こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第85話 メイベル王太后の気遣い③

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「ショートケーキって、実は日本オリジナルらしいですよ?
 だからないのかも知れませんね。」
「ほう!?そうなのか。
 そいつは知らんかったわい!」
「後ほどお届けしますので、楽しみにお待ち下さい。──それでは、俺はいったんこちらで失礼致します。」

 円璃花と、ランチェスター公と、メイベル王太后を残し、俺はジョスラン侍従長と、エドモンドさんと、先に行ったセレス様の待つ打ち合わせ部屋へと戻った。
「──すみません、随分と長い間、お待たせしてしまって。」
 俺が部屋に戻ると、セレス様とエドモンドさんとジョスラン侍従長が談笑していた。

「──お祖父様が急なんですもの!
 仕方がないわ。でも、おかげで聖女様を救うことが出来たのだから、あなたにはそのほうが良かったのではなくて?」
 セレス様が組んだ手の甲に顎を乗せると、婉然と微笑みながら俺を見る。

「はい……、まあ、おかげで友人を救うことが出来ました。ありがとうございます。」
「──あら、本当にそれだけ?」
 思わせぶりに俺を見てくる。
「聖女様とジョージは、特別な関係だったのではないかしらと思っていたのだけれど。」
 鋭いな、女の勘。

「そうなのか!?ジョージ!!
 聖女様はとんでもない美人なんだろう?
 いいなあ……羨ましいよ。
 というか、さすがと言うべきか。」
 エドモンドさんが俺の顔をマジマジ見ながら言ってくる。いや、この顔は貰い物です。

「はあ……、まあ……。大体そんなところです。ただもう、俺たちは一度関係を精算してますので、一緒に暮らすとなると、少々抵抗があるんですよ……。まあ、こちらに慣れるまでの少しの間だけということでしたので、それなら、ということで……。」
「──暮らす!?聖女様とか?」
 エドモンドさんが目を丸くする。

「ええ?でも、一緒に暮らすのでしょう?
 私の兄も、2人がただならぬ関係だったと察したから、ジョージに聖女様を預けることを了承したのだと思うわ?」
「──そうなんでしょうか?」
 あの短時間で?そこまで見抜かれたのか?

「だって何があるか分からないもの。
 私はジョージの性格を知っているから、そんなことはないと思えるけれど、兄とジョージは初対面でしょう?
 一人暮らしの男性の家に聖女様お1人でなんて、そんなことでもないと、……いくらなんでも、──ねえ?」

「──確かにそうだな。どんな理由をつけてでも、聖女様を城に引き止めるだろうな。
 たとえば聖女様がこちらでの知り合いが俺しかいなかったとして、もし俺の家に住みたいと言ったとして、それを認めるとは思えんよ。いくら聖女様が言ったとしても、だ。」

「恐らくはそのようなことであるかと。
 ただならぬ関係であったジョージ様と聖女様の関係をお察しになり、この世界の人間に怯える聖女様の心のよりどころとして、ジョージ様に支えていただきたいとお考えなのだと思いますよ。」
 ジョスラン侍従長もそう言ってくる。

「まあ……、支えになりたいとは思っていますが……。恐らくセレス様が期待されているような感じには、ならないと思いますよ?」
「──あら、私が期待するようなって、どんなかしら?」
 そこに、ドアをノックする音がし、外の兵士がロンメルが表に到着したことを告げた。

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