384 / 485
第3章
第438話 英雄育成の説明
しおりを挟む
「ミルドレッドさん?こんな風にわがままを言うのなら、この際使役を外しますよ?」
僕の言葉に、ミルドレッドさんがビクッとして、目をパチクリさせている。
「ア、アレックス……?まさか、よもやわらわを手放そうと言うのではあるまいえ?」
「それもやむなしですね。」
「じゃ、じゃが!わらわの認識阻害魔法がなければ、敵から姿を隠していられないのであろ?わらわがいなくては困るであろ?」
「僕はもうすぐ自分の国を作るつもりです。
そこは雲の上、僕の許可した人間以外入ることが出来ません。ドラゴンですら、雲の上までは飛べない。そこなら安全ですから。」
「く、雲の上に国を作るじゃと!?」
「僕のスキルはそれが可能なんです。」
驚いて目を丸くしているミルドレッドさんと、ヒルデにも説明する為に伝える。
それに、と僕は付け加える。
「……飲んだら敵の目の代わりになる薬が市場に出回っているんです。ついにそれを飲んだ人間が僕の前に現れました。」
「敵の目の代わり?」
「薬を飲んだ人間の目を通して、敵が物を見ることが可能なんです。単体認識阻害魔法は僕を僕だと認識いている人には通じない。」
「なら広域認識阻害魔法をかければよいであろ?それならまだわらわに使い道が、」
僕は手のひらを向けて言葉を制した。
「それだとルカリア学園に通えませんし、取引の際にも困るから、あえて単体魔法をお願いしているわけじゃないですか。」
「じゃが、普段は雲の上におるからよいとしても、地上にいる場合困るじゃろうが。」
ミルドレッドさんはあくまで引かない。
「それならそれに即した魔法なりスキルなりを生み出すだけですよ。僕がスキルを生み出せるのは、さっき見たばかりですよね?」
「ぐぬぬ……。」
ついには何も反論出来なくなったミルドレッドさん。ガックリとうなだれると、
「あい、わかったのじゃ……。
もうワガママは言わぬゆえ、アレックスのそばに置いてたも。」
と言った。
「わかっていただけて何よりです。」
「じゃが!わらわは諦めぬからの!いつの日かアレックスの妻におさまってみせる!」
「期待しないで待ってますよ。」
と僕はニッコリした。とりあえず、今すぐどうのこうのという話ではなくなったので、僕はほっと息を吐いた。
まあ、ミルドレッドさんが英雄になれる可能性があるのなら、僕もそこを検討しないといけないかも知れないんだけどね。
ミルドレッドさんは竜人じゃないしな。
「それで、ルーデンス王太子たちの件は、いったんこれで進めるとして、英雄としての話を、ミーニャと、ヒルデと、レンジアにしたいんだ。オフィーリア嬢には、あとで僕から話すから、まずは3人に聞いて欲しい。」
「レンジア?」
ヒルデが聞き慣れない名前に軽く首をひねったところで、僕はレンジアに、出てきて、とお願いをした。
「──お願い、了解……。」
そう言って、隠密をといたレンジアが姿を現して、思わずヒルデがビクッとする。
ミルドレッドさんは僕の家で何度も会っているから、特に動揺した素振りもない。
「彼女はレンジア。オフィーリア嬢専属の、王家の影だよ。彼女も英雄候補なんだ。」
「そ、そうなの。伯爵令嬢に王家の影がついているって……。皇太后さま絡み?」
「たぶんね。ルーデンス王太子殿下にも、専属の王家の影はいないからね。」
「ああ、そういえば、王家の影は政務を担っている人にしか持てないとかなんとか。
聞いたことがあるわ。」
ヒルデが1人で納得している。
「レンジアとも既に、口外禁止の魔法の契約書を結んであるから、安心して。
僕は明日先代の英雄だった人に会う為に、そのお孫さんに会いに行くつもりなんだ。」
「──先代勇者の孫?」
「うん、意外なことに、アタモナイの町に住んでいたんだよ。その人なら居場所を知っている筈だからって教えてもらって。」
「会いに行ってどうするの?」
「実はもう1人、既に先代英雄の賢神に、英雄育成の強力をお願いしてあるんだ。
その人は今、魔塔の賢者をしてるんだ。」
「え……、ちょっと待って、先代って、200年も前よね?そんな昔の人たちが、まだ生きてるっていうの?」
「うん、1人はダークエルフで、もう1人はナムチャベト王国出身なんだ。ナムチャベト王国は竜人とドワーフの血が混じった人がたくさん住んでいる、優秀な鍛冶職人がたくさんいる国だからね。長生きなんだと思う。」
「ああ、ナムチャベト王国出身なの……。
それなら不思議じゃないわね。」
「お孫さんも鍛冶職人と道具職人をしている人で、やっぱり英雄候補なんだよ。」
「英雄の孫だっていうのなら、その人も仲間に入れるってこと?」
「僕としては、彼女にもお願いしたいなって思ってるよ。龍神の可能性が高いからね。」
「「──彼女?」」
僕の言葉に、ミーニャとヒルデの目がキラリと光ったことに、僕は気付けないでいた。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
僕の言葉に、ミルドレッドさんがビクッとして、目をパチクリさせている。
「ア、アレックス……?まさか、よもやわらわを手放そうと言うのではあるまいえ?」
「それもやむなしですね。」
「じゃ、じゃが!わらわの認識阻害魔法がなければ、敵から姿を隠していられないのであろ?わらわがいなくては困るであろ?」
「僕はもうすぐ自分の国を作るつもりです。
そこは雲の上、僕の許可した人間以外入ることが出来ません。ドラゴンですら、雲の上までは飛べない。そこなら安全ですから。」
「く、雲の上に国を作るじゃと!?」
「僕のスキルはそれが可能なんです。」
驚いて目を丸くしているミルドレッドさんと、ヒルデにも説明する為に伝える。
それに、と僕は付け加える。
「……飲んだら敵の目の代わりになる薬が市場に出回っているんです。ついにそれを飲んだ人間が僕の前に現れました。」
「敵の目の代わり?」
「薬を飲んだ人間の目を通して、敵が物を見ることが可能なんです。単体認識阻害魔法は僕を僕だと認識いている人には通じない。」
「なら広域認識阻害魔法をかければよいであろ?それならまだわらわに使い道が、」
僕は手のひらを向けて言葉を制した。
「それだとルカリア学園に通えませんし、取引の際にも困るから、あえて単体魔法をお願いしているわけじゃないですか。」
「じゃが、普段は雲の上におるからよいとしても、地上にいる場合困るじゃろうが。」
ミルドレッドさんはあくまで引かない。
「それならそれに即した魔法なりスキルなりを生み出すだけですよ。僕がスキルを生み出せるのは、さっき見たばかりですよね?」
「ぐぬぬ……。」
ついには何も反論出来なくなったミルドレッドさん。ガックリとうなだれると、
「あい、わかったのじゃ……。
もうワガママは言わぬゆえ、アレックスのそばに置いてたも。」
と言った。
「わかっていただけて何よりです。」
「じゃが!わらわは諦めぬからの!いつの日かアレックスの妻におさまってみせる!」
「期待しないで待ってますよ。」
と僕はニッコリした。とりあえず、今すぐどうのこうのという話ではなくなったので、僕はほっと息を吐いた。
まあ、ミルドレッドさんが英雄になれる可能性があるのなら、僕もそこを検討しないといけないかも知れないんだけどね。
ミルドレッドさんは竜人じゃないしな。
「それで、ルーデンス王太子たちの件は、いったんこれで進めるとして、英雄としての話を、ミーニャと、ヒルデと、レンジアにしたいんだ。オフィーリア嬢には、あとで僕から話すから、まずは3人に聞いて欲しい。」
「レンジア?」
ヒルデが聞き慣れない名前に軽く首をひねったところで、僕はレンジアに、出てきて、とお願いをした。
「──お願い、了解……。」
そう言って、隠密をといたレンジアが姿を現して、思わずヒルデがビクッとする。
ミルドレッドさんは僕の家で何度も会っているから、特に動揺した素振りもない。
「彼女はレンジア。オフィーリア嬢専属の、王家の影だよ。彼女も英雄候補なんだ。」
「そ、そうなの。伯爵令嬢に王家の影がついているって……。皇太后さま絡み?」
「たぶんね。ルーデンス王太子殿下にも、専属の王家の影はいないからね。」
「ああ、そういえば、王家の影は政務を担っている人にしか持てないとかなんとか。
聞いたことがあるわ。」
ヒルデが1人で納得している。
「レンジアとも既に、口外禁止の魔法の契約書を結んであるから、安心して。
僕は明日先代の英雄だった人に会う為に、そのお孫さんに会いに行くつもりなんだ。」
「──先代勇者の孫?」
「うん、意外なことに、アタモナイの町に住んでいたんだよ。その人なら居場所を知っている筈だからって教えてもらって。」
「会いに行ってどうするの?」
「実はもう1人、既に先代英雄の賢神に、英雄育成の強力をお願いしてあるんだ。
その人は今、魔塔の賢者をしてるんだ。」
「え……、ちょっと待って、先代って、200年も前よね?そんな昔の人たちが、まだ生きてるっていうの?」
「うん、1人はダークエルフで、もう1人はナムチャベト王国出身なんだ。ナムチャベト王国は竜人とドワーフの血が混じった人がたくさん住んでいる、優秀な鍛冶職人がたくさんいる国だからね。長生きなんだと思う。」
「ああ、ナムチャベト王国出身なの……。
それなら不思議じゃないわね。」
「お孫さんも鍛冶職人と道具職人をしている人で、やっぱり英雄候補なんだよ。」
「英雄の孫だっていうのなら、その人も仲間に入れるってこと?」
「僕としては、彼女にもお願いしたいなって思ってるよ。龍神の可能性が高いからね。」
「「──彼女?」」
僕の言葉に、ミーニャとヒルデの目がキラリと光ったことに、僕は気付けないでいた。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
152
お気に入りに追加
3,026
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。