こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記

陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中

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第44話 自動食器洗浄乾燥機の完成②

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「──というと?」
「下取りして新品を渡す、ってことになってますけど、魔石の魔力が切れただけのものの場合、壊れているわけじゃないから、魔石を取り替えて綺麗に磨いただけの中古品を、新品の価格で売るっていう、セコイ商売をやってる業者も多いんですよ。」

 ああ、自社ブランドでパソコンを出している会社みたいなものか。新品で販売して不具合があって回収したものを、都合の悪い部品だけを取り替えて、新品として販売するという、業界ではよくやる手段だ。中をあけてみると、まったく同じパソコンを購入した筈なのに、部品のメーカーが違うのがそれだ。

 電源、ハードディスク、グラフィックボードなんかに多い。
 以前俺が購入したパソコンにもそんなことがあった。一緒に作った新品なのなら、なんで片方がGeForceで、片方がRadeonなんだって話だ。商品説明にわざとメーカー名を記載していないのはその為なんだろう。
 大手に吸収されてなくなった会社だが。

 普通の人はいちいち中に何が積まれているのかなんて確認しないで、企業を信用してそのまま使うだろうからな。ナメた商売だと思う。俺はそれを指摘して交換して貰ったが。
 電源のワット数も性能一覧に記載がなかったんだよな。いちいち電話しないと分からなかった。

 だいたいハイエンドゲーミングPCで、スペックの高いグラフィックボードを積んでるのに、300Wの電源のものしか売ってないのが、すぐに壊れる前提で組んでるとしか思えない会社だった。
 それでも安かったので購入した後、結局自分で600Wの電源にすげ替えたが。

「うちの場合、それで儲かるわけじゃないので、まあサービスですよね。」
 町の電気屋さんのアフターサービスみたいなものか。
「そうなんですね、じゃあ、代金を支払って引き取らせていただけますか?」
「分かりました、少しお待ち下さいね。」

 そう言って、ミスティさんが奥に引っ込むと、先程の若い職人が出て来て、お預かりしている前金の中から、これだけ引かせていただきます、と告げてきたので、直接代金は支払わずに、盾の引取の際にまとめて残金を支払う形で精算が済んだ。
 俺はその足で商人ギルドへと向かった。

 商人ギルドの受付嬢は、俺の顔を見るなり目を輝かせて、
「家庭用の食器乾燥機能付きの、食器洗浄機の登録ですか?」
 と笑顔で言った。
「は、はい、そうです。商品登録をしたいのですが……。」
「はい、では、即日料金で承らせていただきますね!」
 と、更に満面の笑みを浮かべた。

「い、いや、普通で結構です。
 そこまで急いでいるわけでは……。」
 と俺が焦ると、
「ルピラス商会より、即日料金をすでにお預かりしておりますので。」
 と言った。エドモンドさんだな……。気が早すぎるぞ。まあ、確実に売れると見込んだのかもしれないが……。

「分かりました、では登録が完了するのを、ここで待たせていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、ごゆっくりどうぞ。」
 そう言われて、近くのソファで待たせて貰うことにした。
 しかし待つと言っても暇だな……。

 そう思ってあたりを見回すと、商品目録、と書かれた本が、大量に並んでいる本棚があった。
 なるほど、これが過去に商業ギルドを通じて登録された商品一覧なんだな。
 最新版を手に取ったが、まだ俺の登録した商品は一覧には乗っておらず、代わりに紐で吊るされた紙の束の中にあった。

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