9 / 34
第3話 (コメント採用回)チートな美少女は幸運10倍②
しおりを挟む
相変わらずわけの分からないスキルしか手に入れられなかった。
あとでゆっくりと確認するスクロールに期待しよう。
僕はガーゴイルが守っていた扉を開けた。
?????
──扉を開けた途端、斧を手にしたサイクロプスに、両手首を掴まれてぶら下げられている、見知らぬ美少女の姿が見えた。
ここいらの貴族の可愛い女の子なら、大体みんな知っている。何故って貴族は定期的に家族ぐるみの交流会があるからだ。
子連れで誰かの家のパーティーにやってきては、大人たちは政治か商売の話、子どもたちは子どもたちで交流する。
ただしそこには派閥というものがあって、うちのような中立以外は、同じ派閥の貴族としか交流しない。
だから学校での出会いが貴重なのだ。
その中には絶対にいなかった子だ。腰に長剣をぶら下げて、新人冒険者が身につける皮の防具を着てるんだけど。
多分あれ、サイズが合ってないんだろうなあ。
胸当てがパッツパツで非常に苦しそうだ。あれじゃあ剣を使うにも弓を使うにも、体が動かしにくくて仕方がないだろう。
ただでさえ、皮自体は多少は伸びるといっても、皮の防具はあまり伸びないから、元から体型にあったものを作って貰う必要があるのだ。
特に彼女のような、……胸が大き過ぎる女の子の場合は。
というか、なんでサイクロプスがこんなところに?
ここはまだ入り口付近だ。このダンジョンには確かにサイクロプスがいるけれど、本当は、もっと下の階層にいる筈の魔物なのだ。
ひょっとして、彼女をわざわざ追ってきたんだろうか?
サイクロプスは1つ目の巨人なのだけど、一定以上のヘイトがたまると、しつこく追いかけて来るという特性を持っている。
つまりあの子は、それだけサイクロプスに攻撃を加えたということだ。
かなり下の方にいる筈なのに、1階まで追いかけて来るだなんて。
いったいどんな攻撃をしたら、そこまでサイクロプスを怒らせるなんてことが出来るんだろう。
おまけに体にスライムがはりついて、装備の1部が溶かされている。
スライムは服だけを溶かす特殊な魔物、なんて伝説に、男なら1度はワクワクしたことがあると思うけど、あれはスライムの捕食方法なのだ。
ゴミや植物を分解して食べて、微生物の為のエサを生み出す。生きているものは食べない。だから人に取り付く場合は服だけを溶かされる。
──死ねばその限りじゃない、というだけだ。
だけど、生き物に取り付くタイプのスライムは、その多くが体を痺れさせる粘液で攻撃してくる。
僕が狙っていた謎の液体をドロップする魔物が、この痺れ粘液を出すタイプのスライムなのだ。
1階まで逃げて来たところで、スライムたちに取りつかれて体を痺れさせられたところに、サイクロプスに追い付かれて捕まった、というところだろう。
それにしても、彼女の仲間はどうしたんだろう?まさか新人がたった1人でサイクロプスに挑むわけもないし、やはりやられてしまったと考えるのが妥当だ。
「おい、いい獲物がいんじゃねえか。」
イグナイトスティールが急にワクワクした声を出す。
「──そうだね。
頑張ってみるけど、今の僕じゃ厳しいかも知れない。
万が一の時は頼むよ、あの子を助けるのが第1優先だからね。」
「お前がやんのかよ。」
イグナイトスティールが、明らかに、お前には絶対に無理、という呆れた声を出す。
いずれはサイクロプスのところまで降りるつもりだったんだ。
今の力量を試す為にも、丁度いい相手だ。
交差切──
突然、サイクロプスが手にぶら下げていた美少女を、僕の方に放り投げた。
攻撃に移ろうとしていた僕は、慌ててそれを止めるのに精一杯で、飛んできた美少女とまともにぶつかった。
吹っ飛ばされた美少女は、どうやら痺れているだけじゃなく、気絶してるようだ。
彼女の体の下から這い出ると、立ち上がる間もなく痺れスライムたちが飛んで来る。
僕は片足を踏み込んで立ち上がる動作を、そのまま攻撃方法へとシフトした。
──速回転斬り!!
痺れスライムたちを一網打尽にする。素材に混じって謎の液体の瓶がドロップした。
サイクロプスの目は明らかに僕の方を敵と認識したようだった。
斧を振り上げて打ち下ろしてくる。動作の大きい攻撃方法を行ったばかりの僕は、すくに次の予備動作に入るのが難しかった。
飛び退いて回転しながら、打ち下ろされた斧をかじろうてよける。
僕はすぐさま立ち上がってイグナイトスティールを構えた。
サイクロプスの弱点は目だけど、1人で戦いながらそれを狙うのは難しい。
一見動作が緩慢そうに見えて、体が大きいから、ひとつひとつの動作のリーチが長いのだ。走って逃げてもすぐに追いつかれる。
サイクロプスが斧を振り下ろした瞬間、僕は身をかがめて体を低くし、移動しながらサイクロプスの間合いに潜り込んでスネを狙った。
──横一線!!
サイクロプスが吠える。スネから紫色の血が吹き出していた。
サイクロプスの体がグラリと前かがみになる。──いまだ!!
