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第101話 ナスとベーコンとトマトホール缶の豆腐干糸パスタ、キャベツとにんじんとキュウリとトウモロコシのコールスローサラダ④
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次の日、いつもならカイアとアエラキが、2人だけで積み木で遊んでいる時間に、円璃花も少し早く起きて来てくれたので、俺はみんなにご飯を食べさせると、さっそくコボルトの集落に向かうことにした。一本目の馬車が、ちょうど今くらいに出るのだ。
「じゃあ、行ってくるな。」
「行ってらっしゃい。気を付けてね。」
「ピョル!」
「チチッ!」
「ピューイ!」
みんな俺がドアを開ける時に、外の兵士たちから見えないよう、階段から手を振ってくれた。時間に正確ではないが、早く出発してしまうという事はないから、予定時刻までに乗り合い馬車の待合所で待っていればいい。
今日は珍しく待合所に1人先に待っている人がいた。しばらく待っていると、乗り合い馬車がのんびりとやって来たので乗り込む。
今日は随分と暑いなあ。外の兵士の人たちは大丈夫だろうか?防具を身に着けているから、正直かなり暑そうなんだよな。あそこは日陰もないからな。
経口補水液を作って出してやったほうがいいかも知れないな。そんなことを思いながら揺られていると、馬車がコボルトの集落の近くに着いた。俺と同じ待合所から乗った人は既に降りていた。先に乗っていた人や、途中で乗った人たちも降りてしまって、ここまで来たのは俺1人だ。
コボルトの集落に近付くと、集落の入口を護衛していた若いコボルトたちが、俺に気が付いて手を振ってくれた。
「お久しぶりです!店の改装、かなり進んでいるそうですね!」
「ああ。だから今のうちにやれることはやっておきたくてな。アシュリーさんとララさんに会いに来たんだが。」
「来ると伺って、アシュリーさんの家に集まっているそうですよ。来たら伝えて欲しいとアシュリーさんから頼まれてたんです。」
「そうか。じゃあアシュリーさんの家に直接向かうよ、ありがとう。」
若いコボルトたちに手を振って別れ、アシュリーさんの家に向かう。家の外で祖父のオンスリーさんが斧で木を割っていた。
「おお、ジョージ。よく来てくれた。アシュリーもララも家の中で待っているよ。」
「ありがとうございます。お邪魔します。」
俺は濡れたタオルで顔を拭いながらそう言うオンスリーさんに挨拶をして、ドアをノックした。犬とおなじで汗をかきにくいから、ああして冷やしているのかな?
「ジョージ!待ってたわ!」
ドアを開けてアシュリーさんが出迎えてくれる。中に入ると椅子に座っていたララさんも立ち上がって出迎えてくれた。
「今日は専門家の方に、ネイルの指導を受けるのですよね、とても楽しみです。」
ララさんはそう言って微笑んだ。
「それなんですが、良かったら2人とも、うちに泊まりでやりませんか?教えてくれる女性は、今俺の家に滞在してるんですが、良かったら2人とじっくり話してみたいと言ってるんです。彼女の部屋にベッドを置くので、そこで寝ていただく感じになりますが。」
そう言うと、一瞬2人が顔を見合わせる。
「私たちは別に構わないわよ?」
「ええ。ジョージさんの知り合いということは、コボルトに偏見もないでしょうし。」
2人は笑顔でそう言ってくれる。
「ありがとうございます。実は事情があって家から出られないので、彼女の話し相手にもなっていただけると嬉しいです。」
「そうなの?それはつまらないわね。」
「私たちで良ければ、ぜひお話しさせていただきたいです。」
「ありがとうございます。じゃあ、申し訳ありませんが、ご家族に泊まりの許可を取りに行きましょうか。」
まずは外に出て、アシュリーさんの祖父であるオンスリーさんに、それからララさんのご両親にも許可を取った。
オンスリーさんも、ララさんのご両親も、快く娘たちを送り出してくれた。若いお嬢さんたちを預かるのだ。前回のパーティクル公爵の時のようなことが、ないようにしなくちゃな。なんの連絡も出来なかったから、双方のご家族に寝ずに帰りを待たせてしまって、本当に申し訳なかったし。
「──ハックシュン!!」
「あら、あなた、風邪?」
「かも知れない。」
