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第105話 魔道具の開発⑤

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 別の受付嬢が受付の外に出てきて、俺たちを笑顔で促してくる。お金を乗せた紫色の布をしいた板を持った受付嬢が、初老の男性の後ろについて歩き、その後ろに別の受付嬢、俺、エドモンドさんの順で歩く。
 銀行の奥へと案内されると、そこは貴賓室のような場所だった。

 フカフカのソファーに座ることを促され、俺とエドモンドさんが腰掛けると、初老の男性がその向かいのソファーに腰掛けた。
 若い男性が小銭を数える時に使うような、コインを重ねて数える道具、天秤を持って戻って来ると、初老の男性の隣に座る。
 受付嬢がお金を乗せた紫色の布をしいた板を恭しくテーブルに置き、一度部屋を出て行った別の受付嬢がコーヒーを運んで来た。

「本日は当パーティクル公爵家の銀行をご利用いただきまことにありがとうございます。
 それでは確認させていただきます。」
 そう初老の男性が言うと、若い男性が天秤に分銅を乗せて、ひとつひとつ重さを確認しながら、小銭を数えるのに使うような、コインを重ねて数える道具に、中白金貨を重ねていく。重さで本物かどうか確認してるのか。

「──確認が終わりました。本日のお預かりは、大白金貨1枚と、中白金貨10枚でよろしいでしょうか?」
「はい、問題ありません。」
 オリハルコン銃とオリハルコンの盾がかなりしたからなあ。結構使っちまったけど、まだ預け入れしても手元に中白金貨も小白金貨もあるし、支払いにはこれだけあれば問題ないだろうと思い、きりのいい金額を預け入れることにしたのだった。
 
「というか、パーティクル公爵家の銀行だったんですね。知りませんでした。」
「はい。我々はパーティクル公爵家におつかえしている者です。それではこちらが口座番号証明証になります。こちらと身分証明書をご提示いただけませんと、引き出しが出来ませんのでご注意下さい。それでは口座番号証明証の登録にうつらせていただきます。」

 そう言って、なにやら巻き物のような紙を広げると、こちらに署名して血判をお願いいたします、と言われた。
 俺がサインをしたら、紫色の布をしいた小さな板を受付嬢が差し出して来て、その上に金色の針が乗せられていた。金色の針で指にちょっと傷を付けて、巻き物のような紙に血判を押す。初老の男性も同じようにしたあとで、空中に紙を放り投げると、突然紙がボウッと青い炎に包まれて燃えて消えた。

「──!?????」
 突然のことに驚くも、エドモンドさんも初老の男性も、若い男性も受付嬢も顔色を変えない。こういう仕様だってことか?
「契約魔法をご覧になられるのは初めてでございましたか?驚かせてしまって申し訳ございませんでした。これでジョージ・エイト様以外は口座番号証明証をご利用いただくことは出来なくなりましたのでご安心下さい。」

 静脈認証みたいなものか?なんにせよ、口座番号証明証と身分証明書を誰かに取られても、勝手に引き出されることはないわけか。
 俺は口座番号証明証を改めて受け取ると、口座作成のお礼として、何やら木箱を渡される。貯金箱でも入ってるのかな。異世界だし箱ティッシュってことはないだろうが。

「エドモンドさん、付き合って下さってありがとうございました。銀行の存在が知れて良かったです。助かりました。」
「……売り上げを毎回現金で渡しておいてなんなんだが、ジョージは少し金に無頓着過ぎやしないか?あれだけの大金を、今までそのまま持って歩いていたとはな。」

 銀行を出たところで、エドモンドさんがあきれたように言ってくる。
 まあ、日本円に換算すると20億になるのは、頭では分かっているんだが、なにせコインだからなあ……。現代人としてはお札じゃないと、大金を手にしている実感がわかないんだよな、正直なところ。

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