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第113話 キャメロン・ディアス丼②

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 つまり今エドモンドさんが言った土地は、それぞれかなり大きな町だということだ。
「いきなりそんなに作るのか?」
 メッペンさんが目を丸くしている。
「自動熱石押し機能付き洗浄機の数を揃えなくちゃならんからな、順次ということにはなると思うが。今あげた場所の近くには、すべて置いたほうがいいだろうな。」

「そんなに日数かかりませんから、一度でもいいと思いますよ。」
「そうなのか?
 なら、すぐに人手を揃えてくれ。売り上げはうちの従業員が出す分だけでも、ひと月に中白金貨3枚だと思ってくれていい。そこからうちと、ジョージの取り分で5割引かれても、1箇所に5人は余裕で雇えるだろう?」

「中白金貨3枚だって!?」
 メッペンさんも、義弟のエムスラントさんも目を丸くしてあんぐりと口を開けていた。
 シャツ1枚銅貨5枚=五百円、週5勤務として、毎日洗濯に出すのなら、ルピラス商会全体で3万人だから、……なるほど3億か。
「自動熱石押し機能付き洗浄機にシャツを置くだけなら、生活魔法使いでなくてもいいですし、人手はすぐに集まりそうですね。」

「……わ、わかった。すぐに集めよう。
 だが、この自動熱石押し機能付き洗浄機の金額はいくらなんだ?買い取るにしても予算が……。すぐには無理だ。」
「はじめは貸与でいいですよ?
 それか、ローンにしましょうか?」
「ローン?なんだそれは。」
 メッペンさんが、初めて聞いた単語だという風に首をひねる。

 ああ、そうか、分からないのか……。
「ええと、分割払いって意味の、俺の国の言葉です。毎月決まった金額を支払います。」
「ああ、そうして貰えると助かるよ。なにせ自動熱石押し機能まで付いているとなると、相当値が張りそうだからな……。」
「そうですね。小白金貨2枚します。」

「そ、そんなにか……。」
 ほぼオートメーションの機械としては、2千万でもかなり安いと思うけどな。普通はここまで大きかったら、5千万から億単位だ。
「だが、本当にひと月中白金貨3枚稼げるのであれば、5割引かれたとしても、従業員を一気に雇っても返せない額じゃないな。
 わかった、分割払いで頼む。」

「わかりました。」
「義兄さん、だいじょうぶなのか?
 ……借金することになるんだぞ?」
 エムスラントさんが心配そうに言う。
「ルピラス商会が絡んでるんだ。売り上げは保証されたようなものだ。それに今更、この建物までくれたジョージさんが、俺たちを騙すとも思えない。取る金もないしな。」

 そう言って笑うメッペンさんに、
「この建物、ジョージが寄与したのか!?」
 と、改めてトレーラーハウスの中をぐるりと見渡して驚愕していた。
「はい。広くて明るくて、作業をするのに丁度いいかと思いまして。」
「こんな作りの建物は初めて見るな……。」

「移動して運べるので便利ですよ。かなり重量がありますから、大変ですけどね。」
「──移動出来るだって!?建物がか!?」
「はい。ただまあ、この国じゃ珍しい様式だと思いますし、変に狙われても面倒なので、目立たない場所に置きたくて。そういう場所を探していただけると助かります。」

「……確かに。小さいが、かなりつくりがしっかりしているし、金を持っていそうだと目をつけられかねないな。
 わかった。探させよう。
 それにしてもジョージは本当に……。
 いや。よそう。詮索はすまい。」
 エドモンドさんが頭を振った。
「すみません。」

 エドモンドさんがこういう人じゃなかったら、俺もこんなに簡単に物を出せなかったからそこは感謝だな。なんでも出せることを知られて、誰かに利用されないとも限らない。
 建物をいちから作っていたら、商売を始めるタイミングを逃しかねないからな。
 悩んだが、やはり出して良かった。

「店舗側の営業時間は、勤め人の朝7時から夕方3時に合わせて、朝6時から夕方の4時まで、その間に2時間昼休みを取る。
 それで了承してくれる従業員は1日、了承されない場合は、短時間勤務の人間を2人入れるつもりだ。現時点では平日のみとする。
 持ち込みの数が増えてきたら、休養日の営業も視野に入れるつもりだ。」

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