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第103話 貴族街でのイベント提案③
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確かに以前そんなことを言っていたな。
「でしたら、エドモンドさんに頼んで、ルピラス商会を通じて売りに出しましょうか。
それならこの国の人たちも、全員買えるようになると思いますしね。」
「いいわね。そうしてくれる?うちの集落は子どもがいる家は全員購入させて貰うわ。」
「わかりました。」
それなら早いほうがいいか。俺はエドモンドさん宛に鳥に変わる急ぎ用の魔法の手紙、ミーティアを使って、ウォーターガイドを販売したい旨を伝えることにした。
あけた窓からミーティアが飛んで行く。
「──それにしても、アシュリーさんもララさんも、アエラキは精霊だからまあ、ドライアドのことがあるので分かりますが、妖精のキラプシアについても驚かないんですね。」
俺はカイアをおろすと、食後のオンバ茶を準備しながら話しかけた。ララさんが食べた食器もアシュリーさんが洗ってくれたので、キッチンはキレイになっている。
「ああ。だってうちの集落にもいるもの。」
「そうなんですか?」
カップに注いだオンバ茶をひとりずつに配り、椅子に腰掛けながらそう言う。
「ええ。オンバ茶がこんなに育つのも、花の妖精がいついてくれているからなのよ。」
「へえ……。花の妖精ですか。けど、コボルトの集落に行った時には見掛けませんでしたね?どんな姿をしているんですか?」
「ジョージは見れなくて当たり前よ。めったに人前に姿をあらわさないもの。」
アシュリーさんがオンバ茶を飲みながら言う。お茶請けはクッキーだ。
「花の妖精は、花びらで出来た体毛を持つ、犬のような姿をしているんです。私たちがコボルトだから、姿を見せてくれるのかも知れませんね。とても臆病だと聞いてますし。」
ララさんが教えてくれる。
「へえ……。」
花びらで出来たティーカッププードルの飾りを見たことがあるが、そんな感じかな?
「ドライアド様が近くにいることも、安心材料のひとつかも知れないわね。花の妖精は、植物の中の精霊王である、ドライアド様の眷族でもあるから。妖精は精霊と違って、何かを守護するような力はないけど、魔法が使えることと、近くにいることで、成長を促したり、浄化する力があるわ。水の妖精が近くにいると、水がキレイに保たれたりね。」
「ケルピーの住む泉の近くには、必ず水の妖精がいるとされているんです。
ケルピーは魔物ですけど、キレイな水のあるところにしか住みませんから。」
じゃあ、俺が狩ったケルピーの住む泉の近くにも、水の妖精がいたということなのか。
確かにあの泉はキレイだったなあ。
「──さて。お茶もいただいたことだし、さっそくはじめましょうか。」
円璃花が張り切ってネイルの道具を、俺が片付けたテーブルの上に並べだす。
「はい、おねがいします。」
「ララに教わって私もやってみたけど、コボルトのやり方とはだいふ違うし、本職にしている人に直接教われるなんて楽しみだわ!」
アシュリーさんもララさんも張り切っているようだ。
「カイア、お邪魔になっちゃうから、お外で歩く練習をするか?アエラキもトランポリンや滑り台で遊ぼう。」
「ピョルルッ!」
「ピューイ!」
「チチィ!」
元気にお返事をする、カイア、アエラキ、キラプシアとともに、ここは円璃花にまかせて、俺は家の外に出たのだった。
窓の向こうで楽しげにネイルの練習をしている円璃花たちに、アエラキがトランポリンではねながら、窓の向こうに手を振ると、それに気が付いたみんなが、笑顔で手を振り返してくれる。キラプシアは滑り台がお気に入りのようだ。落っこちているようにも見えるのだが、何度も登っては滑り落ちている。
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「でしたら、エドモンドさんに頼んで、ルピラス商会を通じて売りに出しましょうか。
それならこの国の人たちも、全員買えるようになると思いますしね。」
「いいわね。そうしてくれる?うちの集落は子どもがいる家は全員購入させて貰うわ。」
「わかりました。」
それなら早いほうがいいか。俺はエドモンドさん宛に鳥に変わる急ぎ用の魔法の手紙、ミーティアを使って、ウォーターガイドを販売したい旨を伝えることにした。
あけた窓からミーティアが飛んで行く。
「──それにしても、アシュリーさんもララさんも、アエラキは精霊だからまあ、ドライアドのことがあるので分かりますが、妖精のキラプシアについても驚かないんですね。」
俺はカイアをおろすと、食後のオンバ茶を準備しながら話しかけた。ララさんが食べた食器もアシュリーさんが洗ってくれたので、キッチンはキレイになっている。
「ああ。だってうちの集落にもいるもの。」
「そうなんですか?」
カップに注いだオンバ茶をひとりずつに配り、椅子に腰掛けながらそう言う。
「ええ。オンバ茶がこんなに育つのも、花の妖精がいついてくれているからなのよ。」
「へえ……。花の妖精ですか。けど、コボルトの集落に行った時には見掛けませんでしたね?どんな姿をしているんですか?」
「ジョージは見れなくて当たり前よ。めったに人前に姿をあらわさないもの。」
アシュリーさんがオンバ茶を飲みながら言う。お茶請けはクッキーだ。
「花の妖精は、花びらで出来た体毛を持つ、犬のような姿をしているんです。私たちがコボルトだから、姿を見せてくれるのかも知れませんね。とても臆病だと聞いてますし。」
ララさんが教えてくれる。
「へえ……。」
花びらで出来たティーカッププードルの飾りを見たことがあるが、そんな感じかな?
「ドライアド様が近くにいることも、安心材料のひとつかも知れないわね。花の妖精は、植物の中の精霊王である、ドライアド様の眷族でもあるから。妖精は精霊と違って、何かを守護するような力はないけど、魔法が使えることと、近くにいることで、成長を促したり、浄化する力があるわ。水の妖精が近くにいると、水がキレイに保たれたりね。」
「ケルピーの住む泉の近くには、必ず水の妖精がいるとされているんです。
ケルピーは魔物ですけど、キレイな水のあるところにしか住みませんから。」
じゃあ、俺が狩ったケルピーの住む泉の近くにも、水の妖精がいたということなのか。
確かにあの泉はキレイだったなあ。
「──さて。お茶もいただいたことだし、さっそくはじめましょうか。」
円璃花が張り切ってネイルの道具を、俺が片付けたテーブルの上に並べだす。
「はい、おねがいします。」
「ララに教わって私もやってみたけど、コボルトのやり方とはだいふ違うし、本職にしている人に直接教われるなんて楽しみだわ!」
アシュリーさんもララさんも張り切っているようだ。
「カイア、お邪魔になっちゃうから、お外で歩く練習をするか?アエラキもトランポリンや滑り台で遊ぼう。」
「ピョルルッ!」
「ピューイ!」
「チチィ!」
元気にお返事をする、カイア、アエラキ、キラプシアとともに、ここは円璃花にまかせて、俺は家の外に出たのだった。
窓の向こうで楽しげにネイルの練習をしている円璃花たちに、アエラキがトランポリンではねながら、窓の向こうに手を振ると、それに気が付いたみんなが、笑顔で手を振り返してくれる。キラプシアは滑り台がお気に入りのようだ。落っこちているようにも見えるのだが、何度も登っては滑り落ちている。
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