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第3章

第413話 キリカとミルドレッドさんの、内緒の授業参観

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 カードと魔道具が無事に生み出される。
 もともとあるものを流用した分、まったくのいちから作った魔道具と違って、カードのほうは割とスタミナを使わずに出来たよ。

「名前はなんにしますか?」
 と、キリカが聞いてくる。そうなんだよねえ……。名前をつけないとこの世に定着しないからね。なんにしよう?

「うーん、じゃあ魔道具のほうを、コインチャージカードリーダー、カードのほうをコインチャージカードにしようかな。」

【命名:コインチャージカードリーダー。
 コインチャージカードにチャージされたコインの金額、またコインチャージカードに設定された会員情報を読み取り、決済に使用可能な魔道具。魔道具師が作成可能。

 コインチャージカードに指定された、独自の特典を読み取り反映可能なものとします。

 命名:コインチャージカード。
 コインを入金し、コインチャージカードリーダーにかざすことで決済に使用可能な魔道具。魔道具師が作成可能。

 コインチャージの他に、独自の特典を設定反映可能なものとします。
 また冒険者ギルドカードなどの、会員証として併用可能なカードとなります。

 会員情報として必要とする内容は、指定ごとに変更可能。
 初回に各ギルド等が会員登録に必要とする手数料の他に、銅貨5枚を必要とします。

 支払いに必要な手数料は、カード発行元が負担するものとする。またその手数料は発行元ごとの契約によって異なるものとする。】

「うん、現時点ではそんな感じでいいんじゃないかな。明日はルカリア学園の日だし、帰りに商人ギルドに寄って、商人ギルド長に、カードの使用を提案してみるよ。」

「オニイチャンは既にSランク商人ですからね。話も通りやすいかも知れません。
 それと、オニイチャンが世話をした国々にも、話を通したほうがいいですね。」

「そこから流通させることで、世界中に発展させやすくするということ?」
「そういうことですね。」

「そうだね、ならそれは明後日行こうかな。
 納品のこともあるし、英雄たちの育ち具合も、そろそろ確認しておきたいしね。」
「はい。ところでオニイチャン。」

「なに?」
「私も学園に行ってみたいです。」
「え?学園に通いたいってこと?」

「いいえ。オニイチャンの授業風景を見てみたいです。どんな風に過ごしているのか、実際見てみたいので。」

「キリカは情報と通信の女神さまなんだし、直接見なくてもわかるじゃない?」
「遠隔で見るのと、直接雰囲気を感じ取るのは違いますよ。」

「そんなもの?でも、キリカは人造人間の目を通して見てるんだし、あんまり変わらないような気もするけど……。でも、うーん、基本関係者以外立ち入り禁止だからなあ。」

 学園祭とか体育祭なんかは、親族も誘っていいことになってるんだけどね。
 でもそれは授業風景ではないからなあ。

「ミルドレッドさんにお願いして、認識阻害魔法でこっそりついて行きます。ルカリア学園には、魔法阻害の魔道具はありませんし。
 問題はないでしょう。」

「まあ、魔法を教える学園だからね。
 でも、関係者以外が侵入出来ないようにする、防壁魔法はかかってるよ?」

 ルカリア学園の警備は厳重だ。
 なにせ名だたる貴族や王族の子どもを預かることも多いし、魔塔ほどじゃなくても、魔法を研究している先生なんかもいる。

 魔法科教師のアルケニオ男爵なんかは、自分の研究室を持っていて、選ばれた人だけがそこに参加できることになってるくらいだ。

 だからルカリア学園の関係者だけに発行された、学生証や教員免許を忘れてしまうと、入ることが出来なくなっちゃうんだよね。

「そんな人間の作った防壁魔法ごとき、ごまかすのは造作もないのじゃ、とミルドレッドさんがおっしゃってましたので。」
 そう言ってキリカが目を細める。

「ええ……。一応、王宮につぐ、国内最高峰の魔法がかけられてる筈なんだけど……。」
 さすがと言うべきなんだろうか?

 最近のミルドレッドさんと言えば、ミーニャを育てるのにすっかりハマッてしまったらしく、こうも手応えのある人間は久しぶりじゃのう!と、毎日嬉しそうに出かけて行く。

 知らない間にBランク冒険者になっていたことといい、僕の加護と祝福を得たミーニャが、ミルドレッドさんに鍛えられたことで、なんかとんでもないことになってそうだな。

「うーん……。そういうことなら、僕にはもう止められないけど、一応気をつけてね。
 人造人間の存在は知られていないし、クリスタルドラゴンのミルドレッドさんも、研究対象として追いかけ回されそうだもの。」

「見つかったとしても、ミルドレッドさんがいれば捕まりませんよ。」
「僕の関係者だと万が一知られたら、面倒なことになりそうでしょう?」

「確かにそれはそうですね。
 念の為気をつけます。」
「うん、そうして。」

「オニイチャンがどんな顔をして、オニイチャンのお嫁さん候補たちと接しているのか、ちゃんとこの目で確認するつもりですから。それ次第では1番を変更するつもりです。」

 え?どういうこと?

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