……。」

 僕はアリシアと出かける約束をした。

────────────────────
 マクシミリアン・スワロスウェイカー
 15歳
 男
 人間族
 レベル 12
 HP 157
 MP 123
 攻撃力 75
 防御力 61
 俊敏性 54
 知力 84
 称号 
 魔法
 スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く モテる(猫限定) 目薬を外さない 美味しいお茶を淹れる 体臭が消せる 裸に見える 雨予報(15秒前) カツラを見抜ける 塩が見つかる 上手に嘘がつける ────────────────────

 ──こんなスキル、使えない……こともないのかも知れなかった。

 まだ冒険を続けますか?
 ▷はい
  いいえ

────────────────────

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