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第3章
第431話 世界魔物化計画
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「あなたがスキルで生み出したもの、あなたしか生み出せないものであるのなら、それは法の対象にはならないということよ。あなたはそういうユニークスキルの持ち主。
ただそれだけだということよ。」
「つまり、ラウマンさん以外が使えないものとして、開発し直してしまえばよいのさ。
そうすれば、登録も出来るし、危険のないものとして使用許可も出せる。」
「それならすぐに変更可能です!
仕様を変えるだけならすぐに出来るので。
それで登録していただけますか?」
「じゃあ、変更したものを今出せるのであれば、提出をしてちょうだい。
それを元に許諾書を発行するわ。」
「わかりました、すぐにやりますね。」
仕様の書き換えは、考えるだけですぐに出来る。僕は仕様出来るのを僕だけとする設定を書き加えると、隠密機能つき録画機器──命名ステルスレコード──を手渡した。
「じゃあ、専門部署で性能の確認をしてくれるから少し待っていてちょうだいね。
祝いのお酒を飲みつつ、もうひとつのほうの話をゆっくり聞せてもらえるかしら?」
バウアーさんが通信具でどこかに連絡をすると、すぐにノックの音がして、若い女性が僕の魔道具を受け取って外に出て行った、
「前回だけじゃなかったんですか?
初めて魔塔に認められた人に振る舞われるものだとばかり思っていました。」
「魔塔に所属している研究員たちは、少しでもこのお酒を飲む機会が欲しいのよ。
当然私たちもね。ステータスを上げる貴重なものだから。初回だけにしてしまったら、その分回数が減るでしょう?」
「ああ、なるほど……。」
「ステータスを上げるだけじゃなく、うまいからなあ、この酒は。」
さっそくウキウキしながら、異空間からお酒とグラスを取り出すバウアーさん。
「あなたはお酒だったらなんでもいいんでしょう。あまり飲み過ぎないようにね。」
そう言って、エリクソンさんが僕とレンジアにお酒を注いだグラスを手渡してくれる。
実際前回バウアーさんは、飲み過ぎてまともに会話出来なくなっちゃったしね。
お酒を一口飲んだあとで、
「それで、販売停止を求める魔法薬とは?」
と真面目な顔つきで言った。
「先日ルリームゥ王国から申請があった、身体能力向上の魔法薬についてです。」
「ああ、ルリームゥね。
魚人の国からそんなものが提出されるのは珍しいから、私もよく知っているわ。」
「そいつに違法性があるというのは、どういうことなんだい?」
「使っている魔物の素材が問題なんです。」
「確かに未知の魔物の素材を使っていることはわかっているけれど、鑑定で問題がないと判断された筈なのだけれど。」
「ええ、入っている問題のある成分がごくわずかなので、それがわかるのはおそらく“選ばれしもの”だけだと思います。」
「“選ばれしもの”だけ?
そんなにも微細な成分だと言うことね。」
「はい。普通に鑑定したら、引っかからない程度の量だと思います。」
「それっぽっちの成分量であれば、他にもそういう薬品はたくさんあるわ。1日に飲める上限の決まったものとかね。」
「魔物の素材を使ったものは、大なり小なりそういうものが多い。異質なものを体内に取り込むんだからな。ある程度毒であるとも言える。だが毒も使いようによっては薬だ。
だから認められているんだ。」
「はい。それは知っています。ですがこの薬の問題のある点は、飲んだ人間を魔物の眷属化してしまうということにあります。それを隠して販売しているんです。」
「魔物の眷属化だって!?」
「開発した人はルリームゥ王国の人間ではないですが、ルリームゥ王国側も、それを知っていながら隠しているのです。」
「人間を魔物に変えて、世界を手中におさめようとでもいうのかしら。いったい飲んだ人はどのようになってしまうものなの?」
「この薬を飲んだ人間は眷属化し、その目が素材のもとになった魔物と同調する薬です。
それこそ僕の作った魔道具なんて比じゃないくらい、世界中を監視することが可能になってしまう薬なんです。」
「それが本当なら大問題だ。ルリームゥ王国が国を上げて広めている商品だ。世界中にそれが広まれば、世界中の人間が、その魔物の眷属になってしまうということだ。」
「僕もそこを懸念しています。人探しの為に他人の体を勝手に使うということも問題ですが、魔物の目になるように使用するというだけで、果たして済むのかということです。」
「確かにそれはそうね……。世界中の人間を魔物の眷属にしておいて、果たして監視だけで済むかしら。私はそうは思わない。」
エリクソンさんは深刻そうに言った。
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ただそれだけだということよ。」
「つまり、ラウマンさん以外が使えないものとして、開発し直してしまえばよいのさ。
そうすれば、登録も出来るし、危険のないものとして使用許可も出せる。」
「それならすぐに変更可能です!
仕様を変えるだけならすぐに出来るので。
それで登録していただけますか?」
「じゃあ、変更したものを今出せるのであれば、提出をしてちょうだい。
それを元に許諾書を発行するわ。」
「わかりました、すぐにやりますね。」
仕様の書き換えは、考えるだけですぐに出来る。僕は仕様出来るのを僕だけとする設定を書き加えると、隠密機能つき録画機器──命名ステルスレコード──を手渡した。
「じゃあ、専門部署で性能の確認をしてくれるから少し待っていてちょうだいね。
祝いのお酒を飲みつつ、もうひとつのほうの話をゆっくり聞せてもらえるかしら?」
バウアーさんが通信具でどこかに連絡をすると、すぐにノックの音がして、若い女性が僕の魔道具を受け取って外に出て行った、
「前回だけじゃなかったんですか?
初めて魔塔に認められた人に振る舞われるものだとばかり思っていました。」
「魔塔に所属している研究員たちは、少しでもこのお酒を飲む機会が欲しいのよ。
当然私たちもね。ステータスを上げる貴重なものだから。初回だけにしてしまったら、その分回数が減るでしょう?」
「ああ、なるほど……。」
「ステータスを上げるだけじゃなく、うまいからなあ、この酒は。」
さっそくウキウキしながら、異空間からお酒とグラスを取り出すバウアーさん。
「あなたはお酒だったらなんでもいいんでしょう。あまり飲み過ぎないようにね。」
そう言って、エリクソンさんが僕とレンジアにお酒を注いだグラスを手渡してくれる。
実際前回バウアーさんは、飲み過ぎてまともに会話出来なくなっちゃったしね。
お酒を一口飲んだあとで、
「それで、販売停止を求める魔法薬とは?」
と真面目な顔つきで言った。
「先日ルリームゥ王国から申請があった、身体能力向上の魔法薬についてです。」
「ああ、ルリームゥね。
魚人の国からそんなものが提出されるのは珍しいから、私もよく知っているわ。」
「そいつに違法性があるというのは、どういうことなんだい?」
「使っている魔物の素材が問題なんです。」
「確かに未知の魔物の素材を使っていることはわかっているけれど、鑑定で問題がないと判断された筈なのだけれど。」
「ええ、入っている問題のある成分がごくわずかなので、それがわかるのはおそらく“選ばれしもの”だけだと思います。」
「“選ばれしもの”だけ?
そんなにも微細な成分だと言うことね。」
「はい。普通に鑑定したら、引っかからない程度の量だと思います。」
「それっぽっちの成分量であれば、他にもそういう薬品はたくさんあるわ。1日に飲める上限の決まったものとかね。」
「魔物の素材を使ったものは、大なり小なりそういうものが多い。異質なものを体内に取り込むんだからな。ある程度毒であるとも言える。だが毒も使いようによっては薬だ。
だから認められているんだ。」
「はい。それは知っています。ですがこの薬の問題のある点は、飲んだ人間を魔物の眷属化してしまうということにあります。それを隠して販売しているんです。」
「魔物の眷属化だって!?」
「開発した人はルリームゥ王国の人間ではないですが、ルリームゥ王国側も、それを知っていながら隠しているのです。」
「人間を魔物に変えて、世界を手中におさめようとでもいうのかしら。いったい飲んだ人はどのようになってしまうものなの?」
「この薬を飲んだ人間は眷属化し、その目が素材のもとになった魔物と同調する薬です。
それこそ僕の作った魔道具なんて比じゃないくらい、世界中を監視することが可能になってしまう薬なんです。」
「それが本当なら大問題だ。ルリームゥ王国が国を上げて広めている商品だ。世界中にそれが広まれば、世界中の人間が、その魔物の眷属になってしまうということだ。」
「僕もそこを懸念しています。人探しの為に他人の体を勝手に使うということも問題ですが、魔物の目になるように使用するというだけで、果たして済むのかということです。」
「確かにそれはそうね……。世界中の人間を魔物の眷属にしておいて、果たして監視だけで済むかしら。私はそうは思わない。」
エリクソンさんは深刻そうに言った。
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