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第37話 ソドバ(ノビル)とラポスタ(からし菜)のパスタと根菜汁②
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「せっかくだし、お前の家に泊まった時のように、2人で料理でもしようぜ。」
「ああ、いいな、そうしようか。」
「俺はもうすぐ上がりだから、それまで待っていてくれ。
──料理長、休憩室でジョージを待たせていても構いませんよね?」
「ああ、もちろんだ。
それと、先程見せてくれた、殺菌の出来る石鹸は、ぜひ早いうちに流通して欲しい。
アルコールで殺菌はしているが、手が荒れるのと、味が移ることがあるのでな。」
「分かりました。登録しておきます。」
見回した限りでは見当たらなかったが、アルコール除菌が浸透しているということは、割と王都は文明が発達してるんだな。
まあ現代でも200年前には消毒液が発明されてるし、割と歴史の古いものではあるから、あってもそんなに不思議じゃないか。
俺はロンメルの仕事が終わるのを待って、買い出しに付き合って一緒に帰った。この世界には個人宅用の冷蔵庫がないらしい。
王宮の厨房にはデカい冷蔵庫があったが、かなりお高い魔道具なのだそうだ。
まあ、昔は3種の神器だったものなあ。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機だっけか。
だから都度必要な分だけを買って、毎日使い切るようにしたり、田舎のほうであれば畑から野菜を取ってきたり、保存されているものや乾物を使うのだそうだ。
この世界の乾物か……。まだ手を出していなかったな。ぜひ食べてみたいと言ったら、売り物ではないらしい。残念だ。
村の人達に聞けば教えてくれるかな?
カイアを迎えに行くときに、マイヤーさんにでも聞いてみよう。
ロンメルの自宅は、宮殿近くのレンガ造りの建物の2階だった。個人宅でレンガ造りの家というのは、この世界に来て初めて見る。外階段から上がり、部屋に入る。
「この場所でレンガって……、家賃相当高いんじゃないか?」
「まあな。けど、朝早い仕事だからな。
馬車もないから、王宮の近くに住むしかないのさ。家賃を払ってもなんとか生活出来るくらいの給料は貰ってるから大丈夫だ。」
まあ、宮廷料理人だものな。勤め人の中じゃあ、どんな仕事より給料高そうだ。
ロンメルの部屋は男の一人暮らしにしては清潔に整えられていた。特にキッチン周りはきれいなものだ。やはり職業柄だろう。
これ高かったんだぜ、と3口あるコンロのような魔道具を見せてくれた。
ロンメルは買ってきた食材をキッチンに広げていた。遠目に見る限り、野草のような食材ばかりだ。
「今日は何を作るつもりなんだ?」
「ソドバとラポスタのパスタだ。」
ロンメルはそう言って、ノビルとからし菜のような植物を見せてくれた。
〈ソドバ〉
葉と球根が食べられる。味はノビルに似ている。多年草で野原などに自生している。
〈ラポスタ〉
越年草。多少辛い。セイヨウカラシナに似た味。自生していることも多い。
やっぱりか。そしてパスタはパスタなんだな。
ロンメルは塩を入れた大きな鍋でパスタを茹で、小さめの鍋でラポスタを短時間湯がきながら、ソドバを球根と葉に切り分けた。
バターをたっぷりと、フライパンに溶かして、ソドバの球根を炒めたら、茹でたパスタと茹で汁を少々と、ソドバの葉と、湯がいたラポスタを加えて一気に炒めた。
「ちょっとだけ、醤油を加えてもいいか?」
「構わんぞ。味がいつもと変わって面白そうだ。」
俺はロンメルが塩コショウを加えたタイミングで、醤油を取り出してひとたらしフライパンに加えた。いい香りだ。
俺も一品作るか。
醤油は既に出したので、ごぼう、大根、にんじん、しめじ、万能ねぎ、生姜、白だし、酒、みりん、顆粒出汁、片栗粉、おろし金を出した。
「マジックバッグ便利だな。そんなに色々入るなんて。」
俺が次々と取り出す食材と調味料に、ロンメルが羨ましそうに見てくる。
まあ、そういうことにしておいてくれ。
「ボウルと、鍋と、包丁と、まな板貸して貰えるか?」
「ああ、こいつを使ってくれ。」
ロンメルが予備の包丁や、ボウルを渡してくれる。
ごぼうをささがきにして水にひたし、大根はいちょう切り、にんじんは火が通りにくいので、大根より少し薄めにいちょう切りにする。しめじは石づきを切り落としてほぐしておき、万能ねぎを小口切りにする。
生姜チューブでもいいが、生姜が決めてなので、おろし金で生姜を適量すってやる。
鍋にごぼう、大根、にんじん、水を800ミリリットル程度、顆粒出汁を小さじ1加えて、強火よりの中火で蓋をして茹でる。
