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第129話 初恋の想い出と2人だけのディナー④

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 先代勇者であるランチェスター公と同時期に召喚された、先代の聖女様が残してくれた、誰でも魔法が使えるようになる魔法陣の描き方の本を元に描いたもの。
 清められた紙、魔力の込められたインク、魔力を持つものが描くこと、この条件さえ揃えば、呪文を言うことで魔力がなくても誰でも魔法を使う事ができる。

「シュッランバノー!」
 俺は飛び上がったアビスドラゴンの子どもに向けて、捕縛の魔法陣を発動させた。
「ピギィイイイイ!」
 魔法陣から飛び出した光の輪っかにとらえられたアビスドラゴンの子どもが、そのまま地面にボトッと落ちた。

 もちろん、これだけじゃない。俺は鉄の檻を囲うように、魔法の檻を魔法陣で発動させてあったのだ。万が一にも逃して人を襲ったら大変だからな。
 鉄の檻はあくまでも動きを一瞬止めるだけのものとして考えていた。

 魔法陣で作った光の檻は、内側からは破れないが外から攻撃をする事が出来ると、魔法陣の本の説明書きに書いてあったのだ。
 光の檻に、捕縛の魔法陣。どうあがいてもアビスドラゴンの子どもが逃げることは不可能だった。俺は離れた場所から狙いを定めて、オリハルコン弾を一発頭に放った。

「……すみません、また有料の解体をお願いしたいのですが……。」
 俺は冒険者ギルドを尋ねると、カウンターに、一角兎と、ケルピーと、カセウェアリーと、アビスドラゴンの子どもをマジックバッグから出して置いた。
 当然冒険者ギルドは大騒ぎだった。

「どうする!?アビスドラゴンなんて、いまだかつて解体したことないぞ!?」
「オリハルコンナイフの使用許可を!
 それと親方を呼び出してください!」
 受付嬢がオリハルコンナイフの使用許可をギルド長に取りに走った。

 ちなみにオリハルコンを使用した武器は高い。俺のオリハルコン銃も、日本円にして一億円以上する。ナイフと言えどもお高くて貴重なのだろう。日頃は厳重に保管されているということか。
 俺はギルド長の部屋に案内され、解体が終わるのを待たせて貰うことになった。

「……相変わらずですね、ジョージさん。
 今度はカセウェアリーと、幼体とはいえ、アビスドラゴンですか……。」
 もはや慣れた光景ではあるが、オリバー・スコット冒険者ギルド長に苦笑されつつ、買い取り代金の精算をおこなっていた。

 俺の現在の冒険者ランクはAなのだが、単体で俺の狩るランクの魔物を狩ってくる冒険者はそうはいないらしく、いつもこうして冒険者ギルド長の部屋に呼び出されては、話をしながら精算して貰うのが常となっている。まあ、ヴァッシュさんのオリハルコン銃のおかげだけれどな。

「いつも通り、肉以外は買い取りということでよろしいのですよね?」
「はい、ありがとうございます。」
「事前に職員より説明がありました通り、今回アビスドラゴンにオリハルコンナイフを使用しました関係で、解体料金が特別価格となっております。」

「問題ありません、俺にはドラゴンの解体は無理ですし……。」
 せいぜいさばけて魚と野鳥くらいだ。
「まあ、硬くて通常の刃が通らないことをのぞけば、ワイバーンとやり方はそう変わらないのですけどね。」
「そうなんですね。」

 話しながら、スコット冒険者ギルド長は、布袋から出したお金を机の上に並べて重ねていく。
「解体料金を引いて、小白金貨1枚と、大金貨8枚と、中金貨2枚になります。きりがいいように、端数は少しオマケさせていただきました。」

「ありがとうございます。」
 俺は受け取ったお金をマジックバッグの中に入れた。ちなみに小白金貨1枚で日本円で1千万円程度。子どもとはいえ、アビスドラゴンが相当高かったということだな。
 ケルピーは今回メスで角がなかったので、買取価格は安い。

 オスの角は数が少ないうえに勃起不全のクスリの材料になる為、買取価格が角だけで小白金貨1枚は最低する。
 解体された肉は、冒険者ギルドの隣りにある解体場で受け取れる。小さいものならカウンターで受け取る場合もあるが、さすがにデカいからな。

「それと、王宮から依頼されたものを渡すよういいつかっているので、帰りに商人ギルドにも立ち寄ってください。」
「わかりました。」
 頼んでいた食材がもう手に入ったのか。王宮の依頼ということで、市場に出回っていた分を回してくれたのだろう、ありがたい。

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