194 / 431
第65話 サニーさんの出自①
しおりを挟む
一段落したので、俺もタコ焼きを頬張っていると、役人に告げに行ったハリーさんも、戻って来てタコパに参加していたのだが、コボルトに何やら声をかけられ、どこかに行ったかと思うと、
「ジョージさん、役人が到着したようです。盗賊を引き渡したいので、入り口までお越しいただけますでしょうか。」
戻って来て俺にそう言った。
「分かりました。すぐに行きます。
──アシュリーさん、役人が到着したようですので、引き渡しに行ってきます。
すみませんが、カイアを見ていていただけますでしょうか?」
「分かったわ。向こうで子どもたちと大人しくご飯を食べているから、別に大丈夫だと思うけど、一応見ておくわね。」
「すみません、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
お泊り以外で、俺の姿が見えないところでカイアを1人にしたことがないからな。
お泊りの時は泣いてしまったと言うし、姿が見えないことで、カイアが不安になってしまうかも知れないので、一応アシュリーさんにお願いして、俺はハリーさんと共に、コボルトの集落の入り口へと向かった。
入り口には、以前コボルトの集落に来た役人たちとは、明らかに違う、上等な服と装備を身に着けた男性たちが6人も立っていた。
元王族の命を狙った盗賊を引き取りに来るとなると、地元の役人では手に負えないということなのだろうか。入り口の外にはホロのついた馬車も待ち構えていた。
「お世話様です。私がジョージです。私がマジックバッグに盗賊たちを入れております。
この場に出してもよろしいでしょうか?
縄で捕縛しているので、身動きは出来ない筈です。」
俺は役人たちの中央に立っている、線の一本多い制服を身につけた男性を、彼らの上席と判断して声をかけた。
「分隊長のカーラン・グラントです。
このたびはお手柄でしたね。あとは我々が引き受けさせていただきます。
はい、もちろんです。この場に出していただいて問題ありません。」
グラント分隊長さんが、そう言ってくれたので、俺はマジックバッグから次々に盗賊を出して地面に置いた。口枷までは持っていなかったので、出した途端にわめき出す。
「実は何人か逃してしまったのですが……。
まだこのあたりにいるかも知れません。」
「そうでしたか。では地元の役人に警戒をさせましょう。怪しい人物がうろついていたら、すぐに身柄を拘束させます。
──おい。」
「はい。」
そう言って返事をした、一番若い役人が、すぐに集落の外へと出て行った。
すると、急にザワザワしだしたかと思うと、逃げるな!待て!またお前らか!という怒鳴り声とともに、ドサッと大きな音がしたかと思うと、
「またこいつらだ!俺たちが歓迎の催しで一箇所に集まっているのをいいことに、忍び込んで盗みを働こうとしやがった!」
コボルトの男性たちが、以前集落で盗みを働き、捕まって役人に引き渡された泥棒たちを、役人の前まで引きずって来た。
「またあんたたちか……。
本当に懲りないな。」
俺はあきれて男たちを見下ろした。
男たちは苦々しげに俺を睨んだ。
すると、地面に置いた盗賊たちが、彼らの顔を見た途端、お前ら!と怒声を上げた。
「自分たちだけ逃げやがって!
まさか俺たちがここに捕まっていたとは思わなかったようだな。
このあたりに詳しいというから、仲間に入れてやったってのに、分け前だけ貰って逃げるたあ、いい度胸じゃねえか。」
と言い出した。
盗賊たちに気が付いた彼らは、
「は!?な、なんのことだ、俺たちはそんな奴ら知らねえぜ!?」
「そうだ!俺たちはコボルトの集落に盗みに入ったってだけだぜ!」
「ふざけんな!オリバー!ジェームス!
お前らだけこのまま知らん顔して逃げようったって、そうはいかねえぞ!」
どうやら仲間割れをしだしたらしい。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
「ジョージさん、役人が到着したようです。盗賊を引き渡したいので、入り口までお越しいただけますでしょうか。」
戻って来て俺にそう言った。
「分かりました。すぐに行きます。
──アシュリーさん、役人が到着したようですので、引き渡しに行ってきます。
すみませんが、カイアを見ていていただけますでしょうか?」
「分かったわ。向こうで子どもたちと大人しくご飯を食べているから、別に大丈夫だと思うけど、一応見ておくわね。」
「すみません、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
お泊り以外で、俺の姿が見えないところでカイアを1人にしたことがないからな。
お泊りの時は泣いてしまったと言うし、姿が見えないことで、カイアが不安になってしまうかも知れないので、一応アシュリーさんにお願いして、俺はハリーさんと共に、コボルトの集落の入り口へと向かった。
入り口には、以前コボルトの集落に来た役人たちとは、明らかに違う、上等な服と装備を身に着けた男性たちが6人も立っていた。
元王族の命を狙った盗賊を引き取りに来るとなると、地元の役人では手に負えないということなのだろうか。入り口の外にはホロのついた馬車も待ち構えていた。
「お世話様です。私がジョージです。私がマジックバッグに盗賊たちを入れております。
この場に出してもよろしいでしょうか?
縄で捕縛しているので、身動きは出来ない筈です。」
俺は役人たちの中央に立っている、線の一本多い制服を身につけた男性を、彼らの上席と判断して声をかけた。
「分隊長のカーラン・グラントです。
このたびはお手柄でしたね。あとは我々が引き受けさせていただきます。
はい、もちろんです。この場に出していただいて問題ありません。」
グラント分隊長さんが、そう言ってくれたので、俺はマジックバッグから次々に盗賊を出して地面に置いた。口枷までは持っていなかったので、出した途端にわめき出す。
「実は何人か逃してしまったのですが……。
まだこのあたりにいるかも知れません。」
「そうでしたか。では地元の役人に警戒をさせましょう。怪しい人物がうろついていたら、すぐに身柄を拘束させます。
──おい。」
「はい。」
そう言って返事をした、一番若い役人が、すぐに集落の外へと出て行った。
すると、急にザワザワしだしたかと思うと、逃げるな!待て!またお前らか!という怒鳴り声とともに、ドサッと大きな音がしたかと思うと、
「またこいつらだ!俺たちが歓迎の催しで一箇所に集まっているのをいいことに、忍び込んで盗みを働こうとしやがった!」
コボルトの男性たちが、以前集落で盗みを働き、捕まって役人に引き渡された泥棒たちを、役人の前まで引きずって来た。
「またあんたたちか……。
本当に懲りないな。」
俺はあきれて男たちを見下ろした。
男たちは苦々しげに俺を睨んだ。
すると、地面に置いた盗賊たちが、彼らの顔を見た途端、お前ら!と怒声を上げた。
「自分たちだけ逃げやがって!
まさか俺たちがここに捕まっていたとは思わなかったようだな。
このあたりに詳しいというから、仲間に入れてやったってのに、分け前だけ貰って逃げるたあ、いい度胸じゃねえか。」
と言い出した。
盗賊たちに気が付いた彼らは、
「は!?な、なんのことだ、俺たちはそんな奴ら知らねえぜ!?」
「そうだ!俺たちはコボルトの集落に盗みに入ったってだけだぜ!」
「ふざけんな!オリバー!ジェームス!
お前らだけこのまま知らん顔して逃げようったって、そうはいかねえぞ!」
どうやら仲間割れをしだしたらしい。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
344
お気に入りに追加
1,865
あなたにおすすめの小説
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる