こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第45話 サバの冷や汁とほうれん草のオムレツ②

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 茎がまっすぐと伸びて、茎の中心が空洞になっており、硬くて腐りにくいので、昔は木釘として使われていた植物だ。
 まずは定規で紙の中心点を測って決める。
 空木(ウツギ)の片方の先端を削って、ペンを挟めるようにして挟んだら、紙の下に厚い木の板を敷いて、円の中心になる場所に空木(ウツギ)の茎の反対側を置き、キリで穴を開けて厚い木の板に固定する。

 キリを中心にして、空木(ウツギ)の先端に合わせたペンを、ぐるっとゆっくり回していくと、大きくてきれいな円を描くことが出来る。昔ながらのやり方で、今も使われている。どうしても紙に穴は空いちゃうけどな。
 石の場合はあとでその部分を削るから、別に問題はないんだが。

 魔法陣はどれも幾つかの円が内側に描かれていて、その数や位置は使いたい魔法によって異なっていた。防御結界は4つの円が太枠のようになっていて、その中に文字があり、その中心に六芒星が描かれている。
 とりあえず、そこまでは綺麗に描けた。

 あとは太枠の中の文字を埋めていくだけだが、これがまた、バランスよく円の中に文字を全部配置させて埋めるのが難しかった。
 パ……パソコンで製図したい……。俺はデザインセンスは皆無だが、この手の物を正確に素早くパソコンで作るのは得意なのだ。

 ハア……、ローカルネットワークでも、電気があるからプリンターは使えるし、この文字のフォントをパソコンとプリンターに取り込んで、イラストレーターで作成して、魔力の込められたインクを、カートリッジにつめて、印刷しちまえば一瞬なのに。

 カートリッジにインクをつめるところまでは、ひょっとしたら出来る人がいるかも知れないが、問題はフォントなんだよな……。
 いっそスキャナーで文字を画像として取り込むか、イラストレーターで作るか?
 1回作れば使いまわし出来るし。

 本の魔法陣自体をスキャンして、モノクロ2階調にしちまって、ギザギザになった部分を綺麗に調整すれば、本の元の通りの魔法陣を、そのままデータ化出来ないかな?
 今度試してみるか、カートリッジにインクをつめられる人がいればだけど。

 ああ、でも、魔力のある人間が描かないと発動しないんだっけか……。俺に魔力があったとしても、パソコンが描いたことになっちまうのかな?
 でも魔力のこもったインクと、清められた紙を使えば、威力は落ちるまでも魔法は発動するのかな?
 威力が強くなくてもいいなら、量産出来る方がありがたいよな。

 そんなことを考えながら、魔法陣を描き終えた。枠と六芒星以外は、バランスの悪い魔法陣になってしまったが、もうそこは仕方がない。現在の俺に出来るのはここまでなのだから。これで試してみる他なかった。
「さて……どうやって発動させるのかな。」

 そこをまだ読んでいなかった。
 改めて本を読むと、魔法の発動のさせ方、という項目がちゃんとあった。魔法の使えない人用に聖女が書き下ろしたというだけあって、初心者に丁寧な本だな、ありがたい。
 魔法陣にはそれぞれ発動の呪文があり、それを唱えると発動するらしい。

 発動の呪文は各魔法陣のページにそれぞれ掲載されていた。俺はカイアを膝から下ろすと、家の柱の前に立った。
 既に一度穴をあけているので、同じことだろうと思い、俺は画鋲を出して、家の柱に魔法陣の描かれた聖なる紙を貼った。
「アスピダ!」

 俺の言葉で魔法陣が光る。
 ……一応、これで発動したのかな?
 どの程度の効力があるのかは現時点では分からないが、まあないよりはマシだろうな。
 とりあえず色々試して、一番効力のあるやり方で作ったものをいずれ貼ろう。

「はあ……疲れたな。」
 俺はぐったりしてしまった。
 カイアを抱っこして椅子に座ると、カイアが枝の手で頭をナデナデしてくれる。
「ん?いたわってくれるのか?
 ありがとうなカイア。」
 カイアのニコニコ笑顔に救われる。

「よし!頑張ったご褒美に今日は飲むぞ!
 先に飲んだ後のものを作っておくかな。」
 俺は卵、きゅうり、ほうれん草、サバの水煮缶、カッテージチーズ、大葉を出し、塩、味噌、砂糖、すった白ごま、ゴマ油、オリーブオイル、鶏ガラスープの素、炊きたての御飯、ボウル、ザル、どんぶり、ラップ、卵焼き器を準備した。

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