193 / 448
第64話 みんなでタコパ④
しおりを挟む
火力が必要なのでガスで直火で焼くのがおすすめだ。我が家で作るタコ焼きはカリカリなので、しっとりしたタコ焼きも嫌いではないが、あんまり食べた気がしないんだよな。
──ちなみに何度も言うが、我が家は代々東京生まれの東京育ちである。
なのになぜか我が家にだけタコ焼き器があって、まだタコパという言葉が一般的でない時代から、子供の頃、日曜日に父がいない日は、時々お昼ご飯がタコ焼きだった。
母方の親戚が大阪にいたので、そこで食べて母が気に入ったのかも知れないが。
美味しいと思ったものは何でも取り入れるスタイルの親だったからな。
「さあ出来たぞ、順番に配ってくれ。かなり熱いから、少し冷ますように。」
俺はめんつゆ入りと生クリーム入りを、3つずつ皿にのせて、めんつゆ入の方にだけ爪楊枝を刺し、それぞれ味が違うことを説明してくれるよう、ハンザさんに伝えた。
ちなみに青のりは、俺がタコ焼きにかけるのが苦手なのでかけない。お好み焼きにはかけるんだがな。鰹節は一応皿の横にマヨネーズとお好み焼きソースとともにそえた。
みんなが、ワアアアアーッ!という声とともに集まってくる。
「待て待て、まずはお客様からだ。」
お皿を手にして歩くハンザさんに群がるコボルトたちに、ハンザさんがそう言って皿を持ったまま通り過ぎると、セレス様たちのテーブルに近付いた。
「ジョージからです。タコ焼きというものだそうです。こちらの小さな串が刺さっているものと、刺さっていないもので、若干生地の味がことなります。お好みでソースなどをつけてお召し上がり下さい。」
料理を並べるハンザさんの横で、オッジさんがそう言って、皿の横にフォークとナイフをセットした。……しまった。そのまま爪楊枝で食べるものだと伝え忘れた。
「かなり熱い料理とのことなので、ナイフを入れたあとで、少し待って冷ましてから口に運んで下さい。」
セレス様、パーティクル公爵、サニーさんが、不思議そうにタコ焼きにナイフを入れ、フォークで口に運ぶ。それでもまだ熱かったらしく、目を白黒させていたが、声を出さないのはさすが上級貴族だった。
「──美味しい!!この不思議なソースは何かしら!片方はピピルだけれど……。
合わせて食べると本当に美味しいわ!」
「生地そのものに味があるようだね。
料理の熱さには驚いたが、それもうまさのひとつかもしれない。
中に入っているものは何だろうか……?」
セレス様もパーティクル公爵も、不思議そうに、でもとても美味しそうにタコ焼きを食べている。
「外がカリカリなのに、中がふわっとしていて……。生地のそれぞれの味が、しっかりついているわけでもないのに味の違いをちゃんと感じさせてくれますね。
そのままでも美味しいですが、ここにソースを加えるとまた味が変わって、いくらでも食べれてしまいそうです。」
サニーさんも嬉しそうだ。
それを見たコボルトたちが、特にアシュリーさんが、よだれを垂らしそうな表情でセレス様たちを見ていた。みんな可愛いな。
「ジョージ!もう我慢出来ないわ!」
「大丈夫だ!どんどん焼いているから、順番に取りに来てくれ!」
押し寄せてくるコボルトたちに、焼いたタコ焼きの皿を渡しつつ、ハンザさんにも手伝って貰いながら、次々にタコ焼きを焼いていく。カイアもコボルトの子どもたちと楽しそうにタコ焼きを頬張っていた。──すると。
「……セレス様?」
普段なら給仕など絶対人に任せているであろうセレス様が、直接お皿を手にして、それを俺にコッソリと差し出していた。
はしたないことをしているという意識があるのだろう、俺に気付かれてちょっと恥ずかしそうだ。
コボルトたちがみんな夢中で食べているから、おかわりが欲しいのに誰に頼んでいいか分からなくなっちゃったんだな。
俺は思わず微笑ましく感じて笑いながら、セレス様のお皿を受け取って、タコ焼きのおかわりを入れたのだった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
──ちなみに何度も言うが、我が家は代々東京生まれの東京育ちである。
なのになぜか我が家にだけタコ焼き器があって、まだタコパという言葉が一般的でない時代から、子供の頃、日曜日に父がいない日は、時々お昼ご飯がタコ焼きだった。
母方の親戚が大阪にいたので、そこで食べて母が気に入ったのかも知れないが。
美味しいと思ったものは何でも取り入れるスタイルの親だったからな。
「さあ出来たぞ、順番に配ってくれ。かなり熱いから、少し冷ますように。」
俺はめんつゆ入りと生クリーム入りを、3つずつ皿にのせて、めんつゆ入の方にだけ爪楊枝を刺し、それぞれ味が違うことを説明してくれるよう、ハンザさんに伝えた。
ちなみに青のりは、俺がタコ焼きにかけるのが苦手なのでかけない。お好み焼きにはかけるんだがな。鰹節は一応皿の横にマヨネーズとお好み焼きソースとともにそえた。
みんなが、ワアアアアーッ!という声とともに集まってくる。
「待て待て、まずはお客様からだ。」
