128 / 470
第44話 自動食器洗浄乾燥機の完成④
しおりを挟む
外敵に反応する精霊魔法と、それに応じてゴーレムが出てくる精霊魔法のかかった魔宝石もいいが、そもそも侵入出来ないほうがありがたい。
カイアを1人で家に置いておくことになったとしても安心だからな。万が一にもカイアに怖い思いをさせたくなんてない。
カイア自身はこの間、コボルトの集落で、何やら防御魔法のようなものを使っていたようだが、まだ小さいからどのくらい効力が続くのかも分からないしな。
カイアが自分で身を守るよりも、俺がいなくても家の中は安全だと思わせてやったほうが、精神衛生上いいだろう。
家に帰ったらゆっくり魔法陣を試してみよう。俺は魔法陣の描き方の本を閉じると、マジックバッグにしまった。
そのタイミングでエドモンドさんが、ドアをあけてルピラス商会の中に入ってくる。
「おお、ジョージ、来てたのか、悪いな、待たせちまって。」
「いえいえ、たいして待っていないので大丈夫ですよ。
それよりも驚きましたよ、家庭用の乾燥機能付き食器洗浄機を、即日料金で登録出来るよう、料金を先払いしてただなんて。
すぐに必要なんだろうと思って、見本を持ってきましたよ。」
「はははは。なにせこのてのモンは、家庭用なんてのが、今まで殆どなかったからな。需要しか見込めんよ。
何が凄いって、排水が出ずに水を再利用出来るってとこだ。
個人宅には、排水を業者に回収して貰う金なんてないからな。」
そうなのだ。この世界には下水がない。商売をやっているところは、排水をタンクに貯めて、それを業者に回収に来て貰うが、個人宅ではそれが出来ない。
魔石から出る水を温めて高圧洗浄で落とした汚れを、浄化の出来る生活魔法のかかった魔石で綺麗にし、再利用することで、洗剤を使わずに綺麗に出来るのだ。
浄化魔法の魔石単体で綺麗に出来ないのかというと、汚れの程度や面積が異なるから、色んな形の食器自体を一度に指定して、一気に綺麗には出来ないからだ。
だが汚れた水を指定して綺麗にするのは簡単らしい。それを再び火の魔石で温め、何度も洗浄する。
そして最後に風魔法で出た風を火魔法であたためて食器を乾かす。洗剤も使わずエコ仕様な食器洗浄乾燥機が出来上がったわけだ。
だがその分、使っている魔石の数が多く、火魔法、水魔法、風魔法、生活魔法、それらを時間指定する時計を動かすもの、と、かなりお高い仕様にはなってしまったが。
水が綺麗に出来たら、排水のない家庭でも使えていいんですけどねえ、とポロッとミスティさんに告げたところ、そういう仕様で作ってくれることになったのだ。
今まで水を浄化して再利用するという発想がなかったらしく、今後業務用もそれが出来るものと2種類作っていくそうだ。
浄化の出来る生活魔法は、本来部屋の掃除にしか使われないのだとか。
俺なら浄化魔法なんてものがあるなら、積極的に使おうと思うところなんだが、この魔法はこう使うもの、という固定観念があるらしく、逆に発想にいたらないらしい。
ネジすらもなかったからなあ。
「早速大量に作らせて、こいつを持って売り込みに回るよ。ロンメルさんには、出来たら1つ差し上げるから、楽しみにしておいてくれと伝えてくれ。」
「いいんですか?安く販売するだけでも、じゅうぶん喜ぶと思いますが。」
俺は驚いて眉を下げる。
「彼が望まなかったら、ジョージはこれを開発してもらおうとは思わなかったんだろう?なら、お礼ってことでいいさ。」
エドモンドさんはご機嫌だった。
「じゃあ、内緒にしておいて、俺から渡してもいいですか?驚かせたいので。」
そいつはいいな、驚く顔が楽しみだ、とエドモンドさんはニヤリと笑った。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
カイアを1人で家に置いておくことになったとしても安心だからな。万が一にもカイアに怖い思いをさせたくなんてない。
カイア自身はこの間、コボルトの集落で、何やら防御魔法のようなものを使っていたようだが、まだ小さいからどのくらい効力が続くのかも分からないしな。
カイアが自分で身を守るよりも、俺がいなくても家の中は安全だと思わせてやったほうが、精神衛生上いいだろう。
家に帰ったらゆっくり魔法陣を試してみよう。俺は魔法陣の描き方の本を閉じると、マジックバッグにしまった。
そのタイミングでエドモンドさんが、ドアをあけてルピラス商会の中に入ってくる。
「おお、ジョージ、来てたのか、悪いな、待たせちまって。」
「いえいえ、たいして待っていないので大丈夫ですよ。
それよりも驚きましたよ、家庭用の乾燥機能付き食器洗浄機を、即日料金で登録出来るよう、料金を先払いしてただなんて。
すぐに必要なんだろうと思って、見本を持ってきましたよ。」
「はははは。なにせこのてのモンは、家庭用なんてのが、今まで殆どなかったからな。需要しか見込めんよ。
何が凄いって、排水が出ずに水を再利用出来るってとこだ。
個人宅には、排水を業者に回収して貰う金なんてないからな。」
そうなのだ。この世界には下水がない。商売をやっているところは、排水をタンクに貯めて、それを業者に回収に来て貰うが、個人宅ではそれが出来ない。
魔石から出る水を温めて高圧洗浄で落とした汚れを、浄化の出来る生活魔法のかかった魔石で綺麗にし、再利用することで、洗剤を使わずに綺麗に出来るのだ。
浄化魔法の魔石単体で綺麗に出来ないのかというと、汚れの程度や面積が異なるから、色んな形の食器自体を一度に指定して、一気に綺麗には出来ないからだ。
だが汚れた水を指定して綺麗にするのは簡単らしい。それを再び火の魔石で温め、何度も洗浄する。
そして最後に風魔法で出た風を火魔法であたためて食器を乾かす。洗剤も使わずエコ仕様な食器洗浄乾燥機が出来上がったわけだ。
だがその分、使っている魔石の数が多く、火魔法、水魔法、風魔法、生活魔法、それらを時間指定する時計を動かすもの、と、かなりお高い仕様にはなってしまったが。
水が綺麗に出来たら、排水のない家庭でも使えていいんですけどねえ、とポロッとミスティさんに告げたところ、そういう仕様で作ってくれることになったのだ。
今まで水を浄化して再利用するという発想がなかったらしく、今後業務用もそれが出来るものと2種類作っていくそうだ。
浄化の出来る生活魔法は、本来部屋の掃除にしか使われないのだとか。
俺なら浄化魔法なんてものがあるなら、積極的に使おうと思うところなんだが、この魔法はこう使うもの、という固定観念があるらしく、逆に発想にいたらないらしい。
ネジすらもなかったからなあ。
「早速大量に作らせて、こいつを持って売り込みに回るよ。ロンメルさんには、出来たら1つ差し上げるから、楽しみにしておいてくれと伝えてくれ。」
「いいんですか?安く販売するだけでも、じゅうぶん喜ぶと思いますが。」
俺は驚いて眉を下げる。
「彼が望まなかったら、ジョージはこれを開発してもらおうとは思わなかったんだろう?なら、お礼ってことでいいさ。」
エドモンドさんはご機嫌だった。
「じゃあ、内緒にしておいて、俺から渡してもいいですか?驚かせたいので。」
そいつはいいな、驚く顔が楽しみだ、とエドモンドさんはニヤリと笑った。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
460
お気に入りに追加
1,851
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。


誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。


凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる