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第15話 ワイバーン(鳥肉)のキリタンポ鍋①
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俺が料理をお裾分けしたいと告げに行くと、ラグナス村長の家に見知らぬ客が訪ねて来ていた。
普通の客なら、こんな玄関先で長話なんてしないものだが、遠くから玄関を見ている間もずっと立ち話をしている。
誰なんだろうか?
互いの表情が見えるようになったが、どう見てもあまり友好的な雰囲気ではない。
ラグナス村長が俺に気付いて、おお、ジョージ、と、急に嬉しそうな表情に露骨に変わる。
どうも……とお辞儀をすると、ラグナス村長の前にいた中年男性が、俺に訝しげな目線を向ける。
「今日はどうしたんだね?」
「オークを狩ったので、また量は限られてしまうのですが、料理したものをお裾分けをしようかと……。」
「そうかそうか、みんなも喜ぶよ。
ジョージの料理は本当にうまいからなあ。
おまけに毎回魔物を1人で倒しちまうんだから、本当に大したもんだ。」
「──1人で!?」
突然ラグナス村長の目の間の男性が大きな声をあげた。
「オークを1人で狩っただって?
それは本当なのか?」
名乗りもせずに俺に質問をぶつけてくる。
「ええ、まあ……。
パーティーを組んでないので、いつも1人です。」
「ロック鳥も1人で倒すし、おまけにこの間なんて、ワイルドボアまで1人で仕留めて来たからな。」
「ワイルドボアだって!?嘘をつけ!」
「嘘なもんか。冒険者ギルドで解体して貰ったというから、聞いてみるがいいさ。」
2人の雰囲気が更に険悪なものになる。
「本当にワイルドボアとロック鳥を1人で倒したのか?あんた。」
「はい、まあ……。ロック鳥は番いだったので少々厄介でしたが、ワイルドボアは特に問題ありませんでしたよ。」
「「──番い!?」」
今度はラグナス村長まで声を揃えて驚く。確かに言ってなかったな、ロック鳥が番いだったってことまでは。
……何がまずいんだ?
「ジョージの料理は宮廷料理人に勝るとも劣らない腕前だ。おまけに食材まで自分で新鮮なものを狩ってくる。
お前のところのロンメルなんかより、よほどいいものをこしらえられるのさ。」
「新鮮でいい食材が手に入ったら、ロンメルが負けたりするもんか。そこまで言うなら対決しようじゃないか。
負けたほうが正式に村人たちの前で謝罪をして、向こう1年間、収穫したものの半分を相手の村に差し出すんだ。」
「大きく出たじゃないか。
後で後悔するなよ?」
「食材は、自分たちで仕入れる。
何を用意してくれてもいいさ。
ロンメルが負けるわけないんだからな。」
そう言うと、勝負の日時は追って伝えるからな、と言いながら、男性は去って行った。
「そういうわけだ、ジョージ、ぜひロンメルの奴に勝ってくれ。」
……まったく話が見えない。
俺はラグナス村長の自宅に招いて貰い、これまでの経緯を聞いた、話をまとめると、さっきの男性は隣村の村長で、代々この村と対立していたのたが、隣村のロンメルという男が宮廷料理人に抜擢されたことで、わざわざ自慢にやって来たというのだ。
「ジョージなら、宮廷料理人といえども、必ず勝ってくれると信じとるよ。」
いやいや、勝手に信じないでくれ。
俺は学生時代に居酒屋の厨房で働いて以来、仕事で料理をしたことなんてない。
宮廷料理人になんて勝てる訳がないのだ。
「無理ですよ、宮廷料理人なんて、料理人界の頂点じゃないですか。
俺が作るものは、俺の国で食べられている庶民的なものばかりです。
王様が満足するようなものなんて作れませんよ。」
「だが、スパイクがああまでいったんだ。
恐らく勝負を引き下がれないように何かしらしかけてくるだろう。
勝負しなければ戦わずしてこの村が負けてしまう。なんとかならないか?」
……まいったな。
普通の客なら、こんな玄関先で長話なんてしないものだが、遠くから玄関を見ている間もずっと立ち話をしている。
誰なんだろうか?
互いの表情が見えるようになったが、どう見てもあまり友好的な雰囲気ではない。
ラグナス村長が俺に気付いて、おお、ジョージ、と、急に嬉しそうな表情に露骨に変わる。
どうも……とお辞儀をすると、ラグナス村長の前にいた中年男性が、俺に訝しげな目線を向ける。
「今日はどうしたんだね?」
「オークを狩ったので、また量は限られてしまうのですが、料理したものをお裾分けをしようかと……。」
「そうかそうか、みんなも喜ぶよ。
ジョージの料理は本当にうまいからなあ。
おまけに毎回魔物を1人で倒しちまうんだから、本当に大したもんだ。」
「──1人で!?」
突然ラグナス村長の目の間の男性が大きな声をあげた。
「オークを1人で狩っただって?
それは本当なのか?」
名乗りもせずに俺に質問をぶつけてくる。
「ええ、まあ……。
パーティーを組んでないので、いつも1人です。」
「ロック鳥も1人で倒すし、おまけにこの間なんて、ワイルドボアまで1人で仕留めて来たからな。」
「ワイルドボアだって!?嘘をつけ!」
「嘘なもんか。冒険者ギルドで解体して貰ったというから、聞いてみるがいいさ。」
2人の雰囲気が更に険悪なものになる。
「本当にワイルドボアとロック鳥を1人で倒したのか?あんた。」
「はい、まあ……。ロック鳥は番いだったので少々厄介でしたが、ワイルドボアは特に問題ありませんでしたよ。」
「「──番い!?」」
今度はラグナス村長まで声を揃えて驚く。確かに言ってなかったな、ロック鳥が番いだったってことまでは。
……何がまずいんだ?
「ジョージの料理は宮廷料理人に勝るとも劣らない腕前だ。おまけに食材まで自分で新鮮なものを狩ってくる。
お前のところのロンメルなんかより、よほどいいものをこしらえられるのさ。」
「新鮮でいい食材が手に入ったら、ロンメルが負けたりするもんか。そこまで言うなら対決しようじゃないか。
負けたほうが正式に村人たちの前で謝罪をして、向こう1年間、収穫したものの半分を相手の村に差し出すんだ。」
「大きく出たじゃないか。
後で後悔するなよ?」
「食材は、自分たちで仕入れる。
何を用意してくれてもいいさ。
ロンメルが負けるわけないんだからな。」
そう言うと、勝負の日時は追って伝えるからな、と言いながら、男性は去って行った。
「そういうわけだ、ジョージ、ぜひロンメルの奴に勝ってくれ。」
……まったく話が見えない。
俺はラグナス村長の自宅に招いて貰い、これまでの経緯を聞いた、話をまとめると、さっきの男性は隣村の村長で、代々この村と対立していたのたが、隣村のロンメルという男が宮廷料理人に抜擢されたことで、わざわざ自慢にやって来たというのだ。
「ジョージなら、宮廷料理人といえども、必ず勝ってくれると信じとるよ。」
いやいや、勝手に信じないでくれ。
俺は学生時代に居酒屋の厨房で働いて以来、仕事で料理をしたことなんてない。
宮廷料理人になんて勝てる訳がないのだ。
「無理ですよ、宮廷料理人なんて、料理人界の頂点じゃないですか。
俺が作るものは、俺の国で食べられている庶民的なものばかりです。
王様が満足するようなものなんて作れませんよ。」
「だが、スパイクがああまでいったんだ。
恐らく勝負を引き下がれないように何かしらしかけてくるだろう。
勝負しなければ戦わずしてこの村が負けてしまう。なんとかならないか?」
……まいったな。
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