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第65話 サニーさんの出自①

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 一段落したので、俺もタコ焼きを頬張っていると、役人に告げに行ったハリーさんも、戻って来てタコパに参加していたのだが、コボルトに何やら声をかけられ、どこかに行ったかと思うと、
「ジョージさん、役人が到着したようです。盗賊を引き渡したいので、入り口までお越しいただけますでしょうか。」
 戻って来て俺にそう言った。

「分かりました。すぐに行きます。
 ──アシュリーさん、役人が到着したようですので、引き渡しに行ってきます。
 すみませんが、カイアを見ていていただけますでしょうか?」
「分かったわ。向こうで子どもたちと大人しくご飯を食べているから、別に大丈夫だと思うけど、一応見ておくわね。」

「すみません、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
 お泊り以外で、俺の姿が見えないところでカイアを1人にしたことがないからな。
 お泊りの時は泣いてしまったと言うし、姿が見えないことで、カイアが不安になってしまうかも知れないので、一応アシュリーさんにお願いして、俺はハリーさんと共に、コボルトの集落の入り口へと向かった。

 入り口には、以前コボルトの集落に来た役人たちとは、明らかに違う、上等な服と装備を身に着けた男性たちが6人も立っていた。
 元王族の命を狙った盗賊を引き取りに来るとなると、地元の役人では手に負えないということなのだろうか。入り口の外にはホロのついた馬車も待ち構えていた。

「お世話様です。私がジョージです。私がマジックバッグに盗賊たちを入れております。
 この場に出してもよろしいでしょうか?
 縄で捕縛しているので、身動きは出来ない筈です。」
 俺は役人たちの中央に立っている、線の一本多い制服を身につけた男性を、彼らの上席と判断して声をかけた。

「分隊長のカーラン・グラントです。
 このたびはお手柄でしたね。あとは我々が引き受けさせていただきます。
 はい、もちろんです。この場に出していただいて問題ありません。」
 グラント分隊長さんが、そう言ってくれたので、俺はマジックバッグから次々に盗賊を出して地面に置いた。口枷までは持っていなかったので、出した途端にわめき出す。

「実は何人か逃してしまったのですが……。
 まだこのあたりにいるかも知れません。」
「そうでしたか。では地元の役人に警戒をさせましょう。怪しい人物がうろついていたら、すぐに身柄を拘束させます。
 ──おい。」
「はい。」
 そう言って返事をした、一番若い役人が、すぐに集落の外へと出て行った。

 すると、急にザワザワしだしたかと思うと、逃げるな!待て!またお前らか!という怒鳴り声とともに、ドサッと大きな音がしたかと思うと、
「またこいつらだ!俺たちが歓迎の催しで一箇所に集まっているのをいいことに、忍び込んで盗みを働こうとしやがった!」

 コボルトの男性たちが、以前集落で盗みを働き、捕まって役人に引き渡された泥棒たちを、役人の前まで引きずって来た。
「またあんたたちか……。
 本当に懲りないな。」
 俺はあきれて男たちを見下ろした。
 男たちは苦々しげに俺を睨んだ。

 すると、地面に置いた盗賊たちが、彼らの顔を見た途端、お前ら!と怒声を上げた。
「自分たちだけ逃げやがって!
 まさか俺たちがここに捕まっていたとは思わなかったようだな。
 このあたりに詳しいというから、仲間に入れてやったってのに、分け前だけ貰って逃げるたあ、いい度胸じゃねえか。」
 と言い出した。

 盗賊たちに気が付いた彼らは、
「は!?な、なんのことだ、俺たちはそんな奴ら知らねえぜ!?」
「そうだ!俺たちはコボルトの集落に盗みに入ったってだけだぜ!」
「ふざけんな!オリバー!ジェームス!
 お前らだけこのまま知らん顔して逃げようったって、そうはいかねえぞ!」
 どうやら仲間割れをしだしたらしい。

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