こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第107話 3種のきのこのマリネ、種もヘタも丸ごと食べられるピーマンの焼きびたし、オクラとミョウガの塩昆布和え④

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「んん~、朝から贅沢ね!」
 いろんなものを少しずつ食べるのが好きな円璃花は、おかずにあれこれ手を伸ばしながら嬉しそうだ。モグモグしながらアエラキの焼き鮭をほぐしてくれている。
 キラプシアは例によって味付きのものは与えていないので、俺たちと一緒のテーブルにはいるが、生野菜を食べている。

 焼き鮭を上手にほぐそうと頑張るカイアを手伝う俺に、
「ジョージ、さっき使ってた道具は何なの?
 魔道具かしら。すぐに料理が出てきたわ!
 私も欲しいんだけど。」
 興味津々に電子レンジを眺めていたアシュリーさんが、目を輝かせて言ってくる。

「あれは電子レンジですね。
 俺の国では魔石を使用していませんので、そちらで使うのは難しいかと……。」
「え?どうやって使ってるの?」
「ガソリンという液体燃料を使用して、電気というエネルギーを作っているんです。」
「ああ、魔石を使わない国もあるって言うわよね。ジョージのところがそうなのね。」

 そうなのか。そこにはガソリンや石油があったりするのかな?
「残念だわあ……。
 とっても便利そうなのに。」
「はい、確かに便利ですね。冷たいものをただ暖かくして食べるのにも使います。」

「普通に家庭にあるものなのですか?」
 ララさんが聞いてくる。
「ええ、もちろん。」
「へえ……。」
 ララさんも感心している。開発出来るなら売ってもいいが、電子レンジのシステムを、魔法で再現する方法が想像出来ないな。

 別に発電機を出して線を引っ張ってやれば済む話だが、他人の家の電気配線工事を保証してやれるような技術が俺にないからな。
「部屋の壁にあった、涼しい風が出る道具もそうなの?」
「エアコンですか?はいそうですね。
 電気エネルギーを使用しています。」

「ジョージの家は変わってるのね……。」
 連日夏日と言っていいほどに暑いので、俺の部屋と円璃花の部屋にエアコンを取り付けて、常時稼働させている。キッチン・ダイニングに取り付けていないのは、他人を迎えることもあるからで、家に泊めるほどの相手には教えるが、他の人には見せない為だ。

 この世界のどこにも、王宮にすらエアコンどころか扇風機すらもなかったからな。そんなものがあるのを見られたら、目立ってしょうがない。冷蔵庫と冷凍庫があるんだから、水魔法と風魔法を使って冷やす技術くらいありそうなもんだと思ってたんだがな。
 ちょっと相談してみようかな?

「譲次は今日も出かけるのよね?」
 と円璃花が聞いてくる。
「ああ。クリーニング店の件で、排水回収業者さんのところと、会えそうであれば、冒険者許可証を剥奪された冒険者のところにな。
 明日は移動販売車の件で、タイヤを作ろうとしている加工職人さんと、車輪を作っている木工加工職人さんのところへ行こうと思っている。連日家をあけてすまないが……。」

「そう。じゃあ、アシュリーさんとララさんと自由に過ごすわね。お昼は適当に食べるけど、夜は戻ってくるの?」
「そのつもりだが、もしも戻ってくるのが遅れるようなら、準備を頼めるか?」
「分かったわ。」
「カイア、アエラキ、俺が出かけている間お姉さんの言うことをちゃんと聞くんだぞ?」

「ピョルルッ!」
「ピューイ!」
 2人とも元気に返事をしてくれる。キラプシアはカイアと一緒にいればだいじょうぶだしな、と思っていると、なにやらしょんぼりとした顔で俺を見ている。

「キラプシアもな。」
「チチィ!」
 自分だけ声をかけられなかったことが寂しかったらしい。俺はキラプシアの頭を撫でてやった。キラプシアは嬉しそうに目を細めて撫でられるのに任せていた。

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