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第3章
第501話 英雄専用武器を作るには
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「それが雲の上ってこと?
……まあ確かに、鳥でもなきゃこんなとこまで来られないだろうけどさ。」
あたりをキョロキョロ見回しながら言う。
「ええ。そう思って。」
「だからって、国を作るかね?
隠れ家程度の家じゃ駄目だったわけ?」
スカーレット嬢は疑問そうだ。
「うーん、僕らはリシャーラ王国にも家がありますので。実はリシャーラ王家のルーデンス王太子殿下が、僕の奥さんに手出ししてきていて、守る目的がありましたので。」
「王太子殿下が?それヤバいやつじゃん。」
「ええ、それで。仕方なく急ぎました。」
「女1人守る為に、国を作っちまおうってんだから、アレックスは面白いやつだろう?」
タンザビアさんが快活に笑う。
「まあ、じいちゃんが好きそうなタイプだよね、荒唐無稽っていうか……。」
そうかな?僕、普通だと思うんだけどな?
お城について宴会場に戻ると、バイデン伯爵令息が獣人たちの訓練の見学から戻って、みんなとお茶を楽しんでいるところだった。
「アレックス、おかえりなさい。」
「ただいま、ミーニャ。ヒルデ。
兄さまたちも。」
「おかえり、アレックス。」
「おかえりなさい、アレックス。」
「遅かったじゃんか、アレックス!」
「え?そんなに話さなかったんだけどな。」
「やあ、アレックス、戻ったのかい。
僕はそろそろ失礼しようと思ってね。さすがに見学だけというのも飽きたのでね。なにせ参加出来ないから、落ち着かないんだ。」
紅茶のカップを手にしたまま、椅子に座った状態で僕を振り返り、バイデン伯爵令息が困ったように眉を下げた笑顔でそう言った。
「そりゃあ悪かったな、坊っちゃん。
まあ、専用武器が出来るまで、ちいっとばかし待ってくれや。すぐに出来るからよ。なにせ、うちの期待の後継者が来たからな!」
「え?じいちゃん、どういうこと?」
「この坊っちゃんも、英雄候補さ。俺は坊っちゃんの武器を作る依頼を受けてるんだ。」
「え、英雄候補……!
あ、あたしも、じいちゃんと一緒に、英雄候補の武器も作れるのか!?」
「ああ、だが話した通り、お前はお前自身も英雄候補の1人だからな。英雄候補としての訓練も、頑張らないといけないぞ?」
「わかってる!うわあ……!楽しみだ!」
「この僕が!そう!英雄候補の1人、フィンリー・バイデンなのだよ!伯爵令息だ!
よろしく、美しい方。」
キラキラした目で、両手の拳をグッと握りしめてバイデン伯爵令息を見るスカーレット嬢に、バイデン伯爵令息が席から立ち上がって、恭しくかしずいてみせた。
普段なら令嬢の手を取って、手の甲にキスをするバイデン伯爵令息だけど、触れるべきその手を、スカーレット嬢は握りしめたまま差し出してはくれなかったからね。
「あの、バイデンさん、ちょっと手や体を触らせてもらってもいいですか?」
「おや?君もタンザビアと同じことを言うのだね?いいだろう、存分に触りたまえ。」
髪をかきあげて、腰に手を当てたポーズで顎を上げるバイデン伯爵令息は、寸法を測るかのような動きなんだけど、でもそれだけじゃない感じで動くスカーレット嬢に、体中を触られるがままにしていた。
「それは何をしているんですか?」
「──筋肉の付き方を見てるのさ。
人間は使う筋肉が偏るもんだからね。」
「へえ……そういうものなんですね。」
「それにあわせて、付き方を矯正した作りにするのか、それとも今の付き方で動かしやすいような作りにするのかを考えるんだ。」
そう言いながら、バイデン伯爵令息の体中を遠慮なく触っている。オーダーメイドの武器って、こういう風に作る準備がいるんだ。
それにしても、スカーレット嬢は、あんなに遠慮なく男性の体に触って恥ずかしくないのかな?これが職人ってやつ?むしろバイデン伯爵令息のほうが恥ずかしそうだよね。
なんかちょっと焦ったように、照れたようにしながら、それを表情に出さないようにしてプルプルしてるもの。だって……キレイな女の子に、あんなとこまで触られるの?
僕だったら恥ずかしくて無理だよ!
内股の付け根だとかオシリだとか……。
プロ根性が凄いんだろうな。スカーレット嬢はぜんぜん動じていないや。
そもそもバイデン伯爵令息は、自らを貴族だと名乗ったのに、僕相手の時とまったく態度が変わらないものね。貴族だろうとお客はお客って感じなのかな。
「貴族って聞いても、動じないのね?
スカーレットさん。」
ミーニャがそこを突っ込んでくる。
「確かに……。普通は緊張するわよね。
だってヘタに怒らせたら、なにされるかわからないもの。貴族なんてものは。」
とヒルデも同意する。
────────────────────
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……まあ確かに、鳥でもなきゃこんなとこまで来られないだろうけどさ。」
あたりをキョロキョロ見回しながら言う。
「ええ。そう思って。」
「だからって、国を作るかね?
隠れ家程度の家じゃ駄目だったわけ?」
スカーレット嬢は疑問そうだ。
「うーん、僕らはリシャーラ王国にも家がありますので。実はリシャーラ王家のルーデンス王太子殿下が、僕の奥さんに手出ししてきていて、守る目的がありましたので。」
「王太子殿下が?それヤバいやつじゃん。」
「ええ、それで。仕方なく急ぎました。」
「女1人守る為に、国を作っちまおうってんだから、アレックスは面白いやつだろう?」
タンザビアさんが快活に笑う。
「まあ、じいちゃんが好きそうなタイプだよね、荒唐無稽っていうか……。」
そうかな?僕、普通だと思うんだけどな?
お城について宴会場に戻ると、バイデン伯爵令息が獣人たちの訓練の見学から戻って、みんなとお茶を楽しんでいるところだった。
「アレックス、おかえりなさい。」
「ただいま、ミーニャ。ヒルデ。
兄さまたちも。」
「おかえり、アレックス。」
「おかえりなさい、アレックス。」
「遅かったじゃんか、アレックス!」
「え?そんなに話さなかったんだけどな。」
「やあ、アレックス、戻ったのかい。
僕はそろそろ失礼しようと思ってね。さすがに見学だけというのも飽きたのでね。なにせ参加出来ないから、落ち着かないんだ。」
紅茶のカップを手にしたまま、椅子に座った状態で僕を振り返り、バイデン伯爵令息が困ったように眉を下げた笑顔でそう言った。
「そりゃあ悪かったな、坊っちゃん。
まあ、専用武器が出来るまで、ちいっとばかし待ってくれや。すぐに出来るからよ。なにせ、うちの期待の後継者が来たからな!」
「え?じいちゃん、どういうこと?」
「この坊っちゃんも、英雄候補さ。俺は坊っちゃんの武器を作る依頼を受けてるんだ。」
「え、英雄候補……!
あ、あたしも、じいちゃんと一緒に、英雄候補の武器も作れるのか!?」
「ああ、だが話した通り、お前はお前自身も英雄候補の1人だからな。英雄候補としての訓練も、頑張らないといけないぞ?」
「わかってる!うわあ……!楽しみだ!」
「この僕が!そう!英雄候補の1人、フィンリー・バイデンなのだよ!伯爵令息だ!
よろしく、美しい方。」
キラキラした目で、両手の拳をグッと握りしめてバイデン伯爵令息を見るスカーレット嬢に、バイデン伯爵令息が席から立ち上がって、恭しくかしずいてみせた。
普段なら令嬢の手を取って、手の甲にキスをするバイデン伯爵令息だけど、触れるべきその手を、スカーレット嬢は握りしめたまま差し出してはくれなかったからね。
「あの、バイデンさん、ちょっと手や体を触らせてもらってもいいですか?」
「おや?君もタンザビアと同じことを言うのだね?いいだろう、存分に触りたまえ。」
髪をかきあげて、腰に手を当てたポーズで顎を上げるバイデン伯爵令息は、寸法を測るかのような動きなんだけど、でもそれだけじゃない感じで動くスカーレット嬢に、体中を触られるがままにしていた。
「それは何をしているんですか?」
「──筋肉の付き方を見てるのさ。
人間は使う筋肉が偏るもんだからね。」
「へえ……そういうものなんですね。」
「それにあわせて、付き方を矯正した作りにするのか、それとも今の付き方で動かしやすいような作りにするのかを考えるんだ。」
そう言いながら、バイデン伯爵令息の体中を遠慮なく触っている。オーダーメイドの武器って、こういう風に作る準備がいるんだ。
それにしても、スカーレット嬢は、あんなに遠慮なく男性の体に触って恥ずかしくないのかな?これが職人ってやつ?むしろバイデン伯爵令息のほうが恥ずかしそうだよね。
なんかちょっと焦ったように、照れたようにしながら、それを表情に出さないようにしてプルプルしてるもの。だって……キレイな女の子に、あんなとこまで触られるの?
僕だったら恥ずかしくて無理だよ!
内股の付け根だとかオシリだとか……。
プロ根性が凄いんだろうな。スカーレット嬢はぜんぜん動じていないや。
そもそもバイデン伯爵令息は、自らを貴族だと名乗ったのに、僕相手の時とまったく態度が変わらないものね。貴族だろうとお客はお客って感じなのかな。
「貴族って聞いても、動じないのね?
スカーレットさん。」
ミーニャがそこを突っ込んでくる。
「確かに……。普通は緊張するわよね。
だってヘタに怒らせたら、なにされるかわからないもの。貴族なんてものは。」
とヒルデも同意する。
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