「もうすぐジョージと聖女様を別荘にお迎えするんだし、体調には気を付けてね?」
「ああ、分かっているよ。」
その頃パーティクル公爵が、盛大にくしゃみをしていたことを俺は知らなかった。
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「じゃあ、行ってくるな。」
「行ってらっしゃい。気を付けてね。」
「ピョル!」
「チチッ!」
「ピューイ!」
みんな俺がドアを開ける時に、外の兵士たちから見えないよう、階段から手を振ってくれた。時間に正確ではないが、早く出発してしまうという事はないから、予定時刻までに乗り合い馬車の待合所で待っていればいい。
今日は珍しく待合所に1人先に待っている人がいた。しばらく待っていると、乗り合い馬車がのんびりとやって来たので乗り込む。
今日は随分と暑いなあ。外の兵士の人たちは大丈夫だろうか?防具を身に着けているから、正直かなり暑そうなんだよな。あそこは日陰もないからな。
経口補水液を作って出してやったほうがいいかも知れないな。そんなことを思いながら揺られていると、馬車がコボルトの集落の近くに着いた。俺と同じ待合所から乗った人は既に降りていた。先に乗っていた人や、途中で乗った人たちも降りてしまって、ここまで来たのは俺1人だ。
コボルトの集落に近付くと、集落の入口を護衛していた若いコボルトたちが、俺に気が付いて手を振ってくれた。
「お久しぶりです!店の改装、かなり進んでいるそうですね!」
「ああ。だから今のうちにやれることはやっておきたくてな。アシュリーさんとララさんに会いに来たんだが。」
「来ると伺って、アシュリーさんの家に集まっているそうですよ。来たら伝えて欲しいとアシュリーさんから頼まれてたんです。」
「そうか。じゃあアシュリーさんの家に直接向かうよ、ありがとう。」
若いコボルトたちに手を振って別れ、アシュリーさんの家に向かう。家の外で祖父のオンスリーさんが斧で木を割っていた。
「おお、ジョージ。よく来てくれた。アシュリーもララも家の中で待っているよ。」
「ありがとうございます。お邪魔します。」
俺は濡れたタオルで顔を拭いながらそう言うオンスリーさんに挨拶をして、ドアをノックした。犬とおなじで汗をかきにくいから、ああして冷やしているのかな?
「ジョージ!待ってたわ!」
ドアを開けてアシュリーさんが出迎えてくれる。中に入ると椅子に座っていたララさんも立ち上がって出迎えてくれた。
「今日は専門家の方に、ネイルの指導を受けるのですよね、とても楽しみです。」
ララさんはそう言って微笑んだ。
「それなんですが、良かったら2人とも、うちに泊まりでやりませんか?教えてくれる女性は、今俺の家に滞在してるんですが、良かったら2人とじっくり話してみたいと言ってるんです。彼女の部屋にベッドを置くので、そこで寝ていただく感じになりますが。」
そう言うと、一瞬2人が顔を見合わせる。
「私たちは別に構わないわよ?」
「ええ。ジョージさんの知り合いということは、コボルトに偏見もないでしょうし。」
2人は笑顔でそう言ってくれる。
「ありがとうございます。実は事情があって家から出られないので、彼女の話し相手にもなっていただけると嬉しいです。」
「そうなの?それはつまらないわね。」
「私たちで良ければ、ぜひお話しさせていただきたいです。」
「ありがとうございます。じゃあ、申し訳ありませんが、ご家族に泊まりの許可を取りに行きましょうか。」
まずは外に出て、アシュリーさんの祖父であるオンスリーさんに、それからララさんのご両親にも許可を取った。
オンスリーさんも、ララさんのご両親も、快く娘たちを送り出してくれた。若いお嬢さんたちを預かるのだ。前回のパーティクル公爵の時のようなことが、ないようにしなくちゃな。なんの連絡も出来なかったから、双方のご家族に寝ずに帰りを待たせてしまって、本当に申し訳なかったし。
「──ハックシュン!!」
「あら、あなた、風邪?」
「かも知れない。」
「もうすぐジョージと聖女様を別荘にお迎えするんだし、体調には気を付けてね?」
「ああ、分かっているよ。」
その頃パーティクル公爵が、盛大にくしゃみをしていたことを俺は知らなかった。
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