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第69話 キャンベル商人ギルド長④
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「それと、冒険者ギルドのギルド長、オリバー・スコットより、冒険者ギルドに立ち寄っていただけるよう、伝言を承っております。
ご自宅にも使者をつかわしたそうなのですが、おいでにならなかったそうで。
もしも商人ギルドに来ることがあれば、伝えて欲しいとのことでした。」
ああ……、何日か帰らなかったからなあ。
しばらくクエストを受けないと、冒険者ランクが下がると、最初の登録時に受付嬢に説明を受けたが、ランク維持の為になにかしろとか、そういうことだろうか?
上げようとしたわけじゃなく、気が付いたらどんどん勝手に上げられてしまったものだし、別に下げてもらっても、こちらは一向に構わないんだが……。
「分かりました、帰りに寄ってみます。」
俺は商人ギルドを出て、その足で冒険者ギルドへと向かって、受付嬢に声をかけた。
「あの……。商人ギルドで、冒険者ギルド側で俺にギルド長が用事があるようだとの、伝言をたまわったのですが……。
ジョージ・エイトと申します。」
「ジョージ・エイト様ですね、少々お待ち下さい。」
そう言って受付嬢が奥に引っ込んでいき、戻ってきたかと思うと、
「ギルド長が奥でお待ちです。こちらにお越しいただけますでしょうか。」
と言った。俺は受付嬢に案内されて、久しぶりにギルド長の部屋へと行った。
「すまないね、ジョージさん。
急に呼び立ててしまって。」
「お久しぶりです。
商人ギルドで、なにか俺に用事があると伺いましたが、何の件でしょうか?」
「実は……パーティクル公爵家より、ジョージさんを名指しで直々のクエスト依頼が入ってね。それで呼んだわけなんだ。」
「パーティクル公爵家から……、ですか?」
昨日別れる前は、何も言っていなかったが、あれからなにかトラブルでもあったのだろうか。セレス様が襲われたこともあるし、ひょっとしたらそれ絡みかも知れない。
「パーティクル公爵領には、温泉の出る山があってね。そこは一部万年雪が降っていて、常に山頂が雪山なんだが。」
そういえば、招待してくれた温泉が、お湯に浸かりながら雪が見れると、パーティクル公爵が言っていたなあ。
そこになにかあったのだろうか?
「領地の管理人に、公爵が向かうことを事前に打診したところ、どうも最近山の魔物の様子がおかしいと言われたようなんだ。」
「──というと?」
「そこにはイエティという魔物が住み着いているのだが、日頃は近付かなければ何もしない魔物だから、あえて討伐依頼を出すこともなく放置していたそうだ。
だがそのイエティの様子がおかしいと管理人は言ってきたらしい。本来イエティは全身が白い毛に覆われた魔物なんだが、パーティクル公爵領の雪山に現れたイエティは、全身真っ黒だったと言うんだよ。」
「真っ黒の……イエティ……。」
「それがどうも、真っ黒いイエティが、真っ白いイエティを襲っているらしく、真っ白のイエティ自体も気が立っていて、人間を周囲に近付けさせないのだそうだ。
このままでは人間が山に入れないとのことで、現地に行って様子を見て来て、可能なら退治して欲しいとの依頼だ。
イエティ自体は通常Aランクの魔物だが、真っ黒となると変種の可能性がある。恐らくはSランクに指定されるだろう。」
「うーん……。見てみないとなんとも言えませんが、俺もそこに招待を受けているので、真っ黒いイエティの件が解決しないと、温泉に行かれないのであれば、それはもう、行くしかないでしょうね。」
「招待!?パーティクル公爵家に、招待を受けているのかね?」
「ええ、まあ。パーティクル公爵家にお伺いした際に、その雪山の温泉の話を教えていただき、招待していただいたんです。」
「はあ……。あんたには毎回驚かされるね、ジョージさん。」
スコット冒険者ギルド長は、腕組みしたまま目を丸くしてため息をついた。
パーティクル公爵家に行くことになったのは、俺の力でもなんでもなく、まったくの偶発的な出来事なんだがな。
「固定のパーティーメンバーがいないようだが、掲示板で募集をかけるかね?」
スコット冒険者ギルド長の申し出に、俺は右手を上げて遠慮した。
「いえ、様子を見るだけなのでしたら、まずは現地で魔物の様子を見てから、必要であれば募集したいと思います。」
俺はヴァッシュさんの工房にお願いしていた、対Sランク用のオリハルコンの盾が出来上がっているか、一応確認しておく必要があるな、と思った。
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ご自宅にも使者をつかわしたそうなのですが、おいでにならなかったそうで。
もしも商人ギルドに来ることがあれば、伝えて欲しいとのことでした。」
ああ……、何日か帰らなかったからなあ。
しばらくクエストを受けないと、冒険者ランクが下がると、最初の登録時に受付嬢に説明を受けたが、ランク維持の為になにかしろとか、そういうことだろうか?
上げようとしたわけじゃなく、気が付いたらどんどん勝手に上げられてしまったものだし、別に下げてもらっても、こちらは一向に構わないんだが……。
「分かりました、帰りに寄ってみます。」
俺は商人ギルドを出て、その足で冒険者ギルドへと向かって、受付嬢に声をかけた。
「あの……。商人ギルドで、冒険者ギルド側で俺にギルド長が用事があるようだとの、伝言をたまわったのですが……。
ジョージ・エイトと申します。」
「ジョージ・エイト様ですね、少々お待ち下さい。」
そう言って受付嬢が奥に引っ込んでいき、戻ってきたかと思うと、
「ギルド長が奥でお待ちです。こちらにお越しいただけますでしょうか。」
と言った。俺は受付嬢に案内されて、久しぶりにギルド長の部屋へと行った。
「すまないね、ジョージさん。
急に呼び立ててしまって。」
「お久しぶりです。
商人ギルドで、なにか俺に用事があると伺いましたが、何の件でしょうか?」
「実は……パーティクル公爵家より、ジョージさんを名指しで直々のクエスト依頼が入ってね。それで呼んだわけなんだ。」
「パーティクル公爵家から……、ですか?」
昨日別れる前は、何も言っていなかったが、あれからなにかトラブルでもあったのだろうか。セレス様が襲われたこともあるし、ひょっとしたらそれ絡みかも知れない。
「パーティクル公爵領には、温泉の出る山があってね。そこは一部万年雪が降っていて、常に山頂が雪山なんだが。」
そういえば、招待してくれた温泉が、お湯に浸かりながら雪が見れると、パーティクル公爵が言っていたなあ。
そこになにかあったのだろうか?
「領地の管理人に、公爵が向かうことを事前に打診したところ、どうも最近山の魔物の様子がおかしいと言われたようなんだ。」
「──というと?」
「そこにはイエティという魔物が住み着いているのだが、日頃は近付かなければ何もしない魔物だから、あえて討伐依頼を出すこともなく放置していたそうだ。
だがそのイエティの様子がおかしいと管理人は言ってきたらしい。本来イエティは全身が白い毛に覆われた魔物なんだが、パーティクル公爵領の雪山に現れたイエティは、全身真っ黒だったと言うんだよ。」
「真っ黒の……イエティ……。」
「それがどうも、真っ黒いイエティが、真っ白いイエティを襲っているらしく、真っ白のイエティ自体も気が立っていて、人間を周囲に近付けさせないのだそうだ。
このままでは人間が山に入れないとのことで、現地に行って様子を見て来て、可能なら退治して欲しいとの依頼だ。
イエティ自体は通常Aランクの魔物だが、真っ黒となると変種の可能性がある。恐らくはSランクに指定されるだろう。」
「うーん……。見てみないとなんとも言えませんが、俺もそこに招待を受けているので、真っ黒いイエティの件が解決しないと、温泉に行かれないのであれば、それはもう、行くしかないでしょうね。」
「招待!?パーティクル公爵家に、招待を受けているのかね?」
「ええ、まあ。パーティクル公爵家にお伺いした際に、その雪山の温泉の話を教えていただき、招待していただいたんです。」
「はあ……。あんたには毎回驚かされるね、ジョージさん。」
スコット冒険者ギルド長は、腕組みしたまま目を丸くしてため息をついた。
パーティクル公爵家に行くことになったのは、俺の力でもなんでもなく、まったくの偶発的な出来事なんだがな。
「固定のパーティーメンバーがいないようだが、掲示板で募集をかけるかね?」
スコット冒険者ギルド長の申し出に、俺は右手を上げて遠慮した。
「いえ、様子を見るだけなのでしたら、まずは現地で魔物の様子を見てから、必要であれば募集したいと思います。」
俺はヴァッシュさんの工房にお願いしていた、対Sランク用のオリハルコンの盾が出来上がっているか、一応確認しておく必要があるな、と思った。
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