140 / 373
第48話 トウモロコシご飯、ミニトマトとナスとエリンギの中華マリネサラダ②
しおりを挟む
俺は思わずカイアを抱き上げて、そっと抱きしめた。俺が喜んでいるのが分かって、カイアも嬉しそうに抱きついてくる。
「お仕事の邪魔しないなら、お父さんと一緒にいるか?」
俺はそう言ってカイアを部屋に入れ、膝の上に座らせた。
カイアは俺の作業を興味深げに見ていた。
「今はな、魔法陣、っていうのを作ってるんだ。家の柱にもこの間作った、同じようなのが貼ってあるだろう?
これをたくさん作れないか試してみてるところなんだ。お父さんはカイアと違って魔法が使えないけど、これがあれば使えるようになるかも知れないんだよ。」
カイアが俺の顔を見上げる。
「ん?やってみたいのか?
これはお父さんの大事なやつだからな、やるなら、お父さんと一緒に、ちょっとだけやってみようか。」
俺はカイアの枝の手に重ねるようにマウスを持って、消しゴムツールで魔法陣の内側の汚れを消していく。
「おお、上手だぞ、カイア、」
カイアは嬉しそうにもっとやりたがった。
消しても大きなトラブルにならなそうな、白の面積の広いところのゴミを、一緒に消していく。
「ほーら、きれいになったな。
こうやって、全部の汚れを消して、本の魔法陣と同じものを再現していくんだ。」
広い場所の汚れをカイアと一緒に消したあと、いったん保存してから、
「ここは細かいからお父さんがやるな。」
と言って、文字の周辺の消え残りを、文字を消さないように消していく。
今回俺が選んだのは、火魔法の使える魔法陣だ。文字や円が少ないので、作業が一番やりやすいからという理由だ。
まずは作りやすい魔法陣で試してみて、これを清められた紙に、ミスティさんが作ってくれた魔導具で魔力を込めた、インクカートリッジを使って魔法陣を印刷したら、どこか人のいないところで試してみて、それで問題なく魔法が使えるようなら、自分で魔法が使える魔法陣を量産出来るのだ。
そう考えると地味な作業も楽しかった。
「よし、綺麗に出来たな。」
画像扱いで駄目なら、インデザインに貼って書類扱いにしてみて、それでも駄目ならイラストレーターで、これを下書きにして作るしかない。それでも駄目なら、初めて無属性の魔法使いを探してみよう。
俺はマジックバッグから、ミスティさんが作ってくれた、無属性魔法を付与出来る魔導具を取り出すと、黒のカートリッジを中に入れた。ボタンを押すと小さく音がして光を放ち、それが消える。これで無属性魔法の魔力付与完了だとミスティさんは言っていた。
さて、問題は紙なんだよな。清められた紙は、日頃使っているようなしっかりした均等な厚みの紙じゃなく、どこか和紙のように均等じゃなく薄い箇所があったりする代物だ。これをきちんとプリンターが巻き取ってくれるのかどうか。
紙は一枚だけ入れると、引っかかって逆に出てこなかったりするので、ある程度枚数を入れる必要がある。俺は清められた紙を100枚出してプリンターの給紙トレイの引き出しをあけ、中におさめた。のだが。
「これ……、A4でもB5でもないな。」
現代の規格で作られていないのか、用紙のサイズを合わせる部分にピッタリと合わないのだ。仕方がなく定規を出して縦横の長さを図る。縦が250センチで横が200センチだった。このスキャナープリンターは不定形サイズの紙でも印刷出来るので、手差し印刷の蓋をあけてそこに紙を置く。
定形外を印刷するのに、プリンタードライバーを、いちいちネットからダウンロードして登録するタイプのバージョンでなくて良かった。パソコンから出し直しになっちまう。
俺はインデザインに画像を貼って、ドキュメント設定のレイアウト調整から、用紙の幅と高さの値を変更した。
無属性の魔力の込められた黒のインクカートリッジと、それ以外の色のカートリッジをプリンターにセットする。他の色は別に必要ないのだが、入っていないとプリンターが反応しないから入れる必要があるのだ。
印刷指定で手差しトレイを選択して、モノクロを指定し印刷を開始する。
ここでカラーを選択すると、魔力の込められていない他のカラーのカートリッジまで反応して、すべての色を使用した状態で、フルカラーの黒色印刷が出て来てしまうので要注意だ。魔力の込められたインクの量が減る。
無事にスキャナープリンターが紙を吸い込んでいき、印刷された紙がはきだされた。
同じようにモノクロ印刷で10枚魔法陣を印刷する。複数試してみないことには、必ず発動するかの不安があるからだ。
「よし……。あとは人のいないところで使ってみて、魔法が発動するようなら、これを大量に印刷しよう。」
俺はインデザインで作ったデータを保存して、パソコンの電源を落とした。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
「お仕事の邪魔しないなら、お父さんと一緒にいるか?」
俺はそう言ってカイアを部屋に入れ、膝の上に座らせた。
カイアは俺の作業を興味深げに見ていた。
「今はな、魔法陣、っていうのを作ってるんだ。家の柱にもこの間作った、同じようなのが貼ってあるだろう?
