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第101話  ナスとベーコンとトマトホール缶の豆腐干糸パスタ、キャベツとにんじんとキュウリとトウモロコシのコールスローサラダ③

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 ヒゲを動かしながらスープの匂いをかいでいたキラプシアが、スープをすくったスプーンを両手で掴んで飲み始めてしまう。
「おいおい、大丈夫か?動物と同じ理由で野菜と果物しか食べられないんなら、塩気のある人間の食べ物を与えたら、キラプシアの毛が抜けちまうかも知れないぞ?」
 そう言うと、ちょっとびっくりした顔をして、申し訳なさそうにピューイと鳴いた。

 動物が人間の食べ物を食べてはいけない理由は体に悪いからだ。塩気の濃い人間の食べ物を食べると、動物は体毛が抜けてしまう。
 人間だって塩分を取りすぎると、色んな病気になるくらいなのだ。日頃塩分を取らない生活をしてきたキラプシアに、塩分のある食事が影響がないとは思えない。

「今の分だけにしなさい、アエラキ。
 あれっぽっちですぐに毛が抜けるわけじゃないだろうが、野菜と果物しか食べられないキラプシアの体には、俺たちの食べ物は毒かも知れないぞ?同じものを食べさせてやりたいのはわかるが、キラプシアのことを考えてあげような?キラプシアが苦しんだり痛がったりしたら、アエラキも嫌だろう?」

 アエラキがコックリとうなずく。
「カイア、キラプシアがお腹痛くなったりしたら、治してあげて貰えるか?」
 と言うと、任せておいて!とばかりにキリッとした表情でピョルッ!と言った。
 カイアが聖魔法を使えるから大丈夫だとは思うが、なんともないといいんだが。

 それからはみんなで美味しく楽しくご飯を食べた。ご飯を食べたらお楽しみのケーキの出番だ。お皿に並べてみんなの前に置いてやり、オンバ茶を入れた。キラプシアにはイチゴを4分の1だけカットしたものを出してやる。みんな食べてるのに1人だけ何もないのもな。みんなケーキに目を輝かせている。

「──美味しい!ほんのり甘さがあるのに、ケーキの甘みを邪魔しないのね。」
 オンバ茶を飲みつつケーキを食べる円璃花がそう言って目を丸くする。
「毎日飲むといいらしい。これからはここにいる間は毎日出してやるからな。」
「ありがとう!所属する国が決まったら、そこでも仕入れられるかしら?」

「ルピラス商会が全国展開にむけて動いているからな、いずれどこの国でも手に入るようになると思うが、だいぶ値段設定が高いぞ?なんせ若返りの効果のあるお茶だからな。
 今広告塔として毎日飲み続けてる元王女様が、かなりその効果が出て若返っているからな。飛ぶように売れると思う。」

「そうなの?なら、私も広告塔になるというのはどう?仮にも聖女様なのよ、私。宣伝効果は絶大じゃない?」
「円璃花はもともと若いだろ?見た目が変わらないとあんまり効果が分からないと思う。
 それに聖女様を商売に絡ませるとなると、他の商売人からのアピールが始まって、そのうち鬱陶しいことにならないか?」

「……それは確かにそうかも。
 拠点に決まった先の国が、聖女を商売に利用してこないとも限らないわよね。この国くらい丁寧に扱ってくれるなら別だけど。」
「まあ、聖女様への献上品として渡すことが出来ないか、国が決まったら聞いてみて貰えるよう、ジョスラン侍従長に打診してみるから、そんなにガッカリするな。」

「──ホント!?ありがとう!」
 どうやってお茶を手に入れたものが悩んでいた円璃花だったが、あてが出来てようやく安心したようだった。せっかく理想の見た目に転生出来て喜んでいるのだものな。出来ることは協力してやりたいしな。それによその国に1人は不安だろうから、心をなぐさめられる何かはあったほうがいいだろう。

 テーブルの上ではキラプシアが、さっき自分にスープをくれたアエラキに、自分のイチゴをおすそ分けしようとしていて、その微笑ましい光景に思わず笑ってしまった。
「明日はアシュリーさんとララさんを、朝から迎えに行ってくる。結構場所が遠いから、馬車の時間によっては、戻りは昼過ぎになると思うんだ。」

「そうなの。じゃあ、それまでこの子たちを見ておけばいいのね?」
 円璃花が笑顔でそう言った。
「ああ。すまないが頼む。あと、もしも練習に時間がかかって、帰りが遅くて泊まりになる場合は、お前の部屋にベッドを出して2人に寝て貰いたいんだが、それでいいか?」

「構わないわよ。あの部屋広いから、ベッド3つは余裕だろうし。というか、せっかく来て貰うんだから、最初から泊まって貰ったらどう?私も色々話してみたいわ。」
「そうか。ならその予定で聞いてみよう。」
 確かに女同士、そのほうが円璃花も楽しいだろうな。外に出られないぶん、話し相手は必要だ。俺じゃどうしても分からないこともたくさんあるだろうからな。

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