4 / 34
第1話 僕のスキルは口にするのも恥ずかしいものでした④
しおりを挟む
──横一線!!
集まったスライムの群れを、まとめて10体なぎ払う。殆ど倒したが、2体は捉えきれずに再生した。
後ろにいた10体を含める12体が、再び襲いかかってくる。
交差切り!!
飛び回り高さの違うスライムを、斜め十字に切り捨てる。
僕のレベルが上がる音がした。そして上がったステータスと、手に入れたスキルを告げられる。
これは神の福音と言われていて、誰しもがレベルアップするたび、必ず聞こえるものになる。ただし本人にしか聞こえない。
レベルが2になりました。
HPが5上がりました。
MPが3上がりました。
攻撃力が2上がりました。
防御力が1上がりました。
俊敏性が1上がりました。
知力が2上がりました。
スキル、〈逆剥けが治る〉を習得しました。
レベルが3になりました。
HPが3上がりました。
MPが3上がりました。
攻撃力が3上がりました。
防御力が2上がりました。
俊敏性が1上がりました。
知力が1上がりました。
スキル、〈足元から5ミリ浮く〉を習得しました。
ちなみにレベルが1上がるごとに増えるステータスは、HPとMPが3~5で、それ以外が1~3のいずれかが付与される。
付与される数字はランダムだと言われている。
これは剣士でも魔法使いでも、すべての人間が変わらないのだが、専門の職業スキルを持っている人間であれば、剣士はHPや攻撃力が、魔法使いはMPや知力が、弓使いは攻撃力と俊敏性が、盾職はHPや防御力が、上がりやすくなるという特性を持つ。
ちなみに伝説の勇者ことお祖父様と、聖女かつ王女だったお祖母様は、どちらもすべてのステータスが、フルカンストに到達している化け物で、その力を恐れたことにより、隣国より独立出来たのだと言われていた。
レベル999になるとその先のレベルは存在しないが、ステータスだけは上がり続けるものだという、この国の教科書にも載っている知識の元が、うちの祖父と祖母なのである。
何でもドラゴンやフェニックスを、倒したとか、倒してないとか……。ともかく、そんな祖父母を身内に持つ僕や、両親に持つ僕の父などは、初めからある程度の結果を出すことを、周囲に求められてしまうのである。
そして初めてのレベル上げの結果、最終的に僕のステータスはこうなった。
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 3
HP 125
MP 88
攻撃力 56
防御力 69
俊敏性 37
知力 44
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く ────────────────────
HPが攻撃力と防御力の合計で、MPが知力の倍になっているのはたまたまだ。レベル1の時はそうではなかったのだから。
それならレベルが2に上がって、攻撃力と防御力が合計3上がっているのだから、それならHPも3上がらないといけないのに、上がったのは5だ。
レベル2つ分の合計だけなら、確かに攻撃力と防御力の合計と同じく、HPが8あがっているけれど。
ちなみに自分で見ることは出来ない為、最初に鑑定師に教えて貰ったステータスに、頭の中で数字を計算して加えただけのものだ。
だから本来なら、手に入れたスキルを改めて鑑定師に見て貰わなければ、ユニークスキルの正体は分からない筈なのだ。
だけど聞くまでもないくらいに、とてつもなく狭い範囲の効果を、その名に冠したユニークスキルばかりだった。
これで実は知能上昇の効果があるだとか、会心率アップするだとか、名前に関係のない効果を持つスキルだとは、まったくもって期待出来そうにない。
僕が最初に手に入れたスキルは、〈逆剥けが治る〉と、〈足元から5ミリ浮く〉だった。
なんなんだよ、ユニークスキルのユニークって、そういう意味じゃない筈だろ!?
確かに世界で僕だけだろうさ!こんなしょーもないスキル持ってんの!!
「良かったじゃねーか、スキル手に入れられてよ。さ、サッサとこんなとこ抜けて、ゴブリンキング狩りに行こうぜ。
ずっと戦ってなかったから、体がなまってしょうがねえ。」
剣がなまったら、切れなくなるんじゃないのか?なまくら剣って言うもんな。
僕は内心そう思ったが、特にツッコまなかった。
「ほら、ちょうどいいことに毒沼だぜ?使えよ、スキル。使わねえと渡れねえだろ。」
イグナイトスティールが言う通り、目の前には、真紫の、歩くだけでHPが削れる毒沼が広がり、一切普通の足場がなかった。
僕はフルフルと震えながらも、〈足元から5ミリ浮く〉を使って、そっと毒沼に足を踏み入れた。
「──こんなスキル、使えない!
僕は、僕は認めないからなあ!!」
「いいからさっさと渡りやがれ。」
たった5ミリでも、しっかり毒沼に触れずに歩けることが悔しかった。僕は毒沼を渡り切ったあと、改めて決意を固めた。
チクショー!
絶対まともなスキルを手に入れて、僕もいつか英雄と呼ばれる男になってやるんだ!
──これはいずれ英雄?と呼ばれる僕の、ドタバタ奮闘記の記録である。
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
集まったスライムの群れを、まとめて10体なぎ払う。殆ど倒したが、2体は捉えきれずに再生した。
後ろにいた10体を含める12体が、再び襲いかかってくる。
交差切り!!
飛び回り高さの違うスライムを、斜め十字に切り捨てる。
僕のレベルが上がる音がした。そして上がったステータスと、手に入れたスキルを告げられる。
これは神の福音と言われていて、誰しもがレベルアップするたび、必ず聞こえるものになる。ただし本人にしか聞こえない。
レベルが2になりました。
HPが5上がりました。
MPが3上がりました。
攻撃力が2上がりました。
防御力が1上がりました。
俊敏性が1上がりました。
知力が2上がりました。
スキル、〈逆剥けが治る〉を習得しました。
レベルが3になりました。
HPが3上がりました。
MPが3上がりました。
攻撃力が3上がりました。
防御力が2上がりました。
俊敏性が1上がりました。
知力が1上がりました。
スキル、〈足元から5ミリ浮く〉を習得しました。
ちなみにレベルが1上がるごとに増えるステータスは、HPとMPが3~5で、それ以外が1~3のいずれかが付与される。
付与される数字はランダムだと言われている。
これは剣士でも魔法使いでも、すべての人間が変わらないのだが、専門の職業スキルを持っている人間であれば、剣士はHPや攻撃力が、魔法使いはMPや知力が、弓使いは攻撃力と俊敏性が、盾職はHPや防御力が、上がりやすくなるという特性を持つ。
ちなみに伝説の勇者ことお祖父様と、聖女かつ王女だったお祖母様は、どちらもすべてのステータスが、フルカンストに到達している化け物で、その力を恐れたことにより、隣国より独立出来たのだと言われていた。
レベル999になるとその先のレベルは存在しないが、ステータスだけは上がり続けるものだという、この国の教科書にも載っている知識の元が、うちの祖父と祖母なのである。
何でもドラゴンやフェニックスを、倒したとか、倒してないとか……。ともかく、そんな祖父母を身内に持つ僕や、両親に持つ僕の父などは、初めからある程度の結果を出すことを、周囲に求められてしまうのである。
そして初めてのレベル上げの結果、最終的に僕のステータスはこうなった。
────────────────────
マクシミリアン・スワロスウェイカー
15歳
男
人間族
レベル 3
HP 125
MP 88
攻撃力 56
防御力 69
俊敏性 37
知力 44
称号
魔法
スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く ────────────────────
HPが攻撃力と防御力の合計で、MPが知力の倍になっているのはたまたまだ。レベル1の時はそうではなかったのだから。
それならレベルが2に上がって、攻撃力と防御力が合計3上がっているのだから、それならHPも3上がらないといけないのに、上がったのは5だ。
レベル2つ分の合計だけなら、確かに攻撃力と防御力の合計と同じく、HPが8あがっているけれど。
ちなみに自分で見ることは出来ない為、最初に鑑定師に教えて貰ったステータスに、頭の中で数字を計算して加えただけのものだ。
だから本来なら、手に入れたスキルを改めて鑑定師に見て貰わなければ、ユニークスキルの正体は分からない筈なのだ。
だけど聞くまでもないくらいに、とてつもなく狭い範囲の効果を、その名に冠したユニークスキルばかりだった。
これで実は知能上昇の効果があるだとか、会心率アップするだとか、名前に関係のない効果を持つスキルだとは、まったくもって期待出来そうにない。
僕が最初に手に入れたスキルは、〈逆剥けが治る〉と、〈足元から5ミリ浮く〉だった。
なんなんだよ、ユニークスキルのユニークって、そういう意味じゃない筈だろ!?
確かに世界で僕だけだろうさ!こんなしょーもないスキル持ってんの!!
「良かったじゃねーか、スキル手に入れられてよ。さ、サッサとこんなとこ抜けて、ゴブリンキング狩りに行こうぜ。
ずっと戦ってなかったから、体がなまってしょうがねえ。」
剣がなまったら、切れなくなるんじゃないのか?なまくら剣って言うもんな。
僕は内心そう思ったが、特にツッコまなかった。
「ほら、ちょうどいいことに毒沼だぜ?使えよ、スキル。使わねえと渡れねえだろ。」
イグナイトスティールが言う通り、目の前には、真紫の、歩くだけでHPが削れる毒沼が広がり、一切普通の足場がなかった。
僕はフルフルと震えながらも、〈足元から5ミリ浮く〉を使って、そっと毒沼に足を踏み入れた。
「──こんなスキル、使えない!
僕は、僕は認めないからなあ!!」
「いいからさっさと渡りやがれ。」
たった5ミリでも、しっかり毒沼に触れずに歩けることが悔しかった。僕は毒沼を渡り切ったあと、改めて決意を固めた。
チクショー!
絶対まともなスキルを手に入れて、僕もいつか英雄と呼ばれる男になってやるんだ!
──これはいずれ英雄?と呼ばれる僕の、ドタバタ奮闘記の記録である。
まだ冒険を続けますか?
▷はい
いいえ
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる