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第2話 イグナイトスティールの必殺技①
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「大体よ、そんなにスキルが欲しけりゃ、他の奴らみたく、親にスキル定着スクロールを買って貰えばいいだろ。
お前んちも公爵家なんだからよ。
そしたらこんな面倒なレベル上げなんて、しなくても済んだだろ。」
イグナイトスティールが愚痴る。
雑魚を狩るのが面倒なだけなのはお前のほうだろ、と言いたくなったが、
「──うちはお祖父様の方針で、欲しけりゃ自分で手に入れろってスタンスなんだ。
お祖父的には、戦って倒せばやがてはドロップしたり、レベルアップで手に入るものを、わざわざ買う意味が分からないんだよ。
うちの財産だって、殆どは、お祖父様が過去に売った、スキル定着スクロールからなってるんだからさ。」
そうなのだ。元レベルカンスト勇者のお祖父様からしたら、大抵のものは魔物を倒せば手に入るシロモノなのである。
だから我が家にとって、スキル定着スクロールなんて、売って金にする為のものでしかない。
買おうと思えば買える財産を持っているけれど、タダで手に入るものに金を使うなど、ありえないことなのだ。
それは僕自身にとってもそうで、レベルを上げたりドロップを狙えば、やがては手に入るものだと思っている。
スキルがなくても、そこそこ戦えるし、ようは恥ずかしくなければいいだけの話で、現時点では、人に自慢出来るほどの強いスキルを求めているわけじゃあないのだ。
すぐに何でも手に入れられる奴は努力をしなくなる。
これはお祖父様の口癖だが、いきなり強いスキルを手に入れてしまったら、レベル上げなんて忍耐作業が嫌になってしまう。
そうして潰れてきた、金持ち貴族の子どもたちをたくさん見てきた僕だから思う。
努力にまさる幸福なし、と。
今だって、自分で手に入れたわけじゃないイグナイトスティールを持ってることすら、分不相応だしチート過ぎるんじゃないかと思っている。
果たして普通の武器を使った場合に、魔物との戦闘がはじめての僕は、あのスライムですら、一撃で倒せていたか分からないのだ。
「自分の身の丈にあった努力をすることを、まずはやっていきたいんだ。
だから、お前は本当に危険な時のお守り程度に考えておいてくれよ。」
「チェッ、つまんねえなあ、久々の実戦だってのによ。」
「お前にはいずれ、相応しい相手と僕が戦えるようになったら、その時力を貸しても貰うさ。」
「じゃあ、さっさとそこまで成長しようぜ。
──敵だ。」
「分かってる。僕もそこまで時間をかけるつもりはないさ。
──え?」
話の途中でイグナイトスティールの声色が変わる。
イグナイトスティールに目を向けて話していたせいで、すぐに気付けなかったのだが、通路を抜けた先に、ゴブリンの群れが17体と、スライム15体がいた。
広い広場のような場所になっていて、壁や地面の一部段差のような箇所には光る苔がはえ、ツタが下がった緑の多いところだ。
地面は土で出来ているけど、日頃ゴブリンたちが踏みしめているからか、少しかたく平らな平地のようになっている。
さっきの場所は天井の隙間から陽の光が差し込んでいたけれど、ここは一切そんな隙間がないのに、むしろさっきの場所よりも明るかった。
この数がうろついているということは、どうやらゴブリンの集落の近くらしい。
基本は夜行性で、昼間は外に出ないゴブリンだが、こうして日の当たらないダンジョンでは、日中遭遇することもある。
火を恐れない為、夜に魔物や動物よけに焚き火をたいている冒険者に近付いてくる存在があったとしたら、大体ゴブリンだと思え、と祖父から聞いていた。
スライムはともかく、ゴブリンは厄介だ。手に手にこん棒を持ち、子どもくらいのサイズながら、大人と同じ以上の筋力を誇る。
知能のあるのとそうでないのがいて、知能の程度にもよるが、指示を出して仲間と連携したり、弓矢を使って攻撃してくるのまでいる。
