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第112話 一目惚れって信じるか?②
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つまりはエコなアイロンということか。石を熱するだけでもかなりの手間と燃料がいる為、洗濯女はやらないのだそうだ。アイロンがないのか……。そこも考えてなかったな。
「現金収入を持たない平民からすると高いだろうが、給金を得ている平民からすればそうでもない。いいラインをついてるな。」
そういうところは現地の人じゃないと、分からない情報だな。というより、全部の業界に精通している、ルピラス商会ならではか。
「教えていただけてほっとしました。
それならだいじょうぶそうですね。ただ、俺とメッペンさんたちで考えたサービスを提供するのに、600店舗だと人手が足らないです。いくら魔道具があると言っても。」
「──そこだよ、ジョージ。
だからこの価格表で採算が取れるのかを確認したいんだ。予想よりかなり安いからな。
朝出して夕方仕上げで銅貨5枚、襟袖の黄ばみ除去別途銅貨4枚って……、いくらなんでも、破格過ぎるだろう!
せめて特別料金を取るべきだ。次の日仕上げでもじゅうぶん安いぞ?」
「そうですかね?シャツだけですよ?」
俺なら毎日頼むのなら、少しためらう金額なんだがな。300円なら頼んでもいいが。
「開店当初だとか、たまになら割引価格をしてもいいが、元が安過ぎると下げられない。
従業員の給金を考えても、特別料金を取らないのであれば、うちの取り分が4割じゃ出来ない可能性だってあるぞ?」
「うーん……。処理件数でなんとか出来ないかなと思っているんですが。生活に根付かせようと思ったら、あまり高くすべきでないと思っているんです。消耗品に近いですし。」
「それなら、魔道具の処理件数を見てからの話になるな。明日出来るんだったか?」
「はっきり明日と言われたわけではないですね。だいたいそのくらい、と。」
「なら聞いてみて貰えないか?もしも、もう出来ているのなら、見て話をつめたい。」
そう言って、エドモンドさんは魔法で飛ばせる急ぎの手紙、ミーティアを出して来た。
「分かりました。」
俺はミスティさんあてに手紙を書いた。
程なくしてミスティさんから返事が返ってくる。ミーティアが鳥から手紙に変化して、俺の手の上に落ちる。ミーティアを開くと、
「──完成しているみたいです。」
「でかした!さっそく行こう。うちの馬車で送るから。──すまない、出かけて来る。」
部下にそう言うと、俺を伴って馬車に乗り込んだ。途中で馬がフンをする為に足を止める。フンは基本ほったらかしなのだが、程なくして森の中から、水色のスライムがやって来てフンに取り付き分解していく。
うちのトイレにもいる奴で、こいつらが糞尿をキレイにしてくれるのだ。現代にもいたら有り難かったな。野良猫のフンの匂いに悩まされることがなくなるし。雨の日とか臭いんだ。おまけにどこにあるのか分からないから、片付けることも出来ないしな。
ヴァッシュさんの工房に着き、いつもの受付の青年に、ミスティさんを呼んで貰った。
「もう出来たそうで、助かりました。」
「こちらは簡単でしたので。ですが冷凍庫付き冷蔵庫の霜が付かない機能はもう少しかかりそうです。……すみません。」
「いえいえ、仕方がないですよ。」
現代でだって、開発されるまでに、冷蔵庫が出来てから何十年も経ったんだしな。仕組みを伝えたからといって、そう簡単に出来るものじゃないのかも知れない。あまり時間がかかるようなら、諦めることも視野に入れないとな。仕事が始められなくなっちまう。
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「現金収入を持たない平民からすると高いだろうが、給金を得ている平民からすればそうでもない。いいラインをついてるな。」
そういうところは現地の人じゃないと、分からない情報だな。というより、全部の業界に精通している、ルピラス商会ならではか。
「教えていただけてほっとしました。
それならだいじょうぶそうですね。ただ、俺とメッペンさんたちで考えたサービスを提供するのに、600店舗だと人手が足らないです。いくら魔道具があると言っても。」
「──そこだよ、ジョージ。
だからこの価格表で採算が取れるのかを確認したいんだ。予想よりかなり安いからな。
朝出して夕方仕上げで銅貨5枚、襟袖の黄ばみ除去別途銅貨4枚って……、いくらなんでも、破格過ぎるだろう!
せめて特別料金を取るべきだ。次の日仕上げでもじゅうぶん安いぞ?」
「そうですかね?シャツだけですよ?」
俺なら毎日頼むのなら、少しためらう金額なんだがな。300円なら頼んでもいいが。
「開店当初だとか、たまになら割引価格をしてもいいが、元が安過ぎると下げられない。
従業員の給金を考えても、特別料金を取らないのであれば、うちの取り分が4割じゃ出来ない可能性だってあるぞ?」
「うーん……。処理件数でなんとか出来ないかなと思っているんですが。生活に根付かせようと思ったら、あまり高くすべきでないと思っているんです。消耗品に近いですし。」
「それなら、魔道具の処理件数を見てからの話になるな。明日出来るんだったか?」
「はっきり明日と言われたわけではないですね。だいたいそのくらい、と。」
「なら聞いてみて貰えないか?もしも、もう出来ているのなら、見て話をつめたい。」
そう言って、エドモンドさんは魔法で飛ばせる急ぎの手紙、ミーティアを出して来た。
「分かりました。」
俺はミスティさんあてに手紙を書いた。
程なくしてミスティさんから返事が返ってくる。ミーティアが鳥から手紙に変化して、俺の手の上に落ちる。ミーティアを開くと、
「──完成しているみたいです。」
「でかした!さっそく行こう。うちの馬車で送るから。──すまない、出かけて来る。」
部下にそう言うと、俺を伴って馬車に乗り込んだ。途中で馬がフンをする為に足を止める。フンは基本ほったらかしなのだが、程なくして森の中から、水色のスライムがやって来てフンに取り付き分解していく。
うちのトイレにもいる奴で、こいつらが糞尿をキレイにしてくれるのだ。現代にもいたら有り難かったな。野良猫のフンの匂いに悩まされることがなくなるし。雨の日とか臭いんだ。おまけにどこにあるのか分からないから、片付けることも出来ないしな。
ヴァッシュさんの工房に着き、いつもの受付の青年に、ミスティさんを呼んで貰った。
「もう出来たそうで、助かりました。」
「こちらは簡単でしたので。ですが冷凍庫付き冷蔵庫の霜が付かない機能はもう少しかかりそうです。……すみません。」
「いえいえ、仕方がないですよ。」
現代でだって、開発されるまでに、冷蔵庫が出来てから何十年も経ったんだしな。仕組みを伝えたからといって、そう簡単に出来るものじゃないのかも知れない。あまり時間がかかるようなら、諦めることも視野に入れないとな。仕事が始められなくなっちまう。
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