これをたくさん作れないか試してみてるところなんだ。お父さんはカイアと違って魔法が使えないけど、これがあれば使えるようになるかも知れないんだよ。」
カイアが俺の顔を見上げる。
「ん?やってみたいのか?
これはお父さんの大事なやつだからな、やるなら、お父さんと一緒に、ちょっとだけやってみようか。」
俺はカイアの枝の手に重ねるようにマウスを持って、消しゴムツールで魔法陣の内側の汚れを消していく。
「おお、上手だぞ、カイア、」
カイアは嬉しそうにもっとやりたがった。
消しても大きなトラブルにならなそうな、白の面積の広いところのゴミを、一緒に消していく。
「ほーら、きれいになったな。
こうやって、全部の汚れを消して、本の魔法陣と同じものを再現していくんだ。」
広い場所の汚れをカイアと一緒に消したあと、いったん保存してから、
「ここは細かいからお父さんがやるな。」
と言って、文字の周辺の消え残りを、文字を消さないように消していく。
今回俺が選んだのは、火魔法の使える魔法陣だ。文字や円が少ないので、作業が一番やりやすいからという理由だ。
まずは作りやすい魔法陣で試してみて、これを清められた紙に、ミスティさんが作ってくれた魔導具で魔力を込めた、インクカートリッジを使って魔法陣を印刷したら、どこか人のいないところで試してみて、それで問題なく魔法が使えるようなら、自分で魔法が使える魔法陣を量産出来るのだ。
そう考えると地味な作業も楽しかった。
「よし、綺麗に出来たな。」
画像扱いで駄目なら、インデザインに貼って書類扱いにしてみて、それでも駄目ならイラストレーターで、これを下書きにして作るしかない。それでも駄目なら、初めて無属性の魔法使いを探してみよう。
俺はマジックバッグから、ミスティさんが作ってくれた、無属性魔法を付与出来る魔導具を取り出すと、黒のカートリッジを中に入れた。ボタンを押すと小さく音がして光を放ち、それが消える。これで無属性魔法の魔力付与完了だとミスティさんは言っていた。
さて、問題は紙なんだよな。清められた紙は、日頃使っているようなしっかりした均等な厚みの紙じゃなく、どこか和紙のように均等じゃなく薄い箇所があったりする代物だ。これをきちんとプリンターが巻き取ってくれるのかどうか。
紙は一枚だけ入れると、引っかかって逆に出てこなかったりするので、ある程度枚数を入れる必要がある。俺は清められた紙を100枚出してプリンターの給紙トレイの引き出しをあけ、中におさめた。のだが。
「これ……、A4でもB5でもないな。」
現代の規格で作られていないのか、用紙のサイズを合わせる部分にピッタリと合わないのだ。仕方がなく定規を出して縦横の長さを図る。縦が250センチで横が200センチだった。このスキャナープリンターは不定形サイズの紙でも印刷出来るので、手差し印刷の蓋をあけてそこに紙を置く。
定形外を印刷するのに、プリンタードライバーを、いちいちネットからダウンロードして登録するタイプのバージョンでなくて良かった。パソコンから出し直しになっちまう。
俺はインデザインに画像を貼って、ドキュメント設定のレイアウト調整から、用紙の幅と高さの値を変更した。
無属性の魔力の込められた黒のインクカートリッジと、それ以外の色のカートリッジをプリンターにセットする。他の色は別に必要ないのだが、入っていないとプリンターが反応しないから入れる必要があるのだ。
印刷指定で手差しトレイを選択して、モノクロを指定し印刷を開始する。
ここでカラーを選択すると、魔力の込められていない他のカラーのカートリッジまで反応して、すべての色を使用した状態で、フルカラーの黒色印刷が出て来てしまうので要注意だ。魔力の込められたインクの量が減る。
無事にスキャナープリンターが紙を吸い込んでいき、印刷された紙がはきだされた。
同じようにモノクロ印刷で10枚魔法陣を印刷する。複数試してみないことには、必ず発動するかの不安があるからだ。
「よし……。あとは人のいないところで使ってみて、魔法が発動するようなら、これを大量に印刷しよう。」
俺はインデザインで作ったデータを保存して、パソコンの電源を落とした。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
424
お気に入りに追加
1,904
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
グーダラ王子の勘違い救国記~好き勝手にやっていたら世界を救っていたそうです~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日、ティルナグ王国の自堕落王子として有名なエルクは国王である父から辺境へ追放を言い渡される。
その後、準備もせずに木の上で昼寝をしていると、あやまって木から落ちてしまう。
そして目を覚ますと……前世の記憶を蘇らせていた。
これは自堕落に過ごしていた第二王子が、記憶を甦らせたことによって、様々な勘違いをされていく物語である。
その勘違いは種族間の蟠りを消していき、人々を幸せにしていくのだった。
他人の人生押し付けられたけど自由に生きます
鳥類
ファンタジー
『辛い人生なんて冗談じゃ無いわ! 楽に生きたいの!』
開いた扉の向こうから聞こえた怒声、訳のわからないままに奪われた私のカード、そして押し付けられた黒いカード…。
よくわからないまま試練の多い人生を押し付けられた私が、うすらぼんやり残る前世の記憶とともに、それなりに努力しながら生きていく話。
※注意事項※
幼児虐待表現があります。ご不快に感じる方は開くのをおやめください。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる