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第46話 杏と粒あんのクリームサンド③
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「そうなんですね、そういうことでしたら、ぜひお願いします!」
「既にあるものを小さくするだけなんで、少し待っていただければ、すぐにでもお渡し出来ますよ?
どこかで時間を潰されますか?」
「あ、はい、ではそうさせていただきます。後でまた来ますね。」
俺はウキウキとヴァッシュさんの工房をあとにした。使おうと思っているプリンターのカートリッジのインクに魔力を込められるのであれば、スキャナーで本を取り込んで、さっそく印刷して試してみる事ができる。これで魔法陣を大量生産できれば、俺もはれて魔法を使うことが出来る。
俺は久しぶりにナナリーさんの店に立ち寄ることにした。店にはまだ準備中の札がかかっていたが、窓から俺の姿に気付いたナナリーさんが、ドアの鍵を開けてくれた。
「お久しぶりです!この間は本当にありがとうございました。」
ナナリーさんが朗らかに微笑んでくれる。
「体調はあれからどうですか?」
「はい、もうすっかり。万が一の時の為に、教えていただいた経口補水液も、毎日準備してるんですよ?
おかげでこの間同じ状態になったお客様を助けることが出来て助かりました。」
そんな事があったのか。作り方を教えておいてよかったな。
「それは良かったです。」
「開店前ですけど、よかったら中にどうぞ?何か召し上がりますか?
先日のお礼に作らせていただきます。」
「朝食を食べてそんなにたっていないので、軽くであればいただきたいです。」
「分かりました。」
「あ。」
「はい?」
「この間いただいた、ママガッソと、ナインテイルのタンの煮込みスープがあれば、それをいただけると嬉しいです……。」
「ああ、ありますよ?
ママガッソは持ち帰りもされますか?」
「そうしていただけると……。」
「はい。」
ナナリーさんはニッコリと微笑んだ。
「あの……、ナナリーさん、ちょっとお願いがあるんですが。」
「はい、なんでしょう?」
「実は、ナナリーさんの料理を食べさせてやりたい子がいまして……。
一見魔物に見えるんですが、精霊の子株なので、何も危険はないんですが、驚かせてしまうといけないので、あまり人に見せることがないんですが、店の中に出しても構いませんか?」
「営業前で他にお客様もいませんし、構いませんよ?」
「人見知りな子なので、最初は怯えるかも知れませんが、根は素直で優しい子なので慣れたら大丈夫ですので……。」
「まるでお父さんみたいですね。」
ナナリーさんが微笑む。
「はい、俺の子だと思ってます。」
「なら、ますます会ってみたいです。」
「ありがとうございます、──じゃあ、出しますね。」
俺はそう言って、マジックバッグからカイアを出した。見慣れない場所、見慣れない人が怖いのか、出るなり俺にしがみつく。
「はじめまして、私はナナリーよ。
お名前は?」
ナナリーさんはカウンターから出てきて、カイアの目線にしゃがんで、にっこり微笑んで話しかけてくれる。
「名前はカイアです。人間の言葉が話せなくて……すみません。」
「カイアちゃんて言うのね?よろしくね。」
ナナリーさんの、何にも臆さない、悪意のない朗らかな微笑みに、カイアもニッコリと微笑んだ。
「かわいい……!」
自愛の眼差しでカイアを見つめるナナリーさん。やっぱりいいなあ、ナナリーさん。
「じゃあ、料理作って来ますね。
カイアちゃんも少し食べるかな?」
「そうですね……、発酵食品をまだ食べさせたことがないので、ママガッソが口にあうか分からないのですが、ナインテイルのタンの煮込みスープは大丈夫だと思います。」
「じゃあ、カイアちゃんの分は小さく切っておきますね。」
「助かります。」
しばらくして、ナナリーさんが料理を運んできてくれる。
「はい、おまちどお。熱いからお父さんに冷まして貰ってから食べてね?」
とカイアに微笑んでくれた。
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「既にあるものを小さくするだけなんで、少し待っていただければ、すぐにでもお渡し出来ますよ?