お皿を手にして歩くハンザさんに群がるコボルトたちに、ハンザさんがそう言って皿を持ったまま通り過ぎると、セレス様たちのテーブルに近付いた。
「ジョージからです。タコ焼きというものだそうです。こちらの小さな串が刺さっているものと、刺さっていないもので、若干生地の味がことなります。お好みでソースなどをつけてお召し上がり下さい。」
料理を並べるハンザさんの横で、オッジさんがそう言って、皿の横にフォークとナイフをセットした。……しまった。そのまま爪楊枝で食べるものだと伝え忘れた。
「かなり熱い料理とのことなので、ナイフを入れたあとで、少し待って冷ましてから口に運んで下さい。」
セレス様、パーティクル公爵、サニーさんが、不思議そうにタコ焼きにナイフを入れ、フォークで口に運ぶ。それでもまだ熱かったらしく、目を白黒させていたが、声を出さないのはさすが上級貴族だった。
「──美味しい!!この不思議なソースは何かしら!片方はピピルだけれど……。
合わせて食べると本当に美味しいわ!」
「生地そのものに味があるようだね。
料理の熱さには驚いたが、それもうまさのひとつかもしれない。
中に入っているものは何だろうか……?」
セレス様もパーティクル公爵も、不思議そうに、でもとても美味しそうにタコ焼きを食べている。
「外がカリカリなのに、中がふわっとしていて……。生地のそれぞれの味が、しっかりついているわけでもないのに味の違いをちゃんと感じさせてくれますね。
そのままでも美味しいですが、ここにソースを加えるとまた味が変わって、いくらでも食べれてしまいそうです。」
サニーさんも嬉しそうだ。
それを見たコボルトたちが、特にアシュリーさんが、よだれを垂らしそうな表情でセレス様たちを見ていた。みんな可愛いな。
「ジョージ!もう我慢出来ないわ!」
「大丈夫だ!どんどん焼いているから、順番に取りに来てくれ!」
押し寄せてくるコボルトたちに、焼いたタコ焼きの皿を渡しつつ、ハンザさんにも手伝って貰いながら、次々にタコ焼きを焼いていく。カイアもコボルトの子どもたちと楽しそうにタコ焼きを頬張っていた。──すると。
「……セレス様?」
普段なら給仕など絶対人に任せているであろうセレス様が、直接お皿を手にして、それを俺にコッソリと差し出していた。
はしたないことをしているという意識があるのだろう、俺に気付かれてちょっと恥ずかしそうだ。
コボルトたちがみんな夢中で食べているから、おかわりが欲しいのに誰に頼んでいいか分からなくなっちゃったんだな。
俺は思わず微笑ましく感じて笑いながら、セレス様のお皿を受け取って、タコ焼きのおかわりを入れたのだった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
351
お気に入りに追加
1,848
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした
あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を
自分の世界へと召喚した。
召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと
願いを託す。
しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、
全く向けられていなかった。
何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、
将来性も期待性もバッチリであったが...
この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。
でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか?
だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし...
周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を
俺に投げてくる始末。
そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と
罵って蔑ろにしてきやがる...。
元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで
最低、一年はかかるとの事だ。
こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から
出ようとした瞬間...
「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」
...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。
※小説家になろう様でも掲載しています。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる