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第115話 ブレンドティーの試飲と打ち合わせ①
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「すみません、遅くなりました。」
「おお、ジョージ、待ってたぞ。」
「別にはっきりと時間を決めたわけじゃないし、忙しいジョージに合わせると決めたのは俺たちだ、気にしないでくれよ。」
「疲れたろう、まずはお茶を飲んでくれ。
あれから俺たちで試してみた、バンカ茶のブレンドティーだ。どうだろうか?」
インダーさんがお茶を入れてくれる。
俺は移動販売の協力者を依頼している、インダーさんたちの、バンカ茶のブレンドティー計画のブレンド結果を確認する為に、アスターさんの家に立ち寄っていた。
アンデオールさんの家からは、家に帰る帰り道だから、ついでに来ることにしたのだ。
「……うん、だいぶ飲みやすくなったと思います。これなら売れると思いますよ。
ルピラス商会に取り引きの為に人を寄越すよう、頼んでおきますね。」
それを聞いて、インダーさんもアスターさんも、ほっとしたような表情を浮かべる。
「村の奴らも、新たな産業になるってんで、手伝ってくれてるんだ。俺は料理はどうにも苦手だもんで、食用花のドレッシングは手伝えないからな。冒険者が出来ない今、村に協力出来ることがあって良かったよ。」
嬉しそうなアスターさん。
「そうですか。それは良かった。」
「ドレッシングは混ぜるだけだし、料理ってほどでもないのに、ほんと嫌がるんだよな、コイツは。焼いて食うしかしないんだ。」
ザキさんに突っ込まれて、仕方ねえだろうが、誰にだって苦手なものはあるんだ、とアスターさんが言い、みんなで笑った。
「それと、馬車はひと月後に100台揃う予定です。かなり移動が快適な馬車になる予定ですので、楽しみにしていて下さいね。」
「ひと月後か……、かなり具体的になってきたなあ。俺たちに出来るだろうか。」
マジオさんは心配げだ。
「その前に少人数で実地訓練を兼ねて先に始めるんだろう?そこで覚えりゃいいさ。」
とアスターさん。
「俺たちよりも、問題はどんな人材を集められるかだな。離れた場所で俺たちの目が届かない状態で、任せられる人間が必要だ。」
とインダーさんは、テーブルの上で両肘をつき、組んだ指に顎を乗せて言った。
「確かに100台の馬車だ。……最低でもそこにDランクの冒険者が2人以上。
給料はジョージが保証してくれるから心配ないとはいえ、200人以上をいきなり管理するともなると、そこは自信がないな。」
アスターさんも少し心配げだ。
「最初は俺とマジオが現地に住むけど、バンカ茶のブレンドティーのこともあるからな。
しばらくしたら人に任せて家に帰りたいしな。いい奴がいればいいけど……。」
とザキさん。
──確かにそうだ。
いくらなんでも、ずっと現地で生活し続けるわけにはいかないよなあ。
インダーさんは年老いた祖母と、アスターさんは年老いた祖父と暮らしているから、両親がともに健在で、独り身のマジオさんとザキさんが、離れた場所で管理者として、まずは働いてくれることになったのだ。
インダーさんもアスターさんも、両親を早くに亡くしている。原因は食べ物の不足。子どもの2人と自分の親にばかり食べさせて、自分たちは飢え死にしてしまった。
その年はかなりの凶作で、同じ村の村人たちも、自分たちが食べるのに精一杯で、両親を助けることが難しかったらしい。
それでも子どもたちを心配して、村人全員が、幼い2人には時々ふかした芋なんかをくれていたらしい。だから、インダーさんとアスターさんの夢は、村人をはじめとする、みんながお腹いっぱい食べられることなのだ。
それに、バンカ茶のブレンドティーの原材料を育てるのにも、ブレンドするのにも、ルピラス商会と取り引きするにも、それぞれの村人たちに任せっきりというわけにもいかないだろう。バンカ茶のブレンドティーと移動販売を同時並行でやることになった以上、この先もっと大変なことになるはずだ。
誰か信頼できる人に、出来るだけ早くに任せる必要はありそうだな。
「──ヤンガスはどうだ?以前マンバから出稼ぎに来たと話していたろ?
気持ちのいい奴だったじゃないか。」
「ヤンガス?」
マジオさんの言葉に、アスターさんがマジオさんを見る。
「ほら、あの、弟がニモピンで冒険者をしてるっていう、Cランクの冒険者だ。」
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「おお、ジョージ、待ってたぞ。」
「別にはっきりと時間を決めたわけじゃないし、忙しいジョージに合わせると決めたのは俺たちだ、気にしないでくれよ。」
「疲れたろう、まずはお茶を飲んでくれ。
あれから俺たちで試してみた、バンカ茶のブレンドティーだ。どうだろうか?」
インダーさんがお茶を入れてくれる。
俺は移動販売の協力者を依頼している、インダーさんたちの、バンカ茶のブレンドティー計画のブレンド結果を確認する為に、アスターさんの家に立ち寄っていた。
アンデオールさんの家からは、家に帰る帰り道だから、ついでに来ることにしたのだ。
「……うん、だいぶ飲みやすくなったと思います。これなら売れると思いますよ。
ルピラス商会に取り引きの為に人を寄越すよう、頼んでおきますね。」
それを聞いて、インダーさんもアスターさんも、ほっとしたような表情を浮かべる。
「村の奴らも、新たな産業になるってんで、手伝ってくれてるんだ。俺は料理はどうにも苦手だもんで、食用花のドレッシングは手伝えないからな。冒険者が出来ない今、村に協力出来ることがあって良かったよ。」
嬉しそうなアスターさん。
「そうですか。それは良かった。」
「ドレッシングは混ぜるだけだし、料理ってほどでもないのに、ほんと嫌がるんだよな、コイツは。焼いて食うしかしないんだ。」
ザキさんに突っ込まれて、仕方ねえだろうが、誰にだって苦手なものはあるんだ、とアスターさんが言い、みんなで笑った。
「それと、馬車はひと月後に100台揃う予定です。かなり移動が快適な馬車になる予定ですので、楽しみにしていて下さいね。」
「ひと月後か……、かなり具体的になってきたなあ。俺たちに出来るだろうか。」
マジオさんは心配げだ。
「その前に少人数で実地訓練を兼ねて先に始めるんだろう?そこで覚えりゃいいさ。」
とアスターさん。
「俺たちよりも、問題はどんな人材を集められるかだな。離れた場所で俺たちの目が届かない状態で、任せられる人間が必要だ。」
とインダーさんは、テーブルの上で両肘をつき、組んだ指に顎を乗せて言った。
「確かに100台の馬車だ。……最低でもそこにDランクの冒険者が2人以上。
給料はジョージが保証してくれるから心配ないとはいえ、200人以上をいきなり管理するともなると、そこは自信がないな。」
アスターさんも少し心配げだ。
「最初は俺とマジオが現地に住むけど、バンカ茶のブレンドティーのこともあるからな。
しばらくしたら人に任せて家に帰りたいしな。いい奴がいればいいけど……。」
とザキさん。
──確かにそうだ。
いくらなんでも、ずっと現地で生活し続けるわけにはいかないよなあ。
インダーさんは年老いた祖母と、アスターさんは年老いた祖父と暮らしているから、両親がともに健在で、独り身のマジオさんとザキさんが、離れた場所で管理者として、まずは働いてくれることになったのだ。
インダーさんもアスターさんも、両親を早くに亡くしている。原因は食べ物の不足。子どもの2人と自分の親にばかり食べさせて、自分たちは飢え死にしてしまった。
その年はかなりの凶作で、同じ村の村人たちも、自分たちが食べるのに精一杯で、両親を助けることが難しかったらしい。
それでも子どもたちを心配して、村人全員が、幼い2人には時々ふかした芋なんかをくれていたらしい。だから、インダーさんとアスターさんの夢は、村人をはじめとする、みんながお腹いっぱい食べられることなのだ。
それに、バンカ茶のブレンドティーの原材料を育てるのにも、ブレンドするのにも、ルピラス商会と取り引きするにも、それぞれの村人たちに任せっきりというわけにもいかないだろう。バンカ茶のブレンドティーと移動販売を同時並行でやることになった以上、この先もっと大変なことになるはずだ。
誰か信頼できる人に、出来るだけ早くに任せる必要はありそうだな。
「──ヤンガスはどうだ?以前マンバから出稼ぎに来たと話していたろ?
気持ちのいい奴だったじゃないか。」
「ヤンガス?」
マジオさんの言葉に、アスターさんがマジオさんを見る。
「ほら、あの、弟がニモピンで冒険者をしてるっていう、Cランクの冒険者だ。」
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