幸いにして、ここにいるのはこん棒を持っているタイプなので、知能は低いということになる。
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お前んちも公爵家なんだからよ。
そしたらこんな面倒なレベル上げなんて、しなくても済んだだろ。」
イグナイトスティールが愚痴る。
雑魚を狩るのが面倒なだけなのはお前のほうだろ、と言いたくなったが、
「──うちはお祖父様の方針で、欲しけりゃ自分で手に入れろってスタンスなんだ。
お祖父的には、戦って倒せばやがてはドロップしたり、レベルアップで手に入るものを、わざわざ買う意味が分からないんだよ。
うちの財産だって、殆どは、お祖父様が過去に売った、スキル定着スクロールからなってるんだからさ。」
そうなのだ。元レベルカンスト勇者のお祖父様からしたら、大抵のものは魔物を倒せば手に入るシロモノなのである。
だから我が家にとって、スキル定着スクロールなんて、売って金にする為のものでしかない。
買おうと思えば買える財産を持っているけれど、タダで手に入るものに金を使うなど、ありえないことなのだ。
それは僕自身にとってもそうで、レベルを上げたりドロップを狙えば、やがては手に入るものだと思っている。
スキルがなくても、そこそこ戦えるし、ようは恥ずかしくなければいいだけの話で、現時点では、人に自慢出来るほどの強いスキルを求めているわけじゃあないのだ。
すぐに何でも手に入れられる奴は努力をしなくなる。
これはお祖父様の口癖だが、いきなり強いスキルを手に入れてしまったら、レベル上げなんて忍耐作業が嫌になってしまう。
そうして潰れてきた、金持ち貴族の子どもたちをたくさん見てきた僕だから思う。
努力にまさる幸福なし、と。
今だって、自分で手に入れたわけじゃないイグナイトスティールを持ってることすら、分不相応だしチート過ぎるんじゃないかと思っている。
果たして普通の武器を使った場合に、魔物との戦闘がはじめての僕は、あのスライムですら、一撃で倒せていたか分からないのだ。
「自分の身の丈にあった努力をすることを、まずはやっていきたいんだ。
だから、お前は本当に危険な時のお守り程度に考えておいてくれよ。」
「チェッ、つまんねえなあ、久々の実戦だってのによ。」
「お前にはいずれ、相応しい相手と僕が戦えるようになったら、その時力を貸しても貰うさ。」
「じゃあ、さっさとそこまで成長しようぜ。
──敵だ。」
「分かってる。僕もそこまで時間をかけるつもりはないさ。
──え?」
話の途中でイグナイトスティールの声色が変わる。
イグナイトスティールに目を向けて話していたせいで、すぐに気付けなかったのだが、通路を抜けた先に、ゴブリンの群れが17体と、スライム15体がいた。
広い広場のような場所になっていて、壁や地面の一部段差のような箇所には光る苔がはえ、ツタが下がった緑の多いところだ。
地面は土で出来ているけど、日頃ゴブリンたちが踏みしめているからか、少しかたく平らな平地のようになっている。
さっきの場所は天井の隙間から陽の光が差し込んでいたけれど、ここは一切そんな隙間がないのに、むしろさっきの場所よりも明るかった。
この数がうろついているということは、どうやらゴブリンの集落の近くらしい。
基本は夜行性で、昼間は外に出ないゴブリンだが、こうして日の当たらないダンジョンでは、日中遭遇することもある。
火を恐れない為、夜に魔物や動物よけに焚き火をたいている冒険者に近付いてくる存在があったとしたら、大体ゴブリンだと思え、と祖父から聞いていた。
スライムはともかく、ゴブリンは厄介だ。手に手にこん棒を持ち、子どもくらいのサイズながら、大人と同じ以上の筋力を誇る。
知能のあるのとそうでないのがいて、知能の程度にもよるが、指示を出して仲間と連携したり、弓矢を使って攻撃してくるのまでいる。
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