僕はサイクロプスの屈めた膝を蹴って飛び上がり、サイクロプスの目を狙った。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
あとでゆっくりと確認するスクロールに期待しよう。
僕はガーゴイルが守っていた扉を開けた。
?????
──扉を開けた途端、斧を手にしたサイクロプスに、両手首を掴まれてぶら下げられている、見知らぬ美少女の姿が見えた。
ここいらの貴族の可愛い女の子なら、大体みんな知っている。何故って貴族は定期的に家族ぐるみの交流会があるからだ。
子連れで誰かの家のパーティーにやってきては、大人たちは政治か商売の話、子どもたちは子どもたちで交流する。
ただしそこには派閥というものがあって、うちのような中立以外は、同じ派閥の貴族としか交流しない。
だから学校での出会いが貴重なのだ。
その中には絶対にいなかった子だ。腰に長剣をぶら下げて、新人冒険者が身につける皮の防具を着てるんだけど。
多分あれ、サイズが合ってないんだろうなあ。
胸当てがパッツパツで非常に苦しそうだ。あれじゃあ剣を使うにも弓を使うにも、体が動かしにくくて仕方がないだろう。
ただでさえ、皮自体は多少は伸びるといっても、皮の防具はあまり伸びないから、元から体型にあったものを作って貰う必要があるのだ。
特に彼女のような、……胸が大き過ぎる女の子の場合は。
というか、なんでサイクロプスがこんなところに?
ここはまだ入り口付近だ。このダンジョンには確かにサイクロプスがいるけれど、本当は、もっと下の階層にいる筈の魔物なのだ。
ひょっとして、彼女をわざわざ追ってきたんだろうか?
サイクロプスは1つ目の巨人なのだけど、一定以上のヘイトがたまると、しつこく追いかけて来るという特性を持っている。
つまりあの子は、それだけサイクロプスに攻撃を加えたということだ。
かなり下の方にいる筈なのに、1階まで追いかけて来るだなんて。
いったいどんな攻撃をしたら、そこまでサイクロプスを怒らせるなんてことが出来るんだろう。
おまけに体にスライムがはりついて、装備の1部が溶かされている。
スライムは服だけを溶かす特殊な魔物、なんて伝説に、男なら1度はワクワクしたことがあると思うけど、あれはスライムの捕食方法なのだ。
ゴミや植物を分解して食べて、微生物の為のエサを生み出す。生きているものは食べない。だから人に取り付く場合は服だけを溶かされる。
──死ねばその限りじゃない、というだけだ。
だけど、生き物に取り付くタイプのスライムは、その多くが体を痺れさせる粘液で攻撃してくる。
僕が狙っていた謎の液体をドロップする魔物が、この痺れ粘液を出すタイプのスライムなのだ。
1階まで逃げて来たところで、スライムたちに取りつかれて体を痺れさせられたところに、サイクロプスに追い付かれて捕まった、というところだろう。
それにしても、彼女の仲間はどうしたんだろう?まさか新人がたった1人でサイクロプスに挑むわけもないし、やはりやられてしまったと考えるのが妥当だ。
「おい、いい獲物がいんじゃねえか。」
イグナイトスティールが急にワクワクした声を出す。
「──そうだね。
頑張ってみるけど、今の僕じゃ厳しいかも知れない。
万が一の時は頼むよ、あの子を助けるのが第1優先だからね。」
「お前がやんのかよ。」
イグナイトスティールが、明らかに、お前には絶対に無理、という呆れた声を出す。
いずれはサイクロプスのところまで降りるつもりだったんだ。
今の力量を試す為にも、丁度いい相手だ。
交差切──
突然、サイクロプスが手にぶら下げていた美少女を、僕の方に放り投げた。
攻撃に移ろうとしていた僕は、慌ててそれを止めるのに精一杯で、飛んできた美少女とまともにぶつかった。
吹っ飛ばされた美少女は、どうやら痺れているだけじゃなく、気絶してるようだ。
彼女の体の下から這い出ると、立ち上がる間もなく痺れスライムたちが飛んで来る。
僕は片足を踏み込んで立ち上がる動作を、そのまま攻撃方法へとシフトした。
──速回転斬り!!
痺れスライムたちを一網打尽にする。素材に混じって謎の液体の瓶がドロップした。
サイクロプスの目は明らかに僕の方を敵と認識したようだった。
斧を振り上げて打ち下ろしてくる。動作の大きい攻撃方法を行ったばかりの僕は、すくに次の予備動作に入るのが難しかった。
飛び退いて回転しながら、打ち下ろされた斧をかじろうてよける。
僕はすぐさま立ち上がってイグナイトスティールを構えた。
サイクロプスの弱点は目だけど、1人で戦いながらそれを狙うのは難しい。
一見動作が緩慢そうに見えて、体が大きいから、ひとつひとつの動作のリーチが長いのだ。走って逃げてもすぐに追いつかれる。
サイクロプスが斧を振り下ろした瞬間、僕は身をかがめて体を低くし、移動しながらサイクロプスの間合いに潜り込んでスネを狙った。
──横一線!!
サイクロプスが吠える。スネから紫色の血が吹き出していた。
サイクロプスの体がグラリと前かがみになる。──いまだ!!
僕はサイクロプスの屈めた膝を蹴って飛び上がり、サイクロプスの目を狙った。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる