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第3章

第495話 オフィーリア嬢に秘密を打ち明けよう⑤

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「その……。」
 話しだした僕に、オフィーリア嬢が顔を上げて僕をじっと見つめてくる。まるで僕の一挙手一投足を見逃すまいとするように。

「僕は先日オフィーリア嬢に、以前から僕を想ってくださっていたというお気持ちを伺ってから、その……、正直凄くあなたを意識してしまっています。ミーニャがいるから、気持ちを押さえていましたが、オフィーリア嬢にも惹かれていることは、事実なんです。」
 と正直に伝えた。

「わたくしの……、言葉……。」
 自分が僕に言った言葉を思い出そうとするかのように、オフィーリア嬢が何やら考えを巡らせているような表情を浮かべる。

「オフィーリア嬢は、ずっと同じペンダントをされていらっしゃいましたよね。」
「はい。幼い頃よりつけておりますわ。」

「それが、僕の目と髪の色だってことに、今更ながらに気がついてしまって……。」
 僕は恥ずかしくなって目線をそらした。

「あ……。」
 オフィーリア嬢が頰を染めて、ハッとしたように目線をペンダントに落とした。

「あなたが、自分は僕のものだと主張する物を見に付けて下さっていたことで、長年慕ってくださっていたお気持ちが本当なのだと知って……。ミーニャがいたのに、その瞬間、あなたに心を奪われてしまいました。」

「アレックスさま……。」
 オフィーリア嬢の白い肌は、もう隠しようもないくらい紅潮していて、僕も自分の心臓の音がうるさいくらいドキドキしていた。

「僕の1番はミーニャです。それは未来永劫変わらないし、もし変わるとしたら、僕は自分で自分を許せないと思います。」
「はい、それはそうだと思いますわ。」

「だけど、あなたを愛することが、僕の使命に必要なことで、神としてそれが正しいことであるのなら、僕はもう少し、自分の気持ちに素直に従ってもいいのかも知れません。」

「アレックスさま……。」
「あなたを今すぐ、第3王妃にするだとか、そういう決心はつきませんが、あなたに惹かれる気持ちからは、僕ももう逃げません。」

「はい。わたくしも、もっとアレックスさまに好いていただけるよう努力いたしますわ。
 ですがその前に、レンジアさんとやらに勝たなくてはなりませんわね、わたくし。」

 オフィーリア嬢がクスリと微笑む。
「いや、勝ち負けとかでは……。」
「その、レンジアさんという方も、英雄候補のお1人なのですか?」

「ああ、レンジアは、その、オフィーリア嬢の影の1人です。僕が彼女にそう、名前をつけただけで、本名じゃありません。
 はい、確かに英雄候補の1人ですね。」

「影の1人……、まさか、マリンのことでしょうか!?ああ、わたくし、あんな豊満な女性に勝てる気がいたしませんわ、ミーニャさんだってあんなにも立派な胸元を……!」

 ショックを受けたように、両手で頬をおさえて下を向くオフィーリア嬢。
「その、マリンさんて方はよくわからないです。お会いしたこともないですし。」

「え?ではどの者でしょうか?他にアレックスさまのお好みに近い女性というのは、わたくし付きの影の中にはおりませんが……。」

「うーん、見たほうが早いですかね?王家の影は、今も護衛されているんですよね?」
「はい、基本は全員近くにおりますわ。交代したり役割でいないこともありますが。」

「ちょっと、この場にレンジアを呼び出してもよろしいですか?」
「はい、もちろん構いませんわ。」

「レンジア!そういうことだから、僕とオフィーリア嬢の前に姿を見せてよ!」
 僕がそう声をかけると、突然天井から床の上に人が降ってきて着地した。

「……アレックスさまが呼んだ。
 姿を見せる。了解。」
 と、レンジアが姿を現す。

「レンジアって……、コバルトですの!?
 コバルトはずっと、アレックスさまの護衛を任せていた者ですわ。まさかあなた、アレックスさまの前に姿を現していたの?」

「私の変装は完璧だった。でも最初の時に気付かれた。さすがアレックスさま。その後英雄候補だと言われた。ずっと協力してる。」

「え?コバルトはアレックスさまの好みではなかった筈……。胸が大きくありませんわ?ですからわたくしも、万が一ということもないので、安心して送り出せたというのに、ひょっとしてわたくしは、自分でライバルを生み出してしまったということなのですか?」

「いや……、別にレンジアは、僕の好みというわけでは……。」

【そうですよね、オニイチャンは、胸よりオシリ派ですからね。】

 それも違うけどね!?
 いや、違わないのかな?
 胸も好きだよ?ミーニャのこと、胸が大っきいなあって思って見ていたし……。

 って、いやいやいや!
 なにを言わせるのさ!
 恥ずかしいな、もう!

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