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第3章

第407話 賢神の師匠と、共闘依頼

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「はい、そうなりますね。」
「英雄は、なることが出来るもの……。
 ただしく条件を満たせば、もっとたくさんの人間が英雄になれたということね。」

「はい、英雄のスキルがななつなだけであって、7人しか英雄になれないわけじゃ、そもそもなかったんです。神は7人で倒すことを想定していなかったということですね。」

「だから今まで倒せなかったのね……。
 魔王は7人で倒すものではないから。
 人数を揃えて、物量作戦で、本来の神の考えたやり方で、倒そうということね?」

「はい。僕はそれに、エリクソンさんにも協力して欲しいと思っています。」
「私に協力……?」
 驚いたように僕を見るエリクソンさん。

「僕はたくさん英雄を育てなくてはなりませんが、経験値を上げたり、スキルを開放させる手助けは出来ますが、実践訓練はわかりません。師匠が必要だと思っているんです。」

「それは確かにそうね……。私も師匠について賢者について学んだもの。賢者の戦い方は賢者にしかわからない。それが賢神であっても同じことだわ。他のスキル持ちに、賢神は育てられないでしょうね。」

「はい。勇者は叔父さんが剣聖なので、戦い方を教えることは出来ますが、それ以外の英雄はそれぞれ師匠を探したいと思っているんです。先代の賢神であったエリクソンさんがいてくれたら、こんなに心強いことはありません。ぜひお願いできませんか?」

「魔王は倒すべきもの。私の代で出来なかったことを、後輩が成し遂げてくれるのであれば、もちろん協力させてもらうわ。」
「本当ですか!?」

「私が生きている時代に、新たな英雄が選出されたら、協力出来ることがあれば協力したいと、そもそも考えていたのだもの。」

「ありがとうございます!
 僕としては、師匠になっていただくだけでなく、戦線にも加わって欲しいと考えているんです。そして賢神たちのリーダーとして、先頭で戦っていただきたく存じます。」

「私が……賢神たちのリーダー?
 もう一度戦えるというの?あの日の雪辱をはらせる機会を、もう一度くれるというのなら、こちらこそぜひお願いするわ!」

 エリクソンさんがニコッと笑顔になって、僕に右手を差し出してくる。
「よろしくお願いします!」
 僕はその手を握り返した。

 やった!叔父さんについで、有力な英雄候補かつ、賢神の師匠になってくれる人が見つかったよ!

「──エリクソンさんは先程、他の先代の英雄の中にも、まだ生き残って隠れ住んでいる方がいるとおっしゃっていましたよね?」
「ええ、そうね。」

「出来ればその方たちにも、師匠として、かつ中央戦力として参戦していただきたいのですが、難しいでしょうか……。」

「さあ……どうかしら。隠れ住んでいるくらいだから、ひょっとしたら断ってくるかも知れないけれど、会ってみたいというのなら、紹介するのは構わないわよ。」

「本当ですか!?」
「それとも、私の魔塔での用事が終わるのを待ってくれるのなら、一緒についていっても構わないけれど、どうしたいかしら?」

「……じゃあ、それを待たせてもらいます。
 知らない人が突然尋ねて来るよりも、旧知の間柄の人が、一緒について来てくれたほうが、話がしやすいと思いますし。」

「わかったわ。正直終わるまでにしばらくかかるから、用事が終わったら、今回あなたが作ったミーティアを飛ばさせてもらうから、そうしたら一緒に行きましょう。」

「わかりました。──あ、ひょっとして、というか、隠れ住んでいるくらいだし、かなり遠いですよね?たぶん。」

「まあ、私が最後に聞いた場所から、そのまま移動していなければだけど、あなたはリシャーラ王国からだったわよね?リシャーラ王国からならかなり遠いわね。」

「やっぱりそうですよね……。
 僕、実は商人の他に、国からの要請でルカリア学園にも通っている身なので、あまり長い間家をあけられなくて。」

「学園が休みの期間のほうがいいかしら?」
「いえ、仕事があるので、どちらにせよなんですけど……。国によっては、すぐに行かれるんですけどね。僕のスキルで。」

「スキル?」
「はい、“ななつをすべしもの”としての役割をかされた時にさずかったスキルが、そういう移動に使えるもので。ただ、国が限定されちゃうから、いる場所次第なんですけど。」

「それなら、事前にミーティアを送って、居場所を特定しておくわ。
 それ次第では、あなたのスキルで簡単に行かれる場所かも知れないものね。」
「はい、ぜひお願いします。」

「──あ、でも、英雄を育てる話だけれど、聖女ならともかく、悪いことは言わないから勇者はこの世界の人間じゃなく、異世界から召喚されるのを待った方がいいと思うわ。」

「え!?な、なぜですか!?」
 叔父さんとヒルデに、真っ先になってもらうつもりでいるのに!

 僕に同情しているのか、それとも申し訳無さそうにしているのか、エリクソンさんは眉を下げながら眉間にシワを寄せて言った。
「──それがあなたの為だからよ。」

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