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第109話 移動販売のスカウト②
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そうだったんだな……。アスターさんやインダーさんたちは、自分たちの為だけに冒険者を始めた訳じゃなかったのか。もちろんそこから自分たちの夢が更に広がっていったんだろうけど、それを国に奪われちまったんだものな。そんな特別な思いを持って始めた仕事なら、他の仕事を用意したところで、気持ちを切り替えるのは難しいかも知れないな。
「ああ。だから、俺たち以外の冒険者が住んでいない村の人たちは、みんな、なかなか肉や魚が手に入らなくて困っている筈だ。ちょっとしたものを買いに行くのだって、たやすくはないだろう。移動馬車の通り道だって、移動馬車が通らない時間帯は危険なんだ。商人は必ず護衛を雇ってる。移動販売をやれるとしたら、──俺たち冒険者だけだ。」
アスターさんがじっとインダーさんの目の奥を覗き込む。
「インダー。お前はこころざし半ばにして夢を奪われた。だけど思い出してもみろ。
お前の最初の一番の夢はなんだった?」
「……俺の村の人たちが、そして国中の人たちが、飢えたり、栄養が足らないことが原因で病気になって死なないこと、だ……。」
「そうだ。俺たちの村だけじゃなく、すべての村に、同じように食べ物が回るようにしたいと、お前は言ってただろ。その夢が、ジョージの移動販売なら叶えることが出来る。
栄養が足りなくてちっぽけなままの子どもも、お乳が出なくて泣いている母親も、死にかけている家族に好きな物を食べさせてやれないことも、みんなみんな無くなるんだ。」
「俺の……夢……。」
「役人どもはむかつくさ。法律だかなんだか知らねえが、国の対応にも納得はいかねえ。
だが、いつまでも他の冒険者たちを、俺たちに付き合わせるのもよくねえ。魔物が狩られなきゃ人間の住むところが危険になる。
魔物の肉が出回らなきゃ、食べ物が減る。
インダー、──俺と一緒に、ジョージの店の移動販売をやらねえか。」
インダーさんは、しばらくじっとアスターさんを見つめていた。
「お前は……、それでいいのか?
お前たちの冒険者登録証は剥奪されていないんだ。このままいけば……。」
「いや。俺はお前と一緒に仕事がしたい。
それにこの先名をあげるよりも、今すぐ困っている奴らを救いたい。」
アスターさんまでもが、冒険者をやめて移動販売の仕事につくだって!?アスターさんの予想外の言葉に俺は驚いた。
「いいだろ?ジョージ。
俺もインダーと一緒に雇ってくれよ。」
「もちろん、国中をカバーするとなると、たくさん冒険者は必要になりますから、Bランク冒険者であるアスターさんが手伝って下さることは、俺はありがたいですが……。」
「ジョージはインダーを、移動販売の仕事の長につけたいとまで言ってくれているんだ。
俺はそんなお前を支える立場でありたいと思ってる。お前となら、俺もやりたかったことや、夢が叶えられる。インダー、俺たちと一緒にやると言ってくれ。この国の人々の腹を、俺たちで満たしてやろうぜ!」
アスターさんはニカッと笑って言った。
「アスター……。
分かったよ。
みんなを巻き込んでしまって、ありがたいけど申し訳ないと思ってたところだ。
移動販売の仕事、やらせて貰うよ。
それで俺は納得したから、他の冒険者のみんなはクエストを受けるように、一緒に説得して欲しい。──頼めるか?」
「ああ、もちろんさ!
ザキやマジオも引き抜こうぜ、あいつらなら、きっとやりたいと言う筈だ!」
「ああ、そうだな!あいつらと一緒に、移動販売と、混合バンカ茶の販売がしたいよ!」
「バンカ茶といえば、この草なんだがな……確か、」
「すみません!俺が本来の目的の話以外を持ち込んだせいで、脱線させてしまって。」
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「ああ。だから、俺たち以外の冒険者が住んでいない村の人たちは、みんな、なかなか肉や魚が手に入らなくて困っている筈だ。ちょっとしたものを買いに行くのだって、たやすくはないだろう。移動馬車の通り道だって、移動馬車が通らない時間帯は危険なんだ。商人は必ず護衛を雇ってる。移動販売をやれるとしたら、──俺たち冒険者だけだ。」
アスターさんがじっとインダーさんの目の奥を覗き込む。
「インダー。お前はこころざし半ばにして夢を奪われた。だけど思い出してもみろ。
お前の最初の一番の夢はなんだった?」
「……俺の村の人たちが、そして国中の人たちが、飢えたり、栄養が足らないことが原因で病気になって死なないこと、だ……。」
「そうだ。俺たちの村だけじゃなく、すべての村に、同じように食べ物が回るようにしたいと、お前は言ってただろ。その夢が、ジョージの移動販売なら叶えることが出来る。
栄養が足りなくてちっぽけなままの子どもも、お乳が出なくて泣いている母親も、死にかけている家族に好きな物を食べさせてやれないことも、みんなみんな無くなるんだ。」
「俺の……夢……。」
「役人どもはむかつくさ。法律だかなんだか知らねえが、国の対応にも納得はいかねえ。
だが、いつまでも他の冒険者たちを、俺たちに付き合わせるのもよくねえ。魔物が狩られなきゃ人間の住むところが危険になる。
魔物の肉が出回らなきゃ、食べ物が減る。
インダー、──俺と一緒に、ジョージの店の移動販売をやらねえか。」
インダーさんは、しばらくじっとアスターさんを見つめていた。
「お前は……、それでいいのか?
お前たちの冒険者登録証は剥奪されていないんだ。このままいけば……。」
「いや。俺はお前と一緒に仕事がしたい。
それにこの先名をあげるよりも、今すぐ困っている奴らを救いたい。」
アスターさんまでもが、冒険者をやめて移動販売の仕事につくだって!?アスターさんの予想外の言葉に俺は驚いた。
「いいだろ?ジョージ。
俺もインダーと一緒に雇ってくれよ。」
「もちろん、国中をカバーするとなると、たくさん冒険者は必要になりますから、Bランク冒険者であるアスターさんが手伝って下さることは、俺はありがたいですが……。」
「ジョージはインダーを、移動販売の仕事の長につけたいとまで言ってくれているんだ。
俺はそんなお前を支える立場でありたいと思ってる。お前となら、俺もやりたかったことや、夢が叶えられる。インダー、俺たちと一緒にやると言ってくれ。この国の人々の腹を、俺たちで満たしてやろうぜ!」
アスターさんはニカッと笑って言った。
「アスター……。
分かったよ。
みんなを巻き込んでしまって、ありがたいけど申し訳ないと思ってたところだ。
移動販売の仕事、やらせて貰うよ。
それで俺は納得したから、他の冒険者のみんなはクエストを受けるように、一緒に説得して欲しい。──頼めるか?」
「ああ、もちろんさ!
ザキやマジオも引き抜こうぜ、あいつらなら、きっとやりたいと言う筈だ!」
「ああ、そうだな!あいつらと一緒に、移動販売と、混合バンカ茶の販売がしたいよ!」
「バンカ茶といえば、この草なんだがな……確か、」
「すみません!俺が本来の目的の話以外を持ち込んだせいで、脱線させてしまって。」
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