沸き立ってきたら、しめじ、白だしと酒とみりんを大さじ2、醤油を大さじ1加えて更に野菜が柔らかくなるまで煮込んでいく。
「ああ、いいな、そうしようか。」
「俺はもうすぐ上がりだから、それまで待っていてくれ。
──料理長、休憩室でジョージを待たせていても構いませんよね?」
「ああ、もちろんだ。
それと、先程見せてくれた、殺菌の出来る石鹸は、ぜひ早いうちに流通して欲しい。
アルコールで殺菌はしているが、手が荒れるのと、味が移ることがあるのでな。」
「分かりました。登録しておきます。」
見回した限りでは見当たらなかったが、アルコール除菌が浸透しているということは、割と王都は文明が発達してるんだな。
まあ現代でも200年前には消毒液が発明されてるし、割と歴史の古いものではあるから、あってもそんなに不思議じゃないか。
俺はロンメルの仕事が終わるのを待って、買い出しに付き合って一緒に帰った。この世界には個人宅用の冷蔵庫がないらしい。
王宮の厨房にはデカい冷蔵庫があったが、かなりお高い魔道具なのだそうだ。
まあ、昔は3種の神器だったものなあ。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機だっけか。
だから都度必要な分だけを買って、毎日使い切るようにしたり、田舎のほうであれば畑から野菜を取ってきたり、保存されているものや乾物を使うのだそうだ。
この世界の乾物か……。まだ手を出していなかったな。ぜひ食べてみたいと言ったら、売り物ではないらしい。残念だ。
村の人達に聞けば教えてくれるかな?
カイアを迎えに行くときに、マイヤーさんにでも聞いてみよう。
ロンメルの自宅は、宮殿近くのレンガ造りの建物の2階だった。個人宅でレンガ造りの家というのは、この世界に来て初めて見る。外階段から上がり、部屋に入る。
「この場所でレンガって……、家賃相当高いんじゃないか?」
「まあな。けど、朝早い仕事だからな。
馬車もないから、王宮の近くに住むしかないのさ。家賃を払ってもなんとか生活出来るくらいの給料は貰ってるから大丈夫だ。」
まあ、宮廷料理人だものな。勤め人の中じゃあ、どんな仕事より給料高そうだ。
ロンメルの部屋は男の一人暮らしにしては清潔に整えられていた。特にキッチン周りはきれいなものだ。やはり職業柄だろう。
これ高かったんだぜ、と3口あるコンロのような魔道具を見せてくれた。
ロンメルは買ってきた食材をキッチンに広げていた。遠目に見る限り、野草のような食材ばかりだ。
「今日は何を作るつもりなんだ?」
「ソドバとラポスタのパスタだ。」
ロンメルはそう言って、ノビルとからし菜のような植物を見せてくれた。
〈ソドバ〉
葉と球根が食べられる。味はノビルに似ている。多年草で野原などに自生している。
〈ラポスタ〉
越年草。多少辛い。セイヨウカラシナに似た味。自生していることも多い。
やっぱりか。そしてパスタはパスタなんだな。
ロンメルは塩を入れた大きな鍋でパスタを茹で、小さめの鍋でラポスタを短時間湯がきながら、ソドバを球根と葉に切り分けた。
バターをたっぷりと、フライパンに溶かして、ソドバの球根を炒めたら、茹でたパスタと茹で汁を少々と、ソドバの葉と、湯がいたラポスタを加えて一気に炒めた。
「ちょっとだけ、醤油を加えてもいいか?」
「構わんぞ。味がいつもと変わって面白そうだ。」
俺はロンメルが塩コショウを加えたタイミングで、醤油を取り出してひとたらしフライパンに加えた。いい香りだ。
俺も一品作るか。
醤油は既に出したので、ごぼう、大根、にんじん、しめじ、万能ねぎ、生姜、白だし、酒、みりん、顆粒出汁、片栗粉、おろし金を出した。
「マジックバッグ便利だな。そんなに色々入るなんて。」
俺が次々と取り出す食材と調味料に、ロンメルが羨ましそうに見てくる。
まあ、そういうことにしておいてくれ。
「ボウルと、鍋と、包丁と、まな板貸して貰えるか?」
「ああ、こいつを使ってくれ。」
ロンメルが予備の包丁や、ボウルを渡してくれる。
ごぼうをささがきにして水にひたし、大根はいちょう切り、にんじんは火が通りにくいので、大根より少し薄めにいちょう切りにする。しめじは石づきを切り落としてほぐしておき、万能ねぎを小口切りにする。
生姜チューブでもいいが、生姜が決めてなので、おろし金で生姜を適量すってやる。
鍋にごぼう、大根、にんじん、水を800ミリリットル程度、顆粒出汁を小さじ1加えて、強火よりの中火で蓋をして茹でる。
沸き立ってきたら、しめじ、白だしと酒とみりんを大さじ2、醤油を大さじ1加えて更に野菜が柔らかくなるまで煮込んでいく。
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