勇者の孫は逆チート〜ハズレスキルしか手に入れられない不遇な男の、やがて英雄?になる物語〜

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第3話 (コメント採用回)チートな美少女は幸運10倍③

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 交差切りクロスエンド!!

 サイクロプスが斧を手放して、両手で目をおさえてぐるぐると暴れまわる。

 僕はサイクロプスの着ていた服のようなものを掴んで、体をのぼり、背中に回った。

「これで終わりだ!!」

 両手で目をおさえて無防備な首筋に、全体重をかけてイグナイトスティールの刃先を押し込んだ。
 サイクロプスが暴れまわる。

 これでも死なないのか!?
 僕はイグナイトスティールにしがみついたまま、暴れるサイクロプスに振り回された。

 僕はしっかりと両足でサイクロプスの体を挟み込むと、イグナイトスティールの刺さった傷口を広げるように左右に振った。

 かたく差し込まれていたイグナイトスティールが、サイクロプスの体から抜ける。

 ──横一線ホリゾンタリー!!

 僕の放った攻撃が、サイクロプスの頭を落とした。
「──うわっ!?と。」

 前に崩れ落ちるサイクロプスから飛び退いて地面に着地する。
 サイクロプスはそのまま動かなくなった。

 僕は倒れている彼女にかけよった。まだ痺れスライムが取り付いている。
 1体ずつ倒すと、痺れスライムがとりついていた部分の素肌が見えて、ちょっとドキッとした。

 肩を叩いたけど目を覚まさない。
 仕方なしにドロップ品の回収や、サイクロプスの剥ぎ取りをすすめながら、彼女が気が付くのを待つことにした。

 その間に神の福音の音が聞こえた。

 レベルが10になりました。
 HPが5上がりました。
 MPが3上がりました。
 攻撃力が1上がりました。
 防御力が1上がりました。
 俊敏性が2上がりました。
 知力が1上がりました。
 スキル、〈カツラを見抜ける〉を習得しました。

 レベルが11になりました。
 HPが4上がりました。
 MPが4上がりました。
 攻撃力が3上がりました。
 防御力が1上がりました。
 俊敏性が2上がりました。
 知力が1上がりました。
 スキル、〈塩が見つかる〉を習得しました。

 レベルが12になりました。
 HPが3上がりました。
 MPが4上がりました。
 攻撃力が1上がりました。
 防御力が1上がりました。
 俊敏性が3上がりました。
 知力が3上がりました。
 スキル、〈上手に嘘がつける〉を習得しました。

 ……もはや何も言うまい。

「う……ん。」

「あ、気が付いた?」

 彼女はようやく目を覚ました。
 そして、ハッとしたようにあたりを見回すと、倒されているサイクロプスに気が付き、自分が助かった事を知った。

「助けて……くれたんですか?」

 彼女のこぼれそうな大きな目が、潤んで僕を見つめている。
 こういうのに慣れていない僕は、ま、まあね、と焦りながらドギマギした。

「──やだ、凄いステキ!
 なんてセクシーでハンサムなのかしら。
 あの……、アナタ、お名前は?」

 突如、彼女のものとは思えない、えらく色っぽい大人びた声が響く。

「ちょっと、ストームホルト、いきなり知らない人相手に失礼よ?」

 彼女は自分の剣を見ながら声をかける。
 意思を持った喋る武器!?
 ということは、だ……。

「あの、それ、どなたかに作っていただいたんですか?」

「はい、イスラファンさんという、ドワーフの鍛冶職人さんに作っていただきました!」

 そ、そうなんだ……。
 イスラファンに気に入られて武器を作って貰ったということは、彼女が勇者になれる素質を秘めているという可能性をさしている。

 そして、意思を持った喋る武器がステキと言っている相手とは、もちろん僕ではないのだろう。

 イグナイトスティールだ。
 いつもうるさいくらい喋るこいつが、何故か黙っている。照れてるってことはないだろうな。

「こいつもイスラファンの作品なんだよ、イグナイトスティールって言うんだ。」

「──イグナイトスティール様!?
 やだ!まさかこんなところでお会い出来るなんて……!!」

 意思を持った喋る武器界隈では、イグナイトスティールが憧れの存在なんだろうか。
 まあ、確かに伝説の勇者が使ってた武器ではあるけど。
 というか、武器にハンサムとかあんのか。

「えと、僕は、マクシミリアン・スワロスウェイカーって言うんだ。
 君の名前は?」

「あ、すみません!
 アリシア・スコットと言います!
 助けて下さってありがとうございます!」

「……ひょっとして……なんだけど、今年マジェスティアラン学園に入学予定だったりする?」

「はい!
 よくご存知ですね?」

 ……やっぱりか。

 イスラファン作の意思を持った喋る武器を持っているとか、さすが平民から鳴り物入りで入ってくるだけのことはあるが、貴族からの反発はさけられないだろうなあ。

「僕も今年入学予定なんだよ。」

「そうなんですか!
 同じクラスになれるといいですね!」

 アリシアは屈託なく笑った。上品な貴族の女の子たちとは、違った可愛さがあった。

「どうしてサイクロプスに捕まってたの?
 というか、仲間の人たちは?」

「いえ、1人です。
 新人向きのダンジョンだって、教えて貰って、それで。
 でも、まさか、下の階層にあんな強い魔物がいるなんて、思ってもみなくて。」

「……それ、誰に教わったの?」

 僕だって、いずれはと思っているけど、いきなり下層になんて潜らない。
 ここは確かに新人向きのダンジョンであることに間違いはないけど、普通はそこを説明するものだ。

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