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第3章
第492話 オフィーリア嬢に秘密を打ち明けよう②
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「では、契約していただけますか?」
「はい。グレース、針を持ってきてちょうだい。血を拭き取る為の布もお願いね。」
「かしこまりました。」
グレースさんが一度引っ込んで、指先を傷付ける為の針と、血を拭う為の布と、救急箱を持って戻って来た。準備がいいなあ。血判を押したら空中に投げるようにお願いする。
オフィーリア嬢が指先に傷をつけ、契約魔法の書類に血判を押して、空中に放り投げると、書類が空中で青い炎をまとって燃え尽きた。オフィーリア嬢の指先をグレースさんが拭って、救急箱から包帯を取り出して巻く。
「さあ、これで契約はなされましたわ。
なんなりと教えてくださいまし。」
「そうですね、何からお話するか……。」
「どんなに恥ずかしい秘密でも、わたくし受け止めさせていただきますわ。」
胸に手を当てて笑顔でそう言ってくる。
「いや、期待していらっしゃるところ申し訳ありませんが、僕の恥ずかしい秘密を話すつもりはありませんよ!?」
「そうなんですの?」
「これから話すことは、僕の使命に関わることです。それと、オフィーリア嬢にも関わってくる事柄なのです。」
「アレックスさまの……使命、ですか?」
「はい。僕は勇者さまを始めとする英雄を育てる使命を持っています。その手始めとして英雄を育てる為の国を作りました。そしてオフィーリア嬢、あなたも英雄候補なのです。」
「国……ですか?わたくしがその……、英雄候補……?正直よくわかりませんわ。」
いまいち実感がわかないみたいだね。
「まあ、いきなり国を作ったと言っても、イメージが出来ないと思いますので、直接国にご招待して見ていただきたいと思っております。それと他の英雄候補と、英雄を育てる為の師匠たちにもお会いしていただきたく。」
「はあ……。今ひとつよくわかりませんが、とりあえずその方々とお会いすればよろしいんですのね?今はその方々が、アレックスさまの国にいらっしゃるということですか?」
「ええ。皆さん国にいらっしゃいます。それとアレックスはその国の国王で、私がその国の第一王妃ということになってるの。」
とミーニャが言う。
「あ、ちなみにヒルデとも結婚しました。オフィーリア嬢もご存知の、ヒルデ・ガルド嬢とです。僕の国の第二王妃ということに。」
!?????
途端にオフィーリア嬢の顔に、盛大なハテナが浮かんで見える。うん、それはそうだよね。僕はヒルデのことなんて、まったく話題にも出していなかったものね。
「ヒ……ヒルデさんと!?なぜそのようなことに……。ヒルデさんはわたくしがアレックスさまを追いかけて、この町に来たことは、ご存知でいらした筈なのに、なにも……。」
「オフィーリアさまとヒルデさんは、単なる短期的な雇用関係の、雇い主とそのお相手という関係ですし、ましてやオフィーリアさまは貴族ですから、そういった話は簡単には口に出来なかったんだと思います。」
僕を好きなオフィーリア嬢に、自分もなのだとヒルデが打ち明けてくれなかったことに困惑するオフィーリア嬢は、ミーニャの言葉に、寂しそうに眉を下げて微笑んだ。
「単なる短期的な雇用関係……ですか。確かにそうですわね。でも、わたくしは一緒に戦うパーティーのメンバーとして、彼女をとても信頼し、友人とも思っておりました。」
「友人なればこそ、余計に……ではないでしょうか?ましてや僕にはミーニャがいましたから、僕にも気持ちを打ち明けるつもりが、本来ヒルデにはなかったんだと思います。」
「ではなぜ、アレックスさまはヒルデさんと結婚を……?彼女のことも好きでいらしたのですか?失礼ですが、わたくしよりも後に知り合われていらっしゃいますわよね?」
先に好きだと伝えていたオフィーリア嬢よりも、ヒルデを選んだ理由が気になっているみたいだ。まあ、それを知ったところで、だと思うんだけど、理屈じゃないんだろうな。
「ヒルデを好きだったからではありません。
彼女を守る必要があって、その為には、王妃の立場が必要であると思ったからです。」
「それはどういう……?」
「オフィーリア嬢とヒルデが、ルーデンス王太子殿下に狙われているということは、先日お話いたしましたね?」
「ええ、ルーデンス王太子が何度もわたくしを呼び出してきましたわ。当然無視いたしましたけれど、業を煮やして、わたくしに無理やり隷属の腕輪をつけさせようとしてきましたわね。……まあ、大お祖母さまのつけて下さった影が返り討ちにいたしましたけど。」
そんなことまでしてたの!?オフィーリア嬢に警告したけど、その結果なにかあったかまでは、確認出来てなかったんだよね。
ほんとにあの人はもう……。
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「はい。グレース、針を持ってきてちょうだい。血を拭き取る為の布もお願いね。」
「かしこまりました。」
グレースさんが一度引っ込んで、指先を傷付ける為の針と、血を拭う為の布と、救急箱を持って戻って来た。準備がいいなあ。血判を押したら空中に投げるようにお願いする。
オフィーリア嬢が指先に傷をつけ、契約魔法の書類に血判を押して、空中に放り投げると、書類が空中で青い炎をまとって燃え尽きた。オフィーリア嬢の指先をグレースさんが拭って、救急箱から包帯を取り出して巻く。
「さあ、これで契約はなされましたわ。
なんなりと教えてくださいまし。」
「そうですね、何からお話するか……。」
「どんなに恥ずかしい秘密でも、わたくし受け止めさせていただきますわ。」
胸に手を当てて笑顔でそう言ってくる。
「いや、期待していらっしゃるところ申し訳ありませんが、僕の恥ずかしい秘密を話すつもりはありませんよ!?」
「そうなんですの?」
「これから話すことは、僕の使命に関わることです。それと、オフィーリア嬢にも関わってくる事柄なのです。」
「アレックスさまの……使命、ですか?」
「はい。僕は勇者さまを始めとする英雄を育てる使命を持っています。その手始めとして英雄を育てる為の国を作りました。そしてオフィーリア嬢、あなたも英雄候補なのです。」
「国……ですか?わたくしがその……、英雄候補……?正直よくわかりませんわ。」
いまいち実感がわかないみたいだね。
「まあ、いきなり国を作ったと言っても、イメージが出来ないと思いますので、直接国にご招待して見ていただきたいと思っております。それと他の英雄候補と、英雄を育てる為の師匠たちにもお会いしていただきたく。」
「はあ……。今ひとつよくわかりませんが、とりあえずその方々とお会いすればよろしいんですのね?今はその方々が、アレックスさまの国にいらっしゃるということですか?」
「ええ。皆さん国にいらっしゃいます。それとアレックスはその国の国王で、私がその国の第一王妃ということになってるの。」
とミーニャが言う。
「あ、ちなみにヒルデとも結婚しました。オフィーリア嬢もご存知の、ヒルデ・ガルド嬢とです。僕の国の第二王妃ということに。」
!?????
途端にオフィーリア嬢の顔に、盛大なハテナが浮かんで見える。うん、それはそうだよね。僕はヒルデのことなんて、まったく話題にも出していなかったものね。
「ヒ……ヒルデさんと!?なぜそのようなことに……。ヒルデさんはわたくしがアレックスさまを追いかけて、この町に来たことは、ご存知でいらした筈なのに、なにも……。」
「オフィーリアさまとヒルデさんは、単なる短期的な雇用関係の、雇い主とそのお相手という関係ですし、ましてやオフィーリアさまは貴族ですから、そういった話は簡単には口に出来なかったんだと思います。」
僕を好きなオフィーリア嬢に、自分もなのだとヒルデが打ち明けてくれなかったことに困惑するオフィーリア嬢は、ミーニャの言葉に、寂しそうに眉を下げて微笑んだ。
「単なる短期的な雇用関係……ですか。確かにそうですわね。でも、わたくしは一緒に戦うパーティーのメンバーとして、彼女をとても信頼し、友人とも思っておりました。」
「友人なればこそ、余計に……ではないでしょうか?ましてや僕にはミーニャがいましたから、僕にも気持ちを打ち明けるつもりが、本来ヒルデにはなかったんだと思います。」
「ではなぜ、アレックスさまはヒルデさんと結婚を……?彼女のことも好きでいらしたのですか?失礼ですが、わたくしよりも後に知り合われていらっしゃいますわよね?」
先に好きだと伝えていたオフィーリア嬢よりも、ヒルデを選んだ理由が気になっているみたいだ。まあ、それを知ったところで、だと思うんだけど、理屈じゃないんだろうな。
「ヒルデを好きだったからではありません。
彼女を守る必要があって、その為には、王妃の立場が必要であると思ったからです。」
「それはどういう……?」
「オフィーリア嬢とヒルデが、ルーデンス王太子殿下に狙われているということは、先日お話いたしましたね?」
「ええ、ルーデンス王太子が何度もわたくしを呼び出してきましたわ。当然無視いたしましたけれど、業を煮やして、わたくしに無理やり隷属の腕輪をつけさせようとしてきましたわね。……まあ、大お祖母さまのつけて下さった影が返り討ちにいたしましたけど。」
そんなことまでしてたの!?オフィーリア嬢に警告したけど、その結果なにかあったかまでは、確認出来てなかったんだよね。
ほんとにあの人はもう……。
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