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第126話 風邪をひく③
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「たぶん、30歳前後だと思う。」
「あら、いいじゃない。」
「よくないだろ。俺もお前も、今の体の年齢いくつだと思ってるんだ。どう見ても10代だろ。それに元の年齢からしても、年の差があり過ぎる。釣り合わんよ。」
俺はため息をついた。
「まあ、恐らく向こうの親御さんとのほうが年齢が近いでしょうね。」
「こっちは子どもを生むのが早いからな。下手すりゃ同い年だ。それに俺がそう思ってるってだけで、ほんとはもっと若いかも知れない。怖くて実際の年齢が聞けなくてな。」
「ああ、それは確かに、ちょっとね……。
28歳とかならギリギリまだ30過ぎるのを待てばいいけど、それ以下だと私たちの年齢でちょっかいかけるのは気持ち悪いわ。」
と腕組みをしながらうなった。
円璃花も俺よりはだいぶ年下だが、それでもいい年だから、30歳未満の男性にはちょっかいをかけない。俺も円璃花も、年下過ぎるのは付き合うにはちょっとキツイのだ。
自分の子どもの年齢に近い相手に手を出す大人は、生理的に気持ちが悪いと感じてしまう。相手の方から来たとしても、大人の側が断るべきだと思っている。その上で相手が諦めなければ、結婚するならいいと思う。
まあ、俺や円璃花ほど年の差に嫌悪感を持たない、年若い女性にちょっかいをかける男だって、体の関係だけなら若い相手を好むのだとしても、付き合うとか結婚となると、若過ぎるのは建設的な話が出来ないので、しんどいと感じてしまう奴が多いと思う。もしも若い子しか好きじゃないと言うのなら、そいつはただの病気か、女性に人格を認めず、そもそも話し合う気がないかのどちらかだ。
「──というか譲次、あなたコボルトじゃなかったら、アシュリーさんのこと、絶対好きでしょ。」
「よく分かったな。」
「美味しそうに嬉しそうに、ニコニコご飯を平らげる人が好きじゃない、あなた。
料理が好きな人もそうだし。
アシュリーさんいっつも幸せそうに、あなたのご飯を食べてくれるものね。」
さすが元カノだな。
「それと仕事持っててその仕事が好きで、ヒステリーを起こさない人よね。だから多分、今度の人もそういう人でしょ?」
「……まあな。実際確かに彼女は料理人だ。
食べるのが好きかは分からないが、自分の店を持ってるよ。カイアも懐いてるから、凄くいいな、とは思ってる。ただ、向こうが引くだろうな、今の俺だと。」
「……体は未成年だものね。そう考えると、まだ元の体の年齢の方がマシよね。年の差はあれどこっちが年上で、大人の男性だもの。
男の方がだいぶ年下で、しかも未成年なのは、女からするとかなりキツイわ……。
時間をかけるしかないわねえ……。異性として見て貰えるように。その時までその人が独り身でいてくれれば、の話だけど……。」
「店のお客さんたちにも人気があったしな。難しいだろうな。だからあまり深入りしない距離を保つようにしてるよ。せめて成人してからだな、この体で相手を探すのは。」
俺はナナリーさんの朗らかな笑顔を思い浮かべながらそうため息をついた。
大人は報われない感情の扱い方を覚えるものだ。困らせる相手にしゃにむに突撃していくようなことは、俺にはとても出来ない。
「それに相手の女性が、カイアのお母さんになってくれるつもりもないとな。カイアが母親として受け入れるかは分からんが、俺とその人の間に子どもが出来た時に、カイアのことを自分の子ども扱いするのが俺だけだったら、カイアを悲しませちまうし、新しく生まれた子どもの情操教育にも悪いだろう。」
カイアの頭を撫でてやりながら言う。
「まあ、それはそうね。お母さんにとって、この子はいらない子なんだ、なんて思いでもしたら、その子も歪みかねないし、優しいカイアちゃんが傷付いてしまうもの。」
円璃花がウンウンとうなずく。
「まあ、子連れの再婚みたいなものだな。俺としては、カイアと仲良くやってくれることが第一優先だ。これだけは譲れない。」
「確かにね。──あ、なら、譲次みたいに精霊か妖精を、自分の子どもとして育ててる人ならどう?子連れ同士なら、子どもたちが仲良く出来るなら、話も早いんじゃない?」
「まあ、そんな人がいればな。」
カイアがキョトンとして、不思議そうに首を傾げて俺を見ている。この話をしていた時点では、まさか本当にそんなことになるだなんて、まるで想像もしていない俺だった。