どこかで時間を潰されますか?」
「あ、はい、ではそうさせていただきます。後でまた来ますね。」
俺はウキウキとヴァッシュさんの工房をあとにした。使おうと思っているプリンターのカートリッジのインクに魔力を込められるのであれば、スキャナーで本を取り込んで、さっそく印刷して試してみる事ができる。これで魔法陣を大量生産できれば、俺もはれて魔法を使うことが出来る。
俺は久しぶりにナナリーさんの店に立ち寄ることにした。店にはまだ準備中の札がかかっていたが、窓から俺の姿に気付いたナナリーさんが、ドアの鍵を開けてくれた。
「お久しぶりです!この間は本当にありがとうございました。」
ナナリーさんが朗らかに微笑んでくれる。
「体調はあれからどうですか?」
「はい、もうすっかり。万が一の時の為に、教えていただいた経口補水液も、毎日準備してるんですよ?
おかげでこの間同じ状態になったお客様を助けることが出来て助かりました。」
そんな事があったのか。作り方を教えておいてよかったな。
「それは良かったです。」
「開店前ですけど、よかったら中にどうぞ?何か召し上がりますか?
先日のお礼に作らせていただきます。」
「朝食を食べてそんなにたっていないので、軽くであればいただきたいです。」
「分かりました。」
「あ。」
「はい?」
「この間いただいた、ママガッソと、ナインテイルのタンの煮込みスープがあれば、それをいただけると嬉しいです……。」
「ああ、ありますよ?
ママガッソは持ち帰りもされますか?」
「そうしていただけると……。」
「はい。」
ナナリーさんはニッコリと微笑んだ。
「あの……、ナナリーさん、ちょっとお願いがあるんですが。」
「はい、なんでしょう?」
「実は、ナナリーさんの料理を食べさせてやりたい子がいまして……。
一見魔物に見えるんですが、精霊の子株なので、何も危険はないんですが、驚かせてしまうといけないので、あまり人に見せることがないんですが、店の中に出しても構いませんか?」
「営業前で他にお客様もいませんし、構いませんよ?」
「人見知りな子なので、最初は怯えるかも知れませんが、根は素直で優しい子なので慣れたら大丈夫ですので……。」
「まるでお父さんみたいですね。」
ナナリーさんが微笑む。
「はい、俺の子だと思ってます。」
「なら、ますます会ってみたいです。」
「ありがとうございます、──じゃあ、出しますね。」
俺はそう言って、マジックバッグからカイアを出した。見慣れない場所、見慣れない人が怖いのか、出るなり俺にしがみつく。
「はじめまして、私はナナリーよ。
お名前は?」
ナナリーさんはカウンターから出てきて、カイアの目線にしゃがんで、にっこり微笑んで話しかけてくれる。
「名前はカイアです。人間の言葉が話せなくて……すみません。」
「カイアちゃんて言うのね?よろしくね。」
ナナリーさんの、何にも臆さない、悪意のない朗らかな微笑みに、カイアもニッコリと微笑んだ。
「かわいい……!」
自愛の眼差しでカイアを見つめるナナリーさん。やっぱりいいなあ、ナナリーさん。
「じゃあ、料理作って来ますね。
カイアちゃんも少し食べるかな?」
「そうですね……、発酵食品をまだ食べさせたことがないので、ママガッソが口にあうか分からないのですが、ナインテイルのタンの煮込みスープは大丈夫だと思います。」
「じゃあ、カイアちゃんの分は小さく切っておきますね。」
「助かります。」
しばらくして、ナナリーさんが料理を運んできてくれる。
「はい、おまちどお。熱いからお父さんに冷まして貰ってから食べてね?」
とカイアに微笑んでくれた。
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