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第3章

第391話 魔塔の仕組み

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 その時、
「──解析が完了しました。
 姿を消している人物を確認。攻撃の意思ありと認めます。60秒以内に姿を現さない限り、魔塔への入塔を拒絶します。」
 という声が聞こえた。

 解析?

【先程の魔法陣は、外部からの連絡及び、対象者が危険物を所持していないか、確認する為のものだったようです。

 レンジアさんがついてきていることで、魔塔が拒絶を示しているようですね。
 姿を隠して侵入しようとする者が怪しいと感じるのは当たり前のことですね。】

 それもそうだね、だけど……。
「すみません、後ろの人は、僕の護衛なのですが……。」

「あと40秒以内に姿を現さない限り、魔塔への入塔を拒絶します。」

 聞く耳持たない感じか。
 あちらのルールならどうしようもないな。
 でも、レンジアは僕の護衛をしてくれてはいるけど、そもそも王家の影だ。

 オフィーリア嬢の命令で僕について来ているのであって、命令の権限はない。
 もちろん、英雄候補として協力はしてくれているけど、それとこれとは別だ。

 僕に出来るのはお願いだけで、命令は出来ないから、レンジアがオフィーリア嬢の影としての命令を優先する限り、隠密はといてもらえない。

 どうしたものかな……。
 でも念の為お願いしてみよう。
 僕の行動を制限する意思がオフィーリア嬢になければ、隠密をといてもらえるかも。

「レンジア、ごめん、護衛と監視の仕事があると思うけど、隠密をといてもらえる?」

「了解。」

 そう言って、レンジアが姿を表した。
 久々に見たレンジアの姿に、なぜだかドキリとする。なんていうか……、前より女の子っぽくなってる気がするかも?

「ありがとう、任務中なのにごめんね。」

「問題ない。」

 王家の影が、任務以外で人前に姿を表すことに、問題がないわけがないと思うけど、レンジアは特に気にした様子がなかった。

「攻撃解除を確認。開門します。」
 アーチを描いた巨大な木の扉が、ゆっくりと内側に開いていく。中に人の姿はなくて、魔法で開けたみたいだ。

 魔塔って感じがするなあ!
 中に進んでいくと、広いスペースの奥に、なにかの鉱石で出来たような台が置かれていて、そこに石版がひとつ乗っかっていた。

「わっ!?」
 近付くと、石版だと思ったものが、パッと変化して、表面に文字が浮かび上がった。
 ──これ、魔道具だ!

「ご要件をお伝え下さい。」
 文字と同じ音声が流れる。
 うわあ、不思議だなあ……。

【魔塔は賢者たちが住まう場所でもありますので、来客はこのように受付しているようですね。目的を伝えると、来客用のスペースまで移動する仕組みのようです。

 賢者たちは自分の階を伝えると、所持している許可証により、自分の階まで飛ぶ仕組みですね。】

 へえ~、なるほどねえ。
 どんな魔法を組み込んでいるんだろ?
 学園で教わるであろう現代魔法には、こういうものはなかった筈だから、魔塔の賢者たちにしか使えない魔法なのかな?

「新しい無属性魔法を開発した場合、登録が必要だと伺い、登録しに来ました。
 魔法の手紙を飛ばす魔法です。
 僕はアレックス・ラウマンと申します。」

「少々お待ち下さい。」

 また音声と同じ文字が現れて、しばらく待っていると、
「魔法陣にお乗り下さい。」
 という文字と音声が流れた。

「魔法陣?」

【オニイチャン、後ろです。】

 キリカの声に振り返ると、巨大な魔法陣が足元の木の床に広がっていた。
 これに乗ればいいんだな?

 僕とレンジアが魔法陣に乗ると、下から上に強い光が立ち上って、思わず腕で軽く目隠しをしなければならないほどだった。

 光が消えたかと思うと、スッと目の前の景色が変わって、次に長い廊下が現れた。
 赤茶色の絨毯が敷かれた床に、木の壁。

 貴族の屋敷かのような、とてもいいものを使っているのがひとめ見てわかった。

「迎えの人はいないのかな……?」

【一本道ですし、歩けと言うことでしょう。
 魔塔は時空間魔法により、通常の建物の大きさよりも、広い空間を自由に各階ごとに作成している建物です。

 ここはいくつかある応接室の階のひとつですね。この廊下は特別製です。無駄に長いというわけではなく、先程の入口でかけられたものとは、別の解析魔法が使われています。

 応接室にたどり着くまでに、危険な魔道具や、本人自身が魔法を使える場合、それを封じるのが目的のようです。】

 なるほどね。だとすると、マジックバッグを持参した場合や、アイテムボックスボックス持ちの人はどうなるんだろ?

 マジックバッグは入る時に取り上げられるとしても、アイテムボックスは本人のスキルだから、どうしようもないよね?

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