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「あら、いいじゃない。」
「よくないだろ。俺もお前も、今の体の年齢いくつだと思ってるんだ。どう見ても10代だろ。それに元の年齢からしても、年の差があり過ぎる。釣り合わんよ。」
俺はため息をついた。
「まあ、恐らく向こうの親御さんとのほうが年齢が近いでしょうね。」
「こっちは子どもを生むのが早いからな。下手すりゃ同い年だ。それに俺がそう思ってるってだけで、ほんとはもっと若いかも知れない。怖くて実際の年齢が聞けなくてな。」
「ああ、それは確かに、ちょっとね……。
28歳とかならギリギリまだ30過ぎるのを待てばいいけど、それ以下だと私たちの年齢でちょっかいかけるのは気持ち悪いわ。」
と腕組みをしながらうなった。
円璃花も俺よりはだいぶ年下だが、それでもいい年だから、30歳未満の男性にはちょっかいをかけない。俺も円璃花も、年下過ぎるのは付き合うにはちょっとキツイのだ。
自分の子どもの年齢に近い相手に手を出す大人は、生理的に気持ちが悪いと感じてしまう。相手の方から来たとしても、大人の側が断るべきだと思っている。その上で相手が諦めなければ、結婚するならいいと思う。
まあ、俺や円璃花ほど年の差に嫌悪感を持たない、年若い女性にちょっかいをかける男だって、体の関係だけなら若い相手を好むのだとしても、付き合うとか結婚となると、若過ぎるのは建設的な話が出来ないので、しんどいと感じてしまう奴が多いと思う。もしも若い子しか好きじゃないと言うのなら、そいつはただの病気か、女性に人格を認めず、そもそも話し合う気がないかのどちらかだ。
「──というか譲次、あなたコボルトじゃなかったら、アシュリーさんのこと、絶対好きでしょ。」
「よく分かったな。」
「美味しそうに嬉しそうに、ニコニコご飯を平らげる人が好きじゃない、あなた。
料理が好きな人もそうだし。
アシュリーさんいっつも幸せそうに、あなたのご飯を食べてくれるものね。」
さすが元カノだな。
「それと仕事持っててその仕事が好きで、ヒステリーを起こさない人よね。だから多分、今度の人もそういう人でしょ?」
「……まあな。実際確かに彼女は料理人だ。
食べるのが好きかは分からないが、自分の店を持ってるよ。カイアも懐いてるから、凄くいいな、とは思ってる。ただ、向こうが引くだろうな、今の俺だと。」
「……体は未成年だものね。そう考えると、まだ元の体の年齢の方がマシよね。年の差はあれどこっちが年上で、大人の男性だもの。
男の方がだいぶ年下で、しかも未成年なのは、女からするとかなりキツイわ……。
時間をかけるしかないわねえ……。異性として見て貰えるように。その時までその人が独り身でいてくれれば、の話だけど……。」
「店のお客さんたちにも人気があったしな。難しいだろうな。だからあまり深入りしない距離を保つようにしてるよ。せめて成人してからだな、この体で相手を探すのは。」
俺はナナリーさんの朗らかな笑顔を思い浮かべながらそうため息をついた。
大人は報われない感情の扱い方を覚えるものだ。困らせる相手にしゃにむに突撃していくようなことは、俺にはとても出来ない。
「それに相手の女性が、カイアのお母さんになってくれるつもりもないとな。カイアが母親として受け入れるかは分からんが、俺とその人の間に子どもが出来た時に、カイアのことを自分の子ども扱いするのが俺だけだったら、カイアを悲しませちまうし、新しく生まれた子どもの情操教育にも悪いだろう。」
カイアの頭を撫でてやりながら言う。
「まあ、それはそうね。お母さんにとって、この子はいらない子なんだ、なんて思いでもしたら、その子も歪みかねないし、優しいカイアちゃんが傷付いてしまうもの。」
円璃花がウンウンとうなずく。
「まあ、子連れの再婚みたいなものだな。俺としては、カイアと仲良くやってくれることが第一優先だ。これだけは譲れない。」
「確かにね。──あ、なら、譲次みたいに精霊か妖精を、自分の子どもとして育ててる人ならどう?子連れ同士なら、子どもたちが仲良く出来るなら、話も早いんじゃない?」
「まあ、そんな人がいればな。」
カイアがキョトンとして、不思議そうに首を傾げて俺を見ている。この話をしていた時点では、まさか本当にそんなことになるだなんて、まるで想像もしていない俺だった。
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