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第3章
第496話 レンジアとオフィーリア嬢を英雄候補の訓練に勧誘①
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「私、アレックスさまの好みじゃなかった。
残念。悲しい。」
レンジアがしょんぼりした顔でうつむく。
「いや、好みか好みじゃないかと言うと、別に好みではないかも知れないけど、僕はちゃんとレンジアのことも好きだから……。」
僕は慌ててそう言った。
【オニイチャン、それ、ひとこと余計だと思います。慌てすぎですよ。】
う、うう……。ごめんなさい。
「アレックスさまは、私のことが好き。」
レンジアは途端に、パアアアッと明るい表情を──無表情のままだけどそう僕にはそう見える──して、僕を見つめた。
「う、うん……って、僕、こういう話をしに来たんじゃないんだよ!僕はオフィーリア嬢とレンジアに英雄候補として、僕の国での訓練に加わって欲しいって言いに来たんだ!」
「アレックスさまの国で訓練?」
レンジアが首をかしげる。
「わたくしも詳しく知りたいですわ。」
「うん、僕の国を作ったからね。レンジアは最近僕のそばにいなかったから、わからないかも知れないけど……。そうなんだよ。今ミーニャやヒルデがそこで訓練してるんだ。」
「英雄候補としての本格的な訓練。参加したい。アレックスさまの役に立ちたい。
だけど王家の影の仕事ある。」
レンジアがしょんぼりしてそう言った。
「だからオフィーリア嬢の許可が欲しいと思ってね。学園にいる時はオフィーリア嬢の護衛をしてもらって、それ以外では僕付きに戻ってもらうか、オフィーリア嬢と一緒に、レンジアも訓練に参加して欲しいと思っているんですが、いかがでしょうか?」
最初のほうはレンジアに、それ以降はオフィーリア嬢に向き直ってそう伝える。
「そこにわたくしも参加して欲しいと……、そういうことですのね?」
「はい。オフィーリア嬢も賢神候補のお1人ですので。魔塔の賢者である、先代英雄のミューレ・エリクソンさんに、師匠をお願いするつもりでいます。」
「先代英雄のお1人ですの!?
それはぜひとも受けてみたいですわ!
わたくしが英雄になれなかったとしても、先代英雄に訓練をつけていただけたら、せめて賢者に近付けますもの。」
「そうですね、その可能性は高いと思いますよ。僕も魔法スキルがあれば、エリクソンさんに教えていただきたかったくらいです。」
魔塔の賢者たちは、すべての魔法使いの頂点であり、憧れの存在だからね。
父さまですらなれないんだもの。強いだけじゃなれないのが、魔塔の賢者なんだ。
「アレックスさまはエリクソンさまと親しいんですの?魔塔の賢者と知り合いなんて。」
「僕も無属性魔法の開発により、魔塔の賢者の末席に加えていただけましたので。」
「まあ!それは凄いですわ。いったいどのような魔法を生み出されたのですか?」
「最近平民が主に使っている、リーティアとミーティアという、魔法の手紙です。」
「わたくしも存じておりますわ!あれがアレックスさまの作品だったのですね!」
パチンと手のひらを合わせて、目を輝かせるオフィーリア嬢。
「ええ、ヒルデに、字の読めない家族に手紙を出したいとねだられまして、開発を。
実は名前の由来もヒルデなんですよ。」
僕が無邪気にそう言って笑うと、
「え……、ヒルデさんのおねだりで、作られたものだったんですの?」
それを聞いた途端、オフィーリア嬢がしょんぼりと肩を落とす。
「はい、お祖母さまに手紙を出されたいということで……。どうかなさいましたか?」
「アレックスさま、ヒルデさんに優しいんですのね。羨ましいですわ。」
「そんなこともないかと……。」
「だって、そんな特別な贈り物をされたのでしょう?商品の名前までヒルデさんがつけただなんて……。まるで愛の証のようですわ。」
「あっ、愛の証し、ですか!?でもそれを作ったのはヒルデと結婚する前ですし、僕はそんなつもりはなかったので……。」
拗ねたように唇を尖らせて、顔を背けるオフィーリア嬢に、僕は慌ててそう言った。
実際僕、ヒルデのことを好きかと言われると、まだ全然そういうんじゃないしなあ。
「同感。羨ましい。私もアレックスさまからの特別な贈り物が欲しい。」
「レンジアまで!?」
【私も当然欲しいですよ、オニイチャン。
当たり前のことです。
それを普通に話してしまうところが、オニイチャンの駄目なところですね。女の子がヤキモチを焼くってわからないんですから。】
ええ……。ごめんなさい……。
「そのうち作ってもらう。約束。」
「ええっ!?」
「わたくしも作っていただきたいですわ。
わたくしの為だけの贈り物を。」
レンジアとオフィーリア嬢が、グイと身を乗り出して僕に迫ってくる。
「は、はあ……。善処します……。」
僕はそう言うしかなかった。
────────────────────
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残念。悲しい。」
レンジアがしょんぼりした顔でうつむく。
「いや、好みか好みじゃないかと言うと、別に好みではないかも知れないけど、僕はちゃんとレンジアのことも好きだから……。」
僕は慌ててそう言った。
【オニイチャン、それ、ひとこと余計だと思います。慌てすぎですよ。】
う、うう……。ごめんなさい。
「アレックスさまは、私のことが好き。」
レンジアは途端に、パアアアッと明るい表情を──無表情のままだけどそう僕にはそう見える──して、僕を見つめた。
「う、うん……って、僕、こういう話をしに来たんじゃないんだよ!僕はオフィーリア嬢とレンジアに英雄候補として、僕の国での訓練に加わって欲しいって言いに来たんだ!」
「アレックスさまの国で訓練?」
レンジアが首をかしげる。
「わたくしも詳しく知りたいですわ。」
「うん、僕の国を作ったからね。レンジアは最近僕のそばにいなかったから、わからないかも知れないけど……。そうなんだよ。今ミーニャやヒルデがそこで訓練してるんだ。」
「英雄候補としての本格的な訓練。参加したい。アレックスさまの役に立ちたい。
だけど王家の影の仕事ある。」
レンジアがしょんぼりしてそう言った。
「だからオフィーリア嬢の許可が欲しいと思ってね。学園にいる時はオフィーリア嬢の護衛をしてもらって、それ以外では僕付きに戻ってもらうか、オフィーリア嬢と一緒に、レンジアも訓練に参加して欲しいと思っているんですが、いかがでしょうか?」
最初のほうはレンジアに、それ以降はオフィーリア嬢に向き直ってそう伝える。
「そこにわたくしも参加して欲しいと……、そういうことですのね?」
「はい。オフィーリア嬢も賢神候補のお1人ですので。魔塔の賢者である、先代英雄のミューレ・エリクソンさんに、師匠をお願いするつもりでいます。」
「先代英雄のお1人ですの!?
それはぜひとも受けてみたいですわ!
わたくしが英雄になれなかったとしても、先代英雄に訓練をつけていただけたら、せめて賢者に近付けますもの。」
「そうですね、その可能性は高いと思いますよ。僕も魔法スキルがあれば、エリクソンさんに教えていただきたかったくらいです。」
魔塔の賢者たちは、すべての魔法使いの頂点であり、憧れの存在だからね。
父さまですらなれないんだもの。強いだけじゃなれないのが、魔塔の賢者なんだ。
「アレックスさまはエリクソンさまと親しいんですの?魔塔の賢者と知り合いなんて。」
「僕も無属性魔法の開発により、魔塔の賢者の末席に加えていただけましたので。」
「まあ!それは凄いですわ。いったいどのような魔法を生み出されたのですか?」
「最近平民が主に使っている、リーティアとミーティアという、魔法の手紙です。」
「わたくしも存じておりますわ!あれがアレックスさまの作品だったのですね!」
パチンと手のひらを合わせて、目を輝かせるオフィーリア嬢。
「ええ、ヒルデに、字の読めない家族に手紙を出したいとねだられまして、開発を。
実は名前の由来もヒルデなんですよ。」
僕が無邪気にそう言って笑うと、
「え……、ヒルデさんのおねだりで、作られたものだったんですの?」
それを聞いた途端、オフィーリア嬢がしょんぼりと肩を落とす。
「はい、お祖母さまに手紙を出されたいということで……。どうかなさいましたか?」
「アレックスさま、ヒルデさんに優しいんですのね。羨ましいですわ。」
「そんなこともないかと……。」
「だって、そんな特別な贈り物をされたのでしょう?商品の名前までヒルデさんがつけただなんて……。まるで愛の証のようですわ。」
「あっ、愛の証し、ですか!?でもそれを作ったのはヒルデと結婚する前ですし、僕はそんなつもりはなかったので……。」
拗ねたように唇を尖らせて、顔を背けるオフィーリア嬢に、僕は慌ててそう言った。
実際僕、ヒルデのことを好きかと言われると、まだ全然そういうんじゃないしなあ。
「同感。羨ましい。私もアレックスさまからの特別な贈り物が欲しい。」
「レンジアまで!?」
【私も当然欲しいですよ、オニイチャン。
当たり前のことです。
それを普通に話してしまうところが、オニイチャンの駄目なところですね。女の子がヤキモチを焼くってわからないんですから。】
ええ……。ごめんなさい……。
「そのうち作ってもらう。約束。」
「ええっ!?」
「わたくしも作っていただきたいですわ。
わたくしの為だけの贈り物を。」
レンジアとオフィーリア嬢が、グイと身を乗り出して僕に迫ってくる。
「は、はあ……。善処します……。」
僕はそう言うしかなかった。
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