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第120話 待っていた手紙の返事②

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「どうやら今すぐ帰らなくてはならなくなったようです。ランディさん、リンディさん、ワッツさん、エイダさん、後日改めてご連絡致しますので、よろしくお願いいたします。
 俺はこれで失礼しますね。」
「は、はい。」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそだぜ!」
「楽しみにしているよ。」

 4人と別れて、俺はハンバーグ工房を建てる予定の場所に、ハンバーグ工房、馬車の馬用の馬房、馬車を整備する場所、倉庫、従業員の休憩所兼食事処、従業員の住居、警備員の詰め所などを次々と出した。
 その足でヴァッシュさんの工房へ行き、ミートミンサーという、肉をミンチにする機械を自動にする魔道具の製作をお願いした。

 別に手動でもいいんだが、大量に作ることを考えると、それだけで疲れちまうしな。
 ミスティさんは、肉をミンチにする料理道具なのだというと、珍しげにミートミンサーをいじくり回していた。この世界にハンバーグがないってことは、ミートミンサーもないってことだもんな。

「こちらを自動にするだけであれば、鋳型を作って同じものを作り、魔石で自動で回転させる仕組みを組み込めばよいだけですね。
 料理に使うのであれば、ばらして洗いやすくしたほうがよいですか?」
「そうしていただけると助かります。」
「このくらいでしたら……、今回は新人にまかせてみてもよいでしょうか?最近色々お願いされているので、ちょっと手が……。」

「はい、問題ないですよ。特に指名でなくてはいけないわけではないので……。」
「……。そうはっきり言われると、正直ちょっぴり寂しいですね。ジョージさんは毎回、私か工房長を指名してくれる、お得意さまだと思っていましたので……。」
 ミスティさんが少し拗ねたように言う。
 今の表情、エドモンドさんが見たら、ノックアウトだろうなあ。ちょっと可愛らしい。

「もちろん、お願い出来るのであれば、ミスティさんにお願いしたいですよ。ミスティさんの腕は信用していますからね。
 ですが、今も色々とお願いをしていますので、ミスティさんが無理なさるくらいであれば、他の方に任せられることは、任せて下さっても問題ありません。
 ミスティさんは開発に夢中になると、すぐ徹夜なさることは存じてますからね。」

 俺がそう言って笑うと、ミスティさんも恥ずかしそうに後頭部に手をやって笑った。
「では、こちらは見本にお預かりしますね。
 おそらくは、2~3日もあれば出来るかと思います。そのくらいにお越しください。」
「分かりました。」
 俺はヴァッシュさんの工房をあとにすると、その足で役場へと対う。

 ハンバーグ工房とその周辺の土地を、登録したいのだと告げると、カウンターの奥で暇そうにボーッと天井を眺めながら頬杖をついていた若い男性が、受付の人に声をかけられて、椅子から飛び上がるように立ち上がり、そのままこちらに笑顔で駆け寄って来た。
「土地の登録をご希望ですか!?」
「は、はい……。」

 えらく食い気味な彼の勢いに押されて、タジタジになりながらもそう答える。
「それではさっそく向かいましょう!!
 馬車の必要な場所ですか?」
「そうですね。乗り合い馬車の通り道ではないので……。今後御者を雇うつもりではいますが、今は歩いて行く必要があります。」

「分かりました。それでは役場の馬車をご用意しますので、少しお待ち下さい。」
 そう言うと、エイデンさんと名乗った男性は、役場の奥の扉から馬車を取りに行き、役場の前に馬車を用意しましたと言って、外の入口から戻って来た。
 自分でやるんだな、馬車の準備。

 俺はエイデンさんとともに、ハンバーグ工房予定地へと馬車で向かった。新たな産業をおこす人は少ないらしく、土地登記担当は年中暇なのだそうだ。どうりでつまらなさそうにボーッとしていたわけだ。
「──ふおおぉおお……。」
 エイデンさんはハンバーグ工房予定地に降り立つなり、小さな子どものように目をキラキラさせて、両手の拳を握りしめて胸の高さに持ち上げ、妙な声を発した。

「こんなに広い土地を測量するのは初めてのことです!初めて本格的に僕のスキルが役に立つ日がやってきました!!」
 と感動しきりだった。スキルで測るのか。メジャーとか使わないんだな。さすが異世界というところか。

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