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第3章

第412話 支払い用カードと魔道具の作成

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 僕は自室のベッドの上で、あぐらをかいて腕組みをしながら、どんな風な仕組みをつけようか、じっくりと検討していた。

 そもそも冒険者ギルドカードも、商人ギルドカードも、本人認証の魔法が組み込まれているものなんだよね。

 だから他人が勝手にギルドカードを使用することは出来ないんだ。それは普通のマジックバックが盗まれた時と違って、盗まれたり拾われることがあっても問題がないものだ。

 それ自体はすごくいい仕組みだから、そこは組み込んで流用したいんだよな。
 もちろんマジックバッグにもつけられるけど、そしたら値段が高くなってしまう。

 それこそギルドカードの発行手数料に、少し上乗せくらいの金額にしたい。
 だけどそれだけだと、この世界にないものにはならないから僕には生み出せない。

 かといって、まったくのいちから作るとなると、流通の時点で問題が発生すると思う。
 取り扱ってくれる店を探すのももちろんだけど、カードを持ってもらわないことには。

 その為には、既存の冒険者ギルドカードや商人ギルドカードに、その仕組みを組み込めるのが一番いいよね。

 既にあるものに、新しい仕組みを組み込むのであれば、例えば今までは現金の取引のみだった冒険者ギルドでの精算なんかも、ギルドカードを通して行えることになるし。

 大金を現金で用意するとなると時間がかかるから、ものによってはそんな大金用意出来なくて、精算に時間がかかるけど、ギルドカードに直接お金を入れられるなら、現金を用意するまで町にとどまる必要がない。

 もしも冒険者ギルド支部にお金がなくて、支部でお金を入れられなくとも、本部からデータを通じて入れればいい話だしね。

 それに冒険者ギルド、商人ギルド双方が、ギルドメンバー全員にそのカードを発行しているとなると、ギルドメンバー目当ての商店が、魔道具を入れてくれやすくもなるよね。

 特に娼館なんて、真っ先に入れてくれるんじゃないかなあ。大金を持ち歩く人を狙って襲う盗賊なんかも、カードを奪っても何も出来ないとなると、繁華街も安全になるよね。

 冒険者ギルドカードにも組み込むとして、まずは商人ギルドから話をしてみようかな?
 商人ギルドが導入したとなれば、冒険者ギルドが新しいものに難色を示したとしても、いずれは導入せざるを得なくなるはずだ。

 だって大昔は、魔法の組み込まれたギルドカードなんてなかったんだからね。どこかのタイミングでそのほうがいいってことになって、今のギルドカードになったんだ。

 なら僕の作ったものだって、そのほうがいいとなれば認められる筈だ!
 商人ギルドでは、納税申告に使う魔道具事態が、銀行と連動しているんだよね。

 取引記録の刻まれた水晶を、商人ギルドに渡すと、商人ギルドがそれを商人ギルド用の魔道具で読み取って、その金額と商会情報が銀行に連携される。

 それを商人ギルドが代行してお金を徴収して、まとめて銀行を通じて収める仕組みだ。
 だからその銀行に情報が行く仕組みを流用させてもらうのはどうだろうか?

 冒険者ギルドも商人ギルドも、それぞれが銀行に口座を持っているけど、冒険者や商人から預かったお金は、基本ある程度はギルドの金庫におさめられている。

 そうしないとすぐに取り出せないからね。
 だけど冒険者ギルドや商人ギルドの銀行口座と連携して、孫口座を作れるように出来たら、家族とか普通の人も使えていいよね。

「キリカは、なにかいいアイデアある?」
 キリカは人造人間と連携して、叔父さんとお茶を飲んでいたらしく、帰って来たら部屋で出迎えてくれたのだ。

 だから今、僕のベッドの脇の椅子に腰掛けている。そうですね、と、顎に手を当てて、考え込むような仕草をすると、

「マジックバッグより、カードのほうが私もいいと思います。カードはどの魔道具でも、同じように支払いが出来るものとして、カードそのものは、冒険者ギルドと商人ギルド、あとそれ以外のところで発行するものを、あえて仕様を分けたほうがいいと思いますね。」

「え?それはどうして?」
「例えば独自の特典をつけることが可能になるからです。それぞれを競わせたほうが、加入者が増えるのにも役立つことでしょう。」

「なるほどね。例えば百貨店が発行したものであれば、百貨店で使うと割引だったり、商品と交換可能になる、点数を集めたりだとかそういうのが付けられるよね。」

「はい、そういうことですね。」
「よし、それでいこう!」
 僕は冒険者ギルドカード、商人ギルドカード、そして僕の店で使えるカード、そして支払いに使う魔道具を新たに生み出した。

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