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第64話 みんなでタコパ②
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「パーティクル公爵がそのようにおっしゃられるのであれば……。
分かりました。僭越ながら、このサニー・ブラウン、挨拶させていただきます。」
サニーさんは緊張した面持ちで、ギクシャクしながら中央に進み出た。
「サニー・ブラウンと申します。
今回わたくしがコボルトの店の内装を手掛けるキッカケになりましたのは、ルピラス商会から依頼を受けてのことでした。
世界を革命する力を持つ店を作りたい、その内装をわたくしに頼みたい、──そういった依頼でした。」
エドモンドさんはそんなことを考えてくれていたのか。
「ルピラス商会副長のエドモンドさんは、わたくしにこうおっしゃいました。
コボルトの店の内装を頼みたいだなんて、他の人間の内装業者は、きっと全員が断るだろう。だが、全員が引き受けたとしても、俺はサニーさんに頼みたい。」
目線を落としがちなサニーさんの重ね合わせた手は、緊張からか震えていた。
「あんたは住む人や、店を営む人の望む、だが依頼主の頭の中では、漠然としたその内装像、導線づくりを、形に出来る唯一の内装業者だからな、と。」
そしてその言葉をきっかけに、目線を下に落としがちだったサニーさんが、顔を上げ、強い目線でコボルトのみんなをじっと見つめる。
「わたくしは感動に震えました。
わたくしは、パーティクル公爵やセレス様のような、以前からのコボルトに対する強い思いがあったわけではありません。
ですが、人間のコボルトに対する見方を変えたい、それを自分の内装で実現できたらどんなに素晴らしいかと思いました。」
サニーさんが、重ね合わせていた手を、ぐっと握りしめる。
「微力ながら、わたくしも皆さんの夢の実現に手を貸すことをお許し下さい。
そして、初対面の忌むべき存在である人間のわたくしたちを、こうして受け入れ、歓迎して下さってありがとうございます。
これが本来のコボルトの姿であると、人間に伝わる店を作りたいと思います。」
会場内に割れんばかりの拍手が響いた。
サニーさんは恥ずかしそうにしながら中央から退いた。
「それでは歓迎の催しを始めよう。
それぞれ手にローザンの花は持ったね?
皆さまを歓迎し、我らの新たな友人として迎え入れられることを祝して。
──友人たちに、ドライアド様の祝福がありますよう!」
コボルト達が手に手に花を持って掲げる。そしてそのローザンの花は、セレス様、パーティクル公爵、サニーさん、護衛の兵士たちにそれぞれ手渡された。
これがコボルトの正式な歓迎の仕方なのだそうだ。
オンスリーさん、アシュリーさん、ララさんが近付いて来て、俺にもローザンの花を手渡してくれる。
「ジョージの時はご飯を食べるばっかりで、歓迎の催しをしていなかったものね。この機会にジョージも改めて祝福するわ。」
とアシュリーさんが言ってくれた。
「ローザンの花は、ドライアド様の近くにしか咲かない珍しい花なんです。まるでドライアド様を守るように咲く姿が、私たちコボルトのようだと言われているんですよ。」
と、ララさん。
「だから新たな友人を集落に迎え入れて歓迎する際は、コボルト総出でこの花を渡すことにしているんです。
──我々の心を象徴するものとして。」
「嬉しいです。」
オンスリーさんの言葉にそう答えると、俺はマジックバッグからカイアを出してやり、カイアを抱っこしたまま、貰った花をカイアに渡した。カイアは嬉しそうに微笑んだ。
今日はコボルトの子どもたちも準備に追われて、催しの前に出してやっても、誰もカイアの相手をしてくれないから、準備が終わる前に出すと可哀想だなと思ったからだ。
カイアの姿を見つけて、コボルトの子どもたちが集まってくる。一緒にごちそうを食べようと声をかけてくれ、カイアはコボルトの子どもたちに連れられて行った。
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分かりました。僭越ながら、このサニー・ブラウン、挨拶させていただきます。」
サニーさんは緊張した面持ちで、ギクシャクしながら中央に進み出た。
「サニー・ブラウンと申します。
今回わたくしがコボルトの店の内装を手掛けるキッカケになりましたのは、ルピラス商会から依頼を受けてのことでした。
世界を革命する力を持つ店を作りたい、その内装をわたくしに頼みたい、──そういった依頼でした。」
エドモンドさんはそんなことを考えてくれていたのか。
「ルピラス商会副長のエドモンドさんは、わたくしにこうおっしゃいました。
コボルトの店の内装を頼みたいだなんて、他の人間の内装業者は、きっと全員が断るだろう。だが、全員が引き受けたとしても、俺はサニーさんに頼みたい。」
目線を落としがちなサニーさんの重ね合わせた手は、緊張からか震えていた。
「あんたは住む人や、店を営む人の望む、だが依頼主の頭の中では、漠然としたその内装像、導線づくりを、形に出来る唯一の内装業者だからな、と。」
そしてその言葉をきっかけに、目線を下に落としがちだったサニーさんが、顔を上げ、強い目線でコボルトのみんなをじっと見つめる。
「わたくしは感動に震えました。
わたくしは、パーティクル公爵やセレス様のような、以前からのコボルトに対する強い思いがあったわけではありません。
ですが、人間のコボルトに対する見方を変えたい、それを自分の内装で実現できたらどんなに素晴らしいかと思いました。」
サニーさんが、重ね合わせていた手を、ぐっと握りしめる。
「微力ながら、わたくしも皆さんの夢の実現に手を貸すことをお許し下さい。
そして、初対面の忌むべき存在である人間のわたくしたちを、こうして受け入れ、歓迎して下さってありがとうございます。
これが本来のコボルトの姿であると、人間に伝わる店を作りたいと思います。」
会場内に割れんばかりの拍手が響いた。
サニーさんは恥ずかしそうにしながら中央から退いた。
「それでは歓迎の催しを始めよう。
それぞれ手にローザンの花は持ったね?
皆さまを歓迎し、我らの新たな友人として迎え入れられることを祝して。
──友人たちに、ドライアド様の祝福がありますよう!」
コボルト達が手に手に花を持って掲げる。そしてそのローザンの花は、セレス様、パーティクル公爵、サニーさん、護衛の兵士たちにそれぞれ手渡された。
これがコボルトの正式な歓迎の仕方なのだそうだ。
オンスリーさん、アシュリーさん、ララさんが近付いて来て、俺にもローザンの花を手渡してくれる。
「ジョージの時はご飯を食べるばっかりで、歓迎の催しをしていなかったものね。この機会にジョージも改めて祝福するわ。」
とアシュリーさんが言ってくれた。
「ローザンの花は、ドライアド様の近くにしか咲かない珍しい花なんです。まるでドライアド様を守るように咲く姿が、私たちコボルトのようだと言われているんですよ。」
と、ララさん。
「だから新たな友人を集落に迎え入れて歓迎する際は、コボルト総出でこの花を渡すことにしているんです。
──我々の心を象徴するものとして。」
「嬉しいです。」
オンスリーさんの言葉にそう答えると、俺はマジックバッグからカイアを出してやり、カイアを抱っこしたまま、貰った花をカイアに渡した。カイアは嬉しそうに微笑んだ。
今日はコボルトの子どもたちも準備に追われて、催しの前に出してやっても、誰もカイアの相手をしてくれないから、準備が終わる前に出すと可哀想だなと思ったからだ。
カイアの姿を見つけて、コボルトの子どもたちが集まってくる。一緒にごちそうを食べようと声をかけてくれ、カイアはコボルトの子どもたちに連れられて行った。
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