勇者の孫は逆チート〜ハズレスキルしか手に入れられない不遇な男の、やがて英雄?になる物語〜

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第1話 僕のスキルは口にするのも恥ずかしいものでした④

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 ──横一線ホリゾンタリー!!

 集まったスライムの群れを、まとめて10体なぎ払う。殆ど倒したが、2体は捉えきれずに再生した。
 後ろにいた10体を含める12体が、再び襲いかかってくる。

 交差切りクロスエンド!!

 飛び回り高さの違うスライムを、斜め十字に切り捨てる。
 僕のレベルが上がる音がした。そして上がったステータスと、手に入れたスキルを告げられる。

 これは神の福音と言われていて、誰しもがレベルアップするたび、必ず聞こえるものになる。ただし本人にしか聞こえない。

 レベルが2になりました。
 HPが5上がりました。
 MPが3上がりました。
 攻撃力が2上がりました。
 防御力が1上がりました。
 俊敏性が1上がりました。
 知力が2上がりました。
 スキル、〈逆剥けが治る〉を習得しました。

 レベルが3になりました。
 HPが3上がりました。
 MPが3上がりました。
 攻撃力が3上がりました。
 防御力が2上がりました。
 俊敏性が1上がりました。
 知力が1上がりました。
 スキル、〈足元から5ミリ浮く〉を習得しました。

 ちなみにレベルが1上がるごとに増えるステータスは、HPとMPが3~5で、それ以外が1~3のいずれかが付与される。
 付与される数字はランダムだと言われている。

 これは剣士でも魔法使いでも、すべての人間が変わらないのだが、専門の職業スキルを持っている人間であれば、剣士はHPや攻撃力が、魔法使いはMPや知力が、弓使いは攻撃力と俊敏性が、盾職はHPや防御力が、上がりやすくなるという特性を持つ。

 ちなみに伝説の勇者ことお祖父様と、聖女かつ王女だったお祖母様は、どちらもすべてのステータスが、フルカンストに到達している化け物で、その力を恐れたことにより、隣国より独立出来たのだと言われていた。

 レベル999になるとその先のレベルは存在しないが、ステータスだけは上がり続けるものだという、この国の教科書にも載っている知識の元が、うちの祖父と祖母なのである。

 何でもドラゴンやフェニックスを、倒したとか、倒してないとか……。ともかく、そんな祖父母を身内に持つ僕や、両親に持つ僕の父などは、初めからある程度の結果を出すことを、周囲に求められてしまうのである。

 そして初めてのレベル上げの結果、最終的に僕のステータスはこうなった。

────────────────────
 マクシミリアン・スワロスウェイカー
 15歳
 男
 人間族
 レベル 3
 HP 125
 MP 88
 攻撃力 56
 防御力 69
 俊敏性 37
 知力 44
 称号 
 魔法
 スキル 勃起不可 逆剥けが治る 足元から5ミリ浮く ────────────────────

 HPが攻撃力と防御力の合計で、MPが知力の倍になっているのはたまたまだ。レベル1の時はそうではなかったのだから。

 それならレベルが2に上がって、攻撃力と防御力が合計3上がっているのだから、それならHPも3上がらないといけないのに、上がったのは5だ。

 レベル2つ分の合計だけなら、確かに攻撃力と防御力の合計と同じく、HPが8あがっているけれど。

 ちなみに自分で見ることは出来ない為、最初に鑑定師に教えて貰ったステータスに、頭の中で数字を計算して加えただけのものだ。

 だから本来なら、手に入れたスキルを改めて鑑定師に見て貰わなければ、ユニークスキルの正体は分からない筈なのだ。

 だけど聞くまでもないくらいに、とてつもなく狭い範囲の効果を、その名に冠したユニークスキルばかりだった。

 これで実は知能上昇の効果があるだとか、会心率アップするだとか、名前に関係のない効果を持つスキルだとは、まったくもって期待出来そうにない。

 僕が最初に手に入れたスキルは、〈逆剥けが治る〉と、〈足元から5ミリ浮く〉だった。

 なんなんだよ、ユニークスキルのユニークって、そういう意味じゃない筈だろ!?
 確かに世界で僕だけだろうさ!こんなしょーもないスキル持ってんの!!

「良かったじゃねーか、スキル手に入れられてよ。さ、サッサとこんなとこ抜けて、ゴブリンキング狩りに行こうぜ。
 ずっと戦ってなかったから、体がなまってしょうがねえ。」

 剣がなまったら、切れなくなるんじゃないのか?なまくら剣って言うもんな。
 僕は内心そう思ったが、特にツッコまなかった。

「ほら、ちょうどいいことに毒沼だぜ?使えよ、スキル。使わねえと渡れねえだろ。」

 イグナイトスティールが言う通り、目の前には、真紫の、歩くだけでHPが削れる毒沼が広がり、一切普通の足場がなかった。

 僕はフルフルと震えながらも、〈足元から5ミリ浮く〉を使って、そっと毒沼に足を踏み入れた。

「──こんなスキル、使えない!
 僕は、僕は認めないからなあ!!」

「いいからさっさと渡りやがれ。」

 たった5ミリでも、しっかり毒沼に触れずに歩けることが悔しかった。僕は毒沼を渡り切ったあと、改めて決意を固めた。

 チクショー!
 絶対まともなスキルを手に入れて、僕もいつか英雄と呼ばれる男になってやるんだ!

 ──これはいずれ英雄?と呼ばれる僕の、ドタバタ奮闘記の記録である。

まだ冒険を続けますか?
▷はい
 いいえ

────────────────────

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