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第3章
第397話 隠しスキルの可能性
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「ガーティアは、内容を秘匿し、強奪を試みるものを攻撃します。簡単には奪えません。
秘匿事項を伝達するのに、最適な魔法だと思っています。」
「……攻撃能力を備えた無属性魔法!?
それは凄いぞ!?」
バウアーさんが再びソファーから立ち上がると、僕にグイッと迫ってきた。
「あくまでも攻撃をしかけられた時の反撃ですので、積極的に攻撃は出来ませんよ?」
思わずのけぞりながらそう答える。
「それでも凄いぞ。攻撃も回復も出来ない、戦闘の役に立たないから、無属性魔法は魔法の数に数えられないんだからな。」
「……そうね。ガーティアは目の前で見るだけじゃなく、慎重に解析が必要ね。」
「見ただけじゃ、重ねがけされた構造が確認出来なかったからな、凄い魔法だ……。」
「販売するのはそれ以降にしてちょうだい。
リーティアとミーティアは目視で解析が出来たから、売ってもらって構わないわ。魔法登録証を作らせるから、少し待っていて。」
「ありがとうございます。」
やった!認めてもらえたよ!
これで僕が生み出さなくても、作成販売出来る商品がひとつ増えたぞ。
「……ところであなたは、どうして無属性魔法の研究を始めたの?」
エリクソンさんが紅茶を一口飲んでから、僕の目をじっと見つめてそう尋ねてきた。
魔法の登録だけのつもりで来たから、そんなことを聞かれると思っていなくて、僕は思わず固まってしまう。
ど、どうしよう?
そんなこと聞かれると思ってなかったよ。
だって、そもそも研究して開発した魔法ってわけじゃないし……。
【オニイチャン、さっき私と話したことをそのまま伝えてみてはどうですか?】
さっき話したことって?
【無属性魔法の立ち位置について、です。】
あ、そうか。
僕のもともと持ってる無属性魔法についての知識と、日頃思っていたことを組み合わせたら、なんとかいけるかな。
「そうですね。僕はそもそも魔法使い家系に生まれたのですが、魔法スキルを手に入れることが出来なかったんです。ですが、魔法についての勉強は幼い頃からしていました。」
これは本当のことだ。魔法の歴史とか種類とかについては、家庭教師からずっと学んできたからね、ある程度の知識はあるんだ。
「その中でも、魔法の歴史や、使用方法を教える、ルカリア学園の授業でも、魔法の数にカウントされないという無属性魔法に注目しました。いったいそれはなぜなのか。」
「戦闘に使えない魔法は、重要視されないからな。生活魔法なんかがそれだ。あれは無属性魔法の最たるものだが、汚れをキレイにすることしか出来ない、もらって嬉しくないスキルの代表とされているんだ。」
「はい。ですが商人の取引に使う契約魔法、秘密保持契約魔法や、奴隷契約に使う奴隷紋は、無属性魔法の応用になります。」
「契約魔法の必要な場面はとても多いわ。」
「例えば契約魔法に使うインクのように、必要かつ、いざ新しい魔法が開発されると、国家のみならず、世界全体に広まるものでもあるのが、無属性魔法であると思うのです。」
僕はキリカの言葉をそのまま伝える。
それを聞いたバウアーさんとエリクソンさんは、僕の目を見てコックリとうなずいた。
「長い目で見れば、国家に莫大な利益をもたらすものが、無属性魔法であるにもかかわらず、評価が低いのが実情です。」
「だから研究員も少ないんだ。」
「無属性魔法はこの世になくてはならないものにもかかわらず、魔法使いの間でも、世間からの評価においても、地位が低いのです。
ですがそんな無属性魔法だからこそ、魔法の使えない僕は可能性を見出しました。」
「実際新しい無属性魔法を生み出した人たちの中には、通常の魔法スキルのない人間がたくさんいる。不思議なことだがな。」
「僕は、それが隠しスキルなんじゃないかと思っています。ステータスが確認出来るスクロールは、スタミナの確認出来るものとそうでないものが存在します。」
「──隠しスキル?」
「スタミナのステータスが確認出来るスクロールは、割と近年発見されたものになりますよね。同じように知られていないステータスがあるとすればどうでしょうか?」
「そうか……。今でこそスタミナは、確認出来るステータススクロールが発見されたが、昔は見ることが出来なかったものだ。」
「まだ発見されて100年もたたないわ。
それまでスタミナなんてステータスの存在を、みんな知らなかった。」
「はい、それと同じで、隠しスキルを見られるステータススクロールというものが、存在するんじゃないかと思っています。」
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秘匿事項を伝達するのに、最適な魔法だと思っています。」
「……攻撃能力を備えた無属性魔法!?
それは凄いぞ!?」
バウアーさんが再びソファーから立ち上がると、僕にグイッと迫ってきた。
「あくまでも攻撃をしかけられた時の反撃ですので、積極的に攻撃は出来ませんよ?」
思わずのけぞりながらそう答える。
「それでも凄いぞ。攻撃も回復も出来ない、戦闘の役に立たないから、無属性魔法は魔法の数に数えられないんだからな。」
「……そうね。ガーティアは目の前で見るだけじゃなく、慎重に解析が必要ね。」
「見ただけじゃ、重ねがけされた構造が確認出来なかったからな、凄い魔法だ……。」
「販売するのはそれ以降にしてちょうだい。
リーティアとミーティアは目視で解析が出来たから、売ってもらって構わないわ。魔法登録証を作らせるから、少し待っていて。」
「ありがとうございます。」
やった!認めてもらえたよ!
これで僕が生み出さなくても、作成販売出来る商品がひとつ増えたぞ。
「……ところであなたは、どうして無属性魔法の研究を始めたの?」
エリクソンさんが紅茶を一口飲んでから、僕の目をじっと見つめてそう尋ねてきた。
魔法の登録だけのつもりで来たから、そんなことを聞かれると思っていなくて、僕は思わず固まってしまう。
ど、どうしよう?
そんなこと聞かれると思ってなかったよ。
だって、そもそも研究して開発した魔法ってわけじゃないし……。
【オニイチャン、さっき私と話したことをそのまま伝えてみてはどうですか?】
さっき話したことって?
【無属性魔法の立ち位置について、です。】
あ、そうか。
僕のもともと持ってる無属性魔法についての知識と、日頃思っていたことを組み合わせたら、なんとかいけるかな。
「そうですね。僕はそもそも魔法使い家系に生まれたのですが、魔法スキルを手に入れることが出来なかったんです。ですが、魔法についての勉強は幼い頃からしていました。」
これは本当のことだ。魔法の歴史とか種類とかについては、家庭教師からずっと学んできたからね、ある程度の知識はあるんだ。
「その中でも、魔法の歴史や、使用方法を教える、ルカリア学園の授業でも、魔法の数にカウントされないという無属性魔法に注目しました。いったいそれはなぜなのか。」
「戦闘に使えない魔法は、重要視されないからな。生活魔法なんかがそれだ。あれは無属性魔法の最たるものだが、汚れをキレイにすることしか出来ない、もらって嬉しくないスキルの代表とされているんだ。」
「はい。ですが商人の取引に使う契約魔法、秘密保持契約魔法や、奴隷契約に使う奴隷紋は、無属性魔法の応用になります。」
「契約魔法の必要な場面はとても多いわ。」
「例えば契約魔法に使うインクのように、必要かつ、いざ新しい魔法が開発されると、国家のみならず、世界全体に広まるものでもあるのが、無属性魔法であると思うのです。」
僕はキリカの言葉をそのまま伝える。
それを聞いたバウアーさんとエリクソンさんは、僕の目を見てコックリとうなずいた。
「長い目で見れば、国家に莫大な利益をもたらすものが、無属性魔法であるにもかかわらず、評価が低いのが実情です。」
「だから研究員も少ないんだ。」
「無属性魔法はこの世になくてはならないものにもかかわらず、魔法使いの間でも、世間からの評価においても、地位が低いのです。
ですがそんな無属性魔法だからこそ、魔法の使えない僕は可能性を見出しました。」
「実際新しい無属性魔法を生み出した人たちの中には、通常の魔法スキルのない人間がたくさんいる。不思議なことだがな。」
「僕は、それが隠しスキルなんじゃないかと思っています。ステータスが確認出来るスクロールは、スタミナの確認出来るものとそうでないものが存在します。」
「──隠しスキル?」
「スタミナのステータスが確認出来るスクロールは、割と近年発見されたものになりますよね。同じように知られていないステータスがあるとすればどうでしょうか?」
「そうか……。今でこそスタミナは、確認出来るステータススクロールが発見されたが、昔は見ることが出来なかったものだ。」
「まだ発見されて100年もたたないわ。
それまでスタミナなんてステータスの存在を、みんな知らなかった。」
「はい、それと同じで、隠しスキルを見られるステータススクロールというものが、存在するんじゃないかと思